タスクリストの管理を簡単化する3つのGNU/Linux用ツール

 本稿では、忘れてはいけない重要なタスクリストをLinuxにて管理する、3つの予定管理ツールを紹介する。

Tasque

 最初に取り上げるTasqueは(“タスク”と発音)、NovellのHackweek v2の一環として作成されたタスク管理ツールで、その記述にはC#とMonoが使われている。同ツールのインタフェースは至ってシンプルな構成となっており、システムトレイに表示されるTasqueアイコンのクリックによって設定可能なオプションの大半にアクセスできる。タスクの新規登録も簡単で、画面上部に表示されるテキストボックスに予定の名前を入力してAddボタンをクリックするだけだ。ただしタスクのカテゴリ分類については、最初からTasqueに多数のオプションが組み込まれているものの、利用可能な項目はこれらがすべてであり、ユーザが新規に作成することはできない(同ソフトウェアは現在ベータ版段階であり、カテゴリ関連の機能については今後のリリースでの拡張が期待されている)。その他のオプションとしては、インタフェース上の情報表示列をクリックすることで、締め切り日と優先順位(1から3の数字ないし無指定を示す“-”)を設定することができる。なお締め切り日が迫った場合にそれを通知するといった機能はサポートされていないが、各タスクの詳細をノート情報として追加することは可能だ。

task1_thumb.png
Tasque

 Tasqueというアプリケーションを語る上で外せないのが、SQLiteRemember the Milk(RTM)、Evolution Data Server(多くのディストリビューションにてEvolutionパッケージの一部としてインストール)といった各種バックエンドのサポートである。このうちSQLiteもEvolution Data Serverもローカルにて利用可能なオプションであって、自分の予定リストは手元のハードドライブに置いておくことができるため、インターネットに接続できない状況での使用も想定している場合や、この種の情報管理にオンラインサービスを使用したくないユーザが重宝するはずだ。

 これら2つのバックエンドを比較すると、SQLiteの強みは高速に動作する高信頼性ストレージとして利用できることであり、Evolution Data Serverの強みはTasqueの情報をEvolutionの“タスク”機能と同期できることだ。もっとも私自身が選んだTasque用バックエンドは、登録した全タスクのオンライン閲覧を可能とするRemember the Milkである。こうした特性は、複数のオペレーティングシステムやコンピュータを使用するユーザが、1つの予定リスト情報を異なる環境間で同期させたいという場合に重宝するはずだ。また自分の予定リストをRTMのWebサイトを介してチェックするという運用形態は、インターネット接続に対応した携帯電話や、個人的なソフトウェアインストールが許可されない職場のコンピュータからでも利用可能なことを意味する。

 Tasqueのインストールに関しては、同パッケージを収録しているリポジトリの方が珍しいくらいなので、通常はソースからのコンパイルを行わなくてはならない。その具体的な手順については同プロジェクトのWebサイトにて説明されている。なおUbuntu 8.04(Hardy)ユーザの場合はapt-getを介したインストールも可能で、それを行うには下記の行を/etc/apt/sources.listファイルに追加しておけばいい。

deb http://ppa.launchpad.net/tasque-packagers/ubuntu hardy main

 その後下記のコマンドを実行すると、Tasque本体および依存関係にあるコンポーネント群がインストールされるはずである。

sudo apt-get update && sudo apt-get install gnome-sharp2 libmono2.0-cil libevolution3.0-cil tasque

 インストール完了後のTasqueの起動は、デスクトップからのメニュー操作ないしtasqueコマンドによって行えばいい。またGNOME Do(Quicksilver風のアプリケーションランチャ)ユーザの場合は、Tasqueプラグインを入手しておくと、Tasqueへのタスク登録が数回のキー操作で済ませられるようになる。

Gto-do

 次に紹介するGto-doもグラフィカルインタフェース型の予定リスト管理ツールであるが、その特長は機能的により充実していることだ。ただしGto-doのインタフェースはTasqueよりも複雑化しているが、その見返りとしてタスクカテゴリのユーザカスタマイズ機能がサポートされている。こうした機能は、例えば複数のプロジェクトを掛け持ちしているためデフォルトのラベル構成では間に合わない、というユーザが重宝するはずだ。またGto-doは特定タスクの締め切り15分前に通知する機能も有しており、同機能を使用するにあたって必要な操作は、ダイアログでのタスク登録時に通知オプションを有効化しておくことだけである。なおGto-doの場合、ローカルのバックエンドのみ利用可能となっているが(よってRemember the Milkへのタスク登録は行えない)、HTMLないし.tasksフォーマットによる予定リストのインポートとエクスポートには対応しているので、複数の環境で使用する場合は、電子メールや外付けハードドライブを介したデータの移植をすればいい。

task2_thumb.png
Gto-do

 Gto-doの場合、ユーザによるインタフェースのカスタマイズも可能であるため、タスクの整理や検索といった操作がTasqueよりも行いやすくなっている。具体的には、締め切り日や優先順位などの表示列を追加ないし削除するといった変更が簡単に実行できてしまうのだ。また予定リストには締め切り日を過ぎたタスクも表示可能で、こうした項目は指定の日数が経過した段階で自動的に削除させることもできる。その他システムトレイに表示されるGto-doのアイコンにマウスポインタを重ねることで、リストに登録されている全タスクの一覧をツールチップ形式にて確認することも可能だ。

 Gto-doの入手法については、大半のディストリビューションにてリポジトリへの収録が行われている。インストール完了後のGto-doの起動は、GNOME(およびKDEやXfce)のメニュー操作ないしgto-doコマンドによって行えばいい。

iKog

 最後に紹介するiKogは、先のTasqueやGto-doとはかなり趣を異にした予定リスト管理ツールである。それと言うのもこのツールは、グラフィカルインタフェースを有さないだけでなく、Getting Things Done(GTD)という手法に簡易的に準じた時間管理を行うよう設計されているのだ。ここでのタスク登録は、締め切り日と優先順位に加えて“コンテクスト”という指定をするが、その機能自体は同種ツールにおけるカテゴリと大差なく、こうしたコンテクストの名称については、個々のタスク登録時に同じ情報入力を繰り返す無駄を省けるよう、略号設定ができるようになっている。こうして登録したタスク群については、プロジェクトへの割り当てという形によるグループ化が可能だ。またiKogはノート情報を追加する機能もサポートしているが、複数ユーザで予定リストを共有するような場合は、パスワードによる暗号化を施せるようになっている。

 iKogというプログラムは単一のPythonファイルのみの構成となっており、そのインストールにあたって特別な操作は必要としない。具体的には下記のようなコマンドライン操作によって、ダウンロードしたファイルの展開後にPythonインタープリタによる実行を指定するだけである。

wget http://www.henspace.co.uk/ikog/app/ikog.zip
unzip ikog.zip
chmod 700 ikog.zip
python ikog.py

 これから初めてiKogを扱うというユーザの場合、最初のうちはHELPコマンドによるマニュアル表示のお世話にならざるを得ないだろう。その他の情報源としては、同プロジェクトのWebサイトに用意されている「Getting started」などのドキュメント類や、Dmitri Popov氏の手により分かりやすく書き起こされたiKog操作法の解説記事も参考になるはずだ。

まとめ

 以上、本稿で紹介した3つの予定リスト管理ツールの存在を知った読者諸兄は、はたして自分はどれを使えばいいのかという疑問にさいなまれていることだろう。例えばオンラインを介したRemember the Milkとのデータ同期を行うなら、候補に上るのはTasqueだが、機能的な充実度を求めるならGto-doということになる。またiKogに関しては、GTD型の時間管理メソッドに馴染んでいるユーザにとっては非常に強力なタスク管理システムとして機能するはずだが、まったく体系の異なる操作用コマンド群をマスターしなければならない点がネックとなるだろう。逆に、テキスト操作オンリーのアプリケーションでも意に介さないというユーザであれば、一度試してみることを是非ともお勧めしたい。

 最終的にどの候補を選択するにせよ、これらすべてに共通して1つ言えることは、こうしたタスク管理ツールの活用が予定リスト管理の簡単化と生産性の向上とをもたらしてくれるであろうということだ。

Kurt Edelbrockは大学生であると同時に、テクノロジ関係のジャーナリストおよびブロガーとしても活動中で、オープンソースに関係する様々な記事を執筆しつつ、某マンモス公立大学のコンサルタントも努めている。

Linux.com 原文(2008年10月23日)