OSSベンダー幹部ら、オープンソース・モデルのさらなる定着を予測

 オープンソース・ソフトウェアのパラダイムは、ソフトウェア市場に大きな変化をもたらしてきたが、今日ではもはや、オープンソース自体が当たり前の存在となりつつあり、あと5年もたてばこれまでのように大きく騒がれることもなくなるだろう──。6月21日に米国シリコンバレーのコンピュータ歴史博物館で催された討論会「The Open Source Effect(オープンソース効果)」で、米SpikeSource、JBoss、Sun Microsystemsなどのベンダー幹部らは、上のように口をそろえた。

 米チャーチル・クラブの主催で開かれた今回の討論会では、参加パネリストたちが、オープンソースのビジネス・モデルをはじめ、大手商用ソフトウェア・ベンダーのオープンソース対応など、さまざまな事項について討論を繰り広げた。

 SpikeSourceのCEO、キム・ポレーゼ氏は、オープンソース・ソフトウェアの開発・提供を中心に据える同社と、同氏が以前に設立しCEOも務めていた商用ソフトウェア・ベンダー、マリンバのビジネス・モデルの違いについて、「以前とは状況が一変した。製品を市場に出す方法について、かなりの独創性が必要とされる」と述べた。SpikeSourceは現在、中小規模企業によるオープンソース・ソフトウェアの利用を促進するために付加価値再販業者(VAR)との連携に注力しているという。

 EnterpriseDBのCEO、アンディ・アスター氏は、「オープンソースの世界では確固としたビジネス・モデルが確立されていないため、今まさに魅力的な時期にあると言えるが、クライアント・サーバ・モデルがそうであったように、オープンソースもやがてITシステムの基盤の一部となり、5年後には退屈なものと見なされるようになるだろう」と語った。

 JBossの創設者で、現在はRed HatでJBoss部門担当シニア・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネジャーを務めているマーク・フルーリ氏は、オープンソース・ソフトウェアを開発している人々がきちんと報酬を得られるようにしなければならないと主張し、「われわれはそのために尽力している」と強調した。

 Sun Microsystemsのソフトウェア担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのリッチ・グリーン氏は、「Sunはオープンソース・ベンダーではないが、オープンソースに対しては大いに貢献してきた」と主張したうえで、「当社は元来、無償で提供されていたBerkeley UnixとNetwork File Systemを主軸に事業を始めた」と語った。

 また、パネリストたちは、Microsoft、IBM、Oracle、SAPなどの大手商用ソフトウェア・ベンダーの今後の対応についてコメントを求められたが、その意見は分かれた。

 OSDL(Open Source Development Labs)のCEO、スチュアート・コーエン氏は、「Microsoftが自社のアプリケーションをすべてオープンソース化すれば、非常に大きな市場機会が得られるだろう」と述べた。

 JBossは現在、Microsoftと提携を結んでいるが、一方、Oracleについてフルーリ氏は、「ラリー(Oracle CEOのラリー・エリソン氏)はオープンソースに夢中になっているようだが、本当はそれほど必要と考えていない」と指摘した。Oracleは、Red HatがJBossを買収する以前に、JBossの買収に関心を示していると噂されていた。

 一方、SpikeSourceのポレーゼ氏は、「IBMは、オープンソースを以前から受容しており、いずれ自社のビジネスをオープンソースによって推進していく方法を見いだすだろう」との見方を示した。

 また、オープンソースが、多額のライセンス料を前払いさせる方式から、ソフトウェアを無償で提供し、サービスやサポートによって収入を得る方式へとビジネス・モデルを転換させたことは、ビジネス上マイナスに見えるかもしれないが、ソフトウェア市場全体の成長を促すというプラスの面もあり、「今後も成長する余地が確実にある」とポレーゼ氏は主張した。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

SpikeSource:http://www.spikesource.com/
JBoss:http://www.jboss.com/
EnterpriseDB:http://www.enterprisedb.com/
Sun Microsystems:http://www.sun.com/
OSDL:http://www.osdl.org/

提供:Computerworld.jp