選挙で決まったopenSUSE評議会の新メンバ、抱負を語る

 openSUSEプロジェクトの評議会(Board)の新しいメンバーが決まった。評議会の今後について、各メンバーは大きな展望を抱いている。

 openSUSE評議会の最初のメンバーがNovellによって指名されたのは2007年11月のことだった。この最初の評議会に課せられた使命は、いわば「ブートストラップ」と言える一風変わったものだった。つまり、評議会のメンバーをコミュニティが選出する手順を確立させ、Novellの人間とそれ以外の人間とがバランスよくプロジェクトを進められるような体制を整えるという役割を担っていたのだ。それから1年足らずで、コミュニティによる選挙は実現に至り、新たな評議会が船出を迎えることになった。

 最初の評議会のメンバーの1人がPascal Bleser氏だ。今後は継続的に行われる評議会の選挙手順の土台作りに携わった。「我々はまず、openSUSEの行動指針となるGuiding Principlesの策定を手がけました。その中心となったのは、KDE e.V.の理事でもあるCornelius Schumacher氏です。また、opensuse-projectのメーリングリストで議論を行い、コミュニティメンバーの意見も集めました」。

 「Guiding Principlesが定まると、次は“openSUSEメンバー”の位置付けをはっきりさせました。パッケージ作成、翻訳、サポート、ソフトウェア開発などの形で、openSUSEのコミュニティに継続的かつ実体のある貢献をしてくださっている方々を明確にするためです。今回の初めての選挙で投票権があったのは、このメンバーの方々です。また、メンバーが保証する別の非メンバーに対しても、投票権を与えられるようにしました。メンバー数は212名でしたので、十分な有権者数で正当な選挙を行ったと言えるレベルに、なんとか達することができたと思っています」。

 投票は10月9日~25日に実施された。投票率は75%だったという。規定に従って、Novellから2人とそれ以外から2人の計4人を投票で選出する形となり、各メンバーはそれぞれ意中の候補に票を投じた。この結果、NovellからはHenne Vogelsang氏とFrederico Mena-Quintero氏、Novell以外からはBleser氏とBryen Yunashko氏が選出された。さらに、議長となる5人目はNovellが直接指名し、Michael Loeffler氏に決まった。

 評議会メンバーの入れ替えを促すために、Mena-Quintero氏とYunashko氏の任期は1年となっており、来年再び選挙が行われる。あとの2人の任期は2年だ。

新たな評議会の役割

 新体制となった評議会の最大の仕事は、プロジェクト内での評議会の役割を明確にすることだ。Yunashko氏、Bleser氏、Loeffler氏が揃って認めるのが、コミュニティメンバー相互間、およびコミュニティとNovellとの間で、スムーズで風通しのよいコミュニケーションを促すことが、評議会にとってきわめて重要だという点だ。

 Yunashko氏はこう話す。「私が目指しているのは、コミュニティの声を聞くための効果的なプロセスを構築することです。この点は、評議会の他のメンバーも同意してくれると思います。コミュニティが抱いている懸念や希望、目標などを伝えてもらう場を確立し、自分の声がきちんと届いたと感じてもらえたらというのが願いです。コミュニティとNovell/SUSEの間の協力関係やコミュニケーションは、現在でもうまくいっていますが、往々にして個人レベルで進められています。それ自体はすばらしいことですが、我々としては、Novellとの関係の中で、コミュニティ全体の雰囲気をさらに向上させていくことが我々の仕事だと考えています」。

 「とはいえ、評議会の仕事は、単なるNovellとの橋渡し役ではありません。コミュニティや1人1人のメンバーに対する橋渡し役でもありたいと考えています。パッケージ作成、開発、教育、技術サポート、翻訳など、さまざまな形で貢献してくださるコミュニティの皆さんが抱えている問題をきちんと把握し、その力になることが我々には必要です。解決のためにリソースが必要であれば、あわせて提供します」。

 Bleser氏はこう話す。「評議会がトップダウン式の“統治機関”にならないことが重要だと思います。コミュニティのメンバーを支え、サポートする存在であることが評議会の役割です。技術面に関して何らかの影響力を持つことはまったくの筋違いです。そのようなことを行うのは、膠着状態の中で評議会の意見が求められた場合のみに限られます。全体として、現在の状況は、コミュニティから寄せられる要求を通じて、コミュニティが評議会を方向付けていくことが必要な段階だと考えています」。

 Loeffler氏もこれに同意する。そのうえで、評議会はコミュニティ内の相互作用を促す必要があるが、意思決定者ではなく、あくまで進行役に徹するべきだと指摘する。「openSUSEプロジェクトを進めていくための効果的な枠組みを確立し維持していくという責務の方が、評議会の役割として大きいと私は思っています。その意味で、openSUSEプロジェクトを現在よりさらに高いレベルへと引き上げて貢献をはかるという取り組みに力を入れるやり方も考えられます」。

今後の取り組み

 評議会の新メンバーがこぞって重要と考えているのが、多くの人からのいっそうの参加と貢献を促すことだ。Vogelsang氏は、コードの貢献に関して特に力を入れていきたいと話す。「wikiに文章を書いたり、メーリングリストで他のユーザをサポートしたり、翻訳を行ったり、画像を提供したりという面では、既に強力なコミュニティがあります。また、コードの貢献についても、大勢が参加するコミュニティがあります。YaST、Build Service、パッケージメンテナンスなど、openSUSEのディストリビューションで重要な意味を持つ構成要素に関して定期的に貢献してくださる方もいます。しかし、もっともっと参加してほしいというのが我々の願いです。なるべくopenSUSEに足跡を残してもらいやすくできたらと考えています。我々は、ディストリビューションの開発を本当の意味で開放した先駆者になりたいという思いです」。

 Loeffler氏は、「コミュニティが自らの発想を形にしたり、任務を引き継いだりできる可能性をさらに広げたいと思います」と話す。たとえば、各地のopenSUSEグループを通した取り組みや、コンファレンス、ハッキングに関する集まりなどの場の利用が考えられる。

 openSUSEコミュニティのメンバーとなってわずか1年のYunashko氏は、これまでコミュニティメンバーとして手がけてきたのと同じ問題に力を入れていきたいと話す。たとえば、アクセシビリティの問題や、Helping Hands Projectと呼ばれるユーザと開発者のフォーラムなどだ。

 Bleser氏は、特定のプロジェクトは挙げなかったものの、さまざまな取り組みのサポート役として尽力したいという点と、openSUSEコミュニティをNovellと対等なパートナーにまで成長させたいという点を重点項目に挙げた。対等なパートナーという点についてはこう話す。「openSUSEコミュニティを、自立した存在にしたいと思っています。Novellと縁を切りたいという意味ではありません。1つはNovellの優れたパートナーになりたいということ、もう1つは、自主性を高めて、自らの手で命運を握りたいということです」。同氏は、openSUSEコミュニティにはNovellの社員も多数おり、命運を握る中にはそうした人たちも含まれていると付け加えた。

今後の方向性

 選挙が成功し、新たな評議会が立ち上がったことの意味について、openSUSEのコミュニティマネージャであるJoe Brockmeier氏は、openSUSEに関与する人たちがコミュニティの進む道を真剣に考え、自らの意向を強く反映しようとしていることの表れだと話す。「これでプロジェクトの成長が新たな段階に入ったと言えます。Novellが指名した最初の評議会は、コミュニティの統制に関する土台作りという意味できわめて重要な役割を担いました。今度の新しい評議会は、コミュニティの発展と自主的統治をさらに推し進める引き金になると思います」。

 「Novellが選んだ最初の評議会は正解だったと思います。しかし、その過程でコミュニティに選択権を与えた結果、外部から意見を得るのみならず、外部から方向性が定められることも起こり得る状況になりました。今後プロジェクトが進む道は、Novellが元々考えていたのと違う方向になることも考えられます。この先1年の発展という意味では、よいことだと思います」。

Linux.com 原文(2008年11月5日)