Talend、オープンソースのデータ統合ツール新版をリリース――100個以のデータ・コネクタのサポートとJava対応を実現

 オープンソースのデータ統合ソフトウェアを開発している新興企業のTalend(フランス)が、今週に入って製品をアップグレードした。新版ではコネクタの数が3倍になったほか、データ統合プロセスをJavaで実行できるようになった。大容量データの変換機能も強化されている。

 フランスのパリ郊外と米国カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くTalendは、6カ月前に「Open Studio」と呼ばれる製品をリリースして、データ統合市場に参入した。4月23日に発表されたのは、同製品のバージョン2.0であり、 同社のWebサイト からダウンロードできる。

 データ統合ツールは、複数のシステムのデータを組み合わせ、企業内で共有および分析できるようにするもの。Talendは、インフォマティカ、Oracle、IBMといったプロプライエタリ・ベンダーの高価な製品に手の出ない中小規模企業をターゲットとしている。

 Yankee Groupの2004年度報告書によれば、企業がデータ統合ベンダーに支払う標準的なコストは、ソフトウェア・ライセンスの初期取得料が2万~50万ドル、年間ライセンス料が5,000~15万ドルに及んでいるという。

 また、Forresterのアナリスト、マイケル・ゴールド氏によると、データ統合製品は機能的に見てどのベンダーも大差はなく、コスト節減を心がけている企業はオープンソース・ベンダーを選ぶ傾向にあるという。Talend以外では、アパターやKETLがオープンソースのデータ統合製品を提供している。

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「Open Studio バージョン2.0」の画面例(クリックで拡大)

 Open Studio自体は無料だが、Talendは1ユーザー当たり年間1,200~2,500ドルのサポート価格を設定している。

 Talendのマーケティング担当バイスプレジデントを務めるイーヴ・デ・モンシェール氏は、分散グリッド・アーキテクチャにより、データ・ソースの近くでプロセスを実行するため、ネットワーク上での移動量が少なく、統合のスピードも速いと強調する。

 また、Open Studioは、高機能でありながら技術スキルを必要としない操作方法を取り入れているため、エンドユーザーも直接的にデータ統合プロセスにかかわり、仕組みを理解することができる。

 Open Studioの従来バージョンでは、プログラミング言語のPerlを使って、統合プロセスの実行プログラムを作成していた。モンシェール氏によれば、バージョン2.0では、Perlほど汎用的ではないが、はるかに高速に実行できるJavaに対応したという。

 「Perlでの作業で見ると、従来のプロプライエタリ・ツールに比べて2~3倍効率的だと、われわれの顧客は話している。バージョン2.0のベータ版を試用しているユーザーによれば、Javaでの作業はPerlでの作業よりもさらに2~5倍速いという。これは、Open Studioの新版が他社製品をはるかに上回る性能を備えていることを意味している」(モンシェール氏)

 データ・ソースへのコネクタ数は、最初のバージョンでおよそ35個だったが、バージョン2.0では100個以上になった。新たに追加されたコネクタは、シュガーCRM、Salesforce.com、Microsoftのビジネス・アプリケーション、オープンソース・データベースの「PostgreSQL」などを接続するためのものだ。

 新版では、プロセスの任意の時点で、データをあるフォーマットから別のフォーマットに変換できる。データの処理方法としては、ソースからデータを抽出し、変換してから最終的な場所へロードするETL(抽出/変換/ロード)を引き続き採用しているが、バージョン2.0からは、データを抽出して対象の場所へとロードし、そのあとで変換を行うELT(抽出/ロード/変換)も選択できるようになった。

 Talendの幹部は、大容量データを変換する場合には、ETLとELTという2つのオプションが用意されているほうが柔軟性の点で有利だと強調する。

 Open Studioはこれまでに約6万のダウンロード実績があり、そのうちの半分は米国でのダウンロードである。

 バージョン2.0のベータ・テストには1,000ユーザーが参加しており、スイスポート、アコー、ダロズ、アライアンス・ブーツ、フォーン・ハウスをはじめとする10~15の企業がすでに有料サポート・サービスを受けているという。

(ジョン・ブロウドケン/Network World 米国版)

Talend
http://www.talend.com/

提供:Computerworld.jp