Black Hatが始まった

 Black Hat USA 2007 Briefingsがラスベガスのシーザーズパレスで今朝(8月1日)始まった。冒頭で創設者のJeff Moss氏がこのショーについての短評とちょっとした数値を披露した。Jeff Moss氏によると、公式には50余りの国々から4,000人を超える出席者が集まっているが、Halvar Flake氏の入国が許可されていれば、この数はもっと大きくなっていたはずだとのこと(Halvar Flake氏は入管で米国への入国を拒否され、そのままドイツに帰国した)。

 Moss氏は満員の聴衆に向かって、Flake氏の件に関して各国の政府代表者と連絡をとるように求めた。Moss氏によると、この件は些細な専門的手続きの問題にすぎず、同日のもっと早い時間にデトロイトの入国審査で本物の「ならず者」の入国を阻止できなかったために大げさになったのだという。Moss氏は自分の意見を述べながら、研究者に法的な脅しをかけるベンダの問題にも言及し、そうしたものと戦い続けると言った。

 その後、Moss氏に代わって一組の基調演説者が演壇に立った。一人はRichard Clarke氏で、以前にホワイトハウスでセキュリティアドバイザを務めていた人物である。もう一人はTony Sager氏で、彼はNSAのInformation Assurance Directorateの長である。Clarke氏はブッシュ政権の1年目にBlack Hatで行った最初の講演について語り始めた。Clarke氏によると、ホワイトハウスに戻ったとき、ハッカーたちと話をしたことをクソミソに言われたそうだ。彼はそのときの講演で、これからも脆弱性を見つける研究を続けるよう出席者たちを励ましたのだが、レドモンドから来た誰かがホワイトハウスに電話をかけて文句を言ったのだ。

 Tony Sager氏は会場の端に立ち、NSAと関連政府機関で情報セキュリティを提供する自分の使命について長々と語った。

 昨日、私は思いがけない状況でSager氏に出会った。私はシーザーズパレスでレンタルスクーターに乗り、登録地域に行けるルートを探していた。エスカレータに近づいたところで、数人の女性と二人の男性の集団から逃れようともがいている男に気がついた。最初は家族内のもめごとか酔っ払いだと思ったが、その男の動作がどちらとも違うようなので、しばらく眺めていた。彼は二度倒れたように見えたし、周りの人たちの助けがなければ立っていられない様子だった。彼はまるで抑えが利かなくなったように腕を振り上げ、前のめりに倒れそうだった。その様子を見ていて、彼が何らかの発作に襲われているらしいと気づいた。私はできるだけ近くまで行き、スクーターから降りて、「その人をここに座らせてください」と言った。

 救急車が到着し、彼を乗せて走り去るまで、私は三人の女性(三人ともホテルでの会議に参加している看護士)と二人の男性が彼の世話をするところをじっと見ていた。彼らの会話から判断すると、その男はエスカレータの最上部で発作を起こし、そのまま転げ落ちたらしい。彼は自分の身に何が起きたのかよく理解できていない様子だった。なお、二人の男性のうちの一人(Brad Smith氏)がBlack Hatのスタッフで、しかも看護士だということも分かった。

 通りすがりのジャーナリストが私の腕をつかみ、患者が誰だか知っているかと訊ねてきた。知らないと答えると、「彼はNSAの情報保証オペレーションの親玉だ」と教えてくれた。じきにBlack Hatのプレス担当であるNiko Sell氏が駆けつけてきて、世話を焼いていたもう一人の男性に言った。「Tony、君が無事でほっとしたよ。君が倒れたと聞いたものだから」

 実はこういうことだ。Sager氏は今年のイベントの基調演説者の一人だが、登録を済ませた直後に、男がエスカレータから転げ落ちるのを目撃した。そこで急いで助けに行ったのだが、男が転げ落ちてきた場所に自分の名札を落としてしまった。周囲の人たちはその男がSager氏だと思い込み、その噂がまたたくまに広がったのだ。今朝のグッドニュースは、その人物が熱射病にかかっていただけで、今日にもショーに復帰できそうだということである。

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