著名ハッカー、iPhoneのロック解除を1週間以内に成功させると明言――iTunesを経由せずにアクティベートし、AT&T以外も利用可能に
IRC(Internet Relay Chat)でインタビュー取材に応じた“gj”と名乗るハッカーは、「簡単に解除できると思う。われわれは個人的なつながりから、iPhoneの開発エンジニアの多くが他のハンドセット・メーカーからの転職組であることを知っており、彼らの設計手法を熟知しているからだ」と語る。
同氏は、「われわれにとって“簡単”というのは1週間以内を意味する」とし、3~7日以内に実行可能になるとしている。
ロックを解除すれば、ユーザーは米国での独占販売権を持つAT&Tだけでなく、他のサービス・プロバイダーでもiPhoneを利用できるようになる。
ハッカーらは、米国時間の7月3日夜、すでにiPhoneのアクティベーション・プロセスをクラッキングすることに成功している。これはiPhoneのロック解除プロセス全体では小さなステップにすぎないが、技術的にはかなり難しい作業であるという。
アクティベーション・プロセスにはソフトウェア・トークンが使われている。トークンはiPhoneから「iTunes」経由でAppleに送られ、Appleがトークンに署名してiPhoneに返送する。このプロセスが完了すると、iTunesはiPhoneにアクティベートするよう指示する。
ハッカーらは、ユーザーがiTunesを経由せずにiPhoneをアクティベートできるようにするWindowsおよびMac OSツールを開発した。だが、複数のiPhoneをアクティベートするには、すでにアクティベートされたiPhoneのトークンを使う必要がある。ハッカーらが開発したツールにはトークンは含まれていない。
「本人識別情報が記録されている既知のトークンがないと、ツールを使うことはできない」とgj氏は説明している。
iTunesを経由せずにiPhoneをアクティベートする方法を見つけたハッカーは、少なくとももう1人いる。DVDの暗号解読ツール「DeCSS」の開発に協力したハッカー、ヨン・レック・ヨハンセン氏(通称“DVDヨン”)は、自身のブログでiTunesを経由しないでiPhoneをアクティベートできるツールを公開した。
「この方法では、iPhoneで電話機能を使うことはできないが、iPod機能とWi-Fiは使用できる」とヨハンセン氏は書いている。
アクティベーション・プロセスのクラッキングにより、ハッカーはiPhoneのロック解除という目的に一歩近づいたことになる。iPhoneのカメラや音楽プレイヤーなどの機能をアクティベートするにはiTunesが必要であり、アクティベーション・プロセスではさらにAT&Tの2年間のデータ・プランにサインアップする必要がある。
gj氏は、「(iTunesを経由しない)アクティベーション手法は、Wi-Fiデバイスとして使いたい人にとっては十分に“利用価値”があるはずだ」と強調する。
アクティベーション・プロセスをクリアしたハッカーらは今、iPhoneのロック解除に目を向けている。ロック解除はアクティベーション・プロセスのクラッキングに比べればそれほど難しい作業ではないという。
「ロック解除とは、電波とSIM(加入者識別モジュール)ロジックとのやり取りを解明することであり、それは一般に標準ベースで行われている」(gj氏)
7月5日には、iPhoneのソフトウェア・アップデートがリリースされるとうわさされており、ハッカーがiPhoneのロック解除に向けて進めてきた作業のいくつかが無駄になる可能性もある。
「Appleが7月5日にハッカー対策の“フィックス”を盛り込んだアップデートをリリースしたら、われわれとしては後戻りせざるをえない。だが、永久にハッキングできなくなるかどうかはわからない」(gj氏)
gj氏は、iPhoneのロック解除を目指して手を組んでいるハッカーは、特定のグループに属しているわけではなく、もし成功してもそれで名前を売ろうという気もないと前置きしたうえで、「単にハードウェアを解放してみたいだけだ。われわれの成果を第三者が利用するのは勝手であり、Appleにとって教訓になれば幸いだ」と述べている。
「Appleは素晴らしい会社だが、iPhoneですべてをロックしてしまったのは本当に残念だ。デザインは超一級だし、あとは業界標準を打ち立てれば飛躍的に成長できるはずなのだが」(同氏)
(サムナー・レモン/IDG News Service シンガポール支局)
提供:Computerworld.jp