GoogleのオープンソースホスティングについてGreg Stein氏へのインタビュー

オレゴン州ポートランド — 米Googleは、Google Code上でのオープンソースプロジェクトのホスティング開始を、O’Reillyオープンソースコンベンション(OSCON)で7月27日に行われるGreg Stein氏の講演において発表した。

Stein氏は、Googleのオープンソースエンジニアで、Apache Software Foundationの会長。同氏は、27日の現地時間(太平洋夏時間)1:45に予定されている講演”Googleのオープンソースコミュニティ向けサービス”で新しいサービスを正式発表した。

講演日前日、Stein氏とGoogleのオープンソースプログラムマネージャChris DiBona氏に話をきいた。このサービスは、SourceForge.netその他のコミュニティホスティングプロジェクトと類似しているが、これらと競合するものではないという。

Stein氏は、「わたしたちはSourceForgeがとても好きですし、SourceForgeを損なうようなことはしたくない」、またプロジェクトを奪い取ろうとも思っていないと語った。それよりも、オープンソースプロジェクトに新たな選択肢を提供するために、Googleのインフラを使って何ができるかを見定めることが目的だという。

DiBona氏は、これは「オープンソースプロジェクトに何が必要か、Greg(Stein氏)がひたすら追求した結果」であると話す。ほとんどのバグトラッカで得られる情報は企業や大規模プロジェクトが必要とする情報になっているが、Googleはまさにオープンソース開発者が必要とするものを提供するという。

Stein氏によると、Googleのホスティングはオープンソースプロジェクトに役立つ問題追跡に「まったく新しい視点」で取り組み、「まだ誰もやっていないことをやる」という。その一方で、SourceForge.netその他のコードリポジトリに既にあり、オープンソースプロジェクトや企業顧客にとってあれば便利な機能でも、Googleのホスティングでは対応しないものもある、とDiBona氏とStein氏は話した。

Stein氏は、この新しいサービスでGoogleは「重い構造の多くを削減」し、オープンソースプロジェクトに必要となる機能にGoogleのフルテキスト検索を適用することに成功したという。「(重い)構造内でクエリを実行する代わりに、全体をフルテキスト検索できるのです。これで問題追跡の強力なメカニズムが実現し、しかもとてもシンプルになります」

Stein氏は、Google Codeホスティングのそれ以外の主要機能として、「非常に拡張性の高いSubversionリポジトリ」を挙げた。Googleでは、Big Tableにデータを格納するようにSubversionをビルドし直したという。SubversionはGoogleで使われているストレージ技術で拡張性と可用性が高い。

Stein氏によると、Googleのすべてのプロジェクトはここに置かれる予定だが、プロジェクトをここに移動することを促しはしないという。万が一、新しいプロジェクトが既存のプロジェクトの名前空間を侵すことのないように、GoogleではSourceForge.netのプロジェクト一覧を保持しているという。

たとえば、Gaimプロジェクトは、SourceForge.netでのプロジェクト所有者の承認を得ない限り、Google Codeホスティングにはセットアップできない。SourceForge.netのプロジェクトとの混同や故意の重複は、これで防止される。

機能は未完成

最初のリリースですべての機能はそろっていない。だが、Googleの他のいくつかの新規サービス開始時とは異なり、招待なしでもすぐにサインアップできる。

なかでもファイルダウンロード機能が現在のGoogle Codeにはなく、最優先で追加する予定だとStein氏は話した。またSourceForge.netとは異なり、プロジェクトのWebサイトホスティングには対応しておらず、こちらは追加する予定もないという。

このサービスにサインアップするプロジェクトは、承認されている7種のライセンス、Apacheライセンス、Artisticライセンス、GNU General Public License(GPL)、Lesser General Public License(LGPL)、Mozillaライセンス、BSDライセンス、MITライセンスのいずれかを受ける必要がある。DiBona氏は、Googleでは、ライセンス増加に関する声明を発表して、プロジェクトで選択できるライセンスを限定しようとしているという。

DiBona氏とStein氏は、このサービスは、ApacheやGNOMEのように要件の複雑な大きいオープンソースプロジェクトより、 小さめのプロジェクトに理想的だが、大きいプロジェクトも歓迎だと語った。

今年のOSCONの中心的話題の1つはオープンデータ、つまり、あるプログラムやサービスからユーザがデータを取り出してほかで使えるようにする技術だった。Stein氏は、Googleではデータを移動できることの重要性を理解していると話す。「現在はまだその機能(移植機能)に対応していませんが、(対応)するつもりです…立ち上げ後すぐに取りかかろうと考えています」

NewsForge.com 原文