HP、米粒よりも小さい無線チップを開発─4メガビットのデータ保存が可能

 米ヒューレット・パッカード(HP)の研究者らは、米粒よりも小さい約2ミリメートル×4ミリメートルの無線チップを開発したと発表した。さまざまな物体への取り付けや埋め込みが可能で、チップに保存された情報は、1ミリ以内にある専用の読み取り装置に無線送信することができるという。

 今回、HPの研究部門「HP Labs」で開発された「Memory Spot」と呼ばれる新型チップは、半導体技術として普及しているCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)チップ技術をベースとしており、無線データ通信を実現するためのアンテナが内蔵されている。

 HPによると、Memory Spotチップのデータ転送速度は10Mbpsで、Bluetoothの約10倍、IEEE 802.11b規格に準拠した無線LANの速度にほぼ匹敵するという。

 同社はこれまでに、256キロビットから4メガビットの記憶容量(ごく短いビデオ・クリップや数点の画像、数十ページのテキストなどを格納できる程度の容量)を備えた、実用レベルの試作品のテストを済ませているという。

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HPが開発した新型無線チップ「Memory Spot」

 Memory Spotチップは、同じ電磁界を通じて1つの回路から別の回路にエネルギーを移転する「誘導結合」の原理により、読み取り/書き込み装置から電力が供給されるため、バッテリなどの外部電力を必要としない。同チップ専用の読み取り/書き込み装置も微小で、携帯電話やプリンタ、デジタルカメラなどに組み込むことが可能。これらを近づけることでチップの電源が入る仕組みになっている。

 HPでは、Memory Spotチップはコンシューマー向けからビジネス向け、産業向けのさまざまな用途に適用できると見込んでいる。

(ジョン・コックス/Network World オンライン米国版)

米ヒューレット・パッカード(HP)
http://www.hp.com/

提供:Computerworld.jp