イラク従軍：戦時と平時を問わず利用されるLinux
Schroeder氏が高校の教師からLinuxの話を聞いたのは1999年のことだった。「ネットワークの講義を取っていたが、次に来るのはLinuxだと信じて疑わない相当なLinuxマニアがいて、私は彼を一目を置いていた」と彼は語る。Schroeder氏は彼の言葉を信じ、自宅でRed Hatにうち興じるようになった。
2001年、Shankar氏は96Uという別名を持つ無人航空機操縦士（Unmanned Aerial Vehicle Operator）として米陸軍に入隊する。「Shadow 200と呼ばれる遠隔操作のスパイ機を飛ばすのが任務だった」と彼は話している。2003年にイラクに派遣された際も、砂漠の真ん中とはいえLinuxに触れながら生活できることがわかって満足していたという。
Shadow 200とは、液体窒素冷却式カメラを使って監視を行う戦術無人航空機（Tactical Unmanned Aerial Vehicle：TUAV）である。操縦士は、改造された高機動多目的装輪車にSolarisオペレーティングシステムや「厳重に管理された」Javaアプリケーションを実行するコンピュータ一式を搭載した地上の管制ステーションから、この機体を操縦する。Shadow機が撮影した画像や動画は、カスタマイズされたRed Hat 9が稼働し、耐久性を高めた携帯型ビデオ端末に送信される。「この携帯型PCは、機体を追跡するための弱指向性アンテナにつながっているが、何らかの問題に見舞われているのが常だった」とShankar氏は話しており、こうした問題の特定と解決のためにLinuxに詳しいSchroeder氏が呼び出されたという。「軍が契約した受託業者はあまりUnixを理解していなかった」と彼は語っている。
Schroeder氏によると、イラクにおける軍の活動にはオープンソースソフトウェアを活用するテクノロジが織りまぜられていたという。1つの例として、陸軍のLand Warrior計画がある。兵士たちに特殊な組込みLinuxを搭載したコンピュータを「接続」し、兵士間の通信や敵の位置の追跡を可能にするというものだ。
再び一般市民に戻ったSchroeder氏は、オハイオ州シンシナティを拠点とするComair AirlinesでWeb管理者のキャリアを築く足掛かりとして陸軍で培った経験を活かしながら、米国で働き、同時に自らのスキルに磨きをかける機会を得たことを喜んでいる。彼は同社で約20台のアプリケーション・サーバと数台のApacheサーバの稼働状態を見守るほか、日々のUnixおよびLinuxのシステム管理も担当している。
さらに、空き時間を利用して社員によるコンピュータへのLinuxのインストール作業にも協力する。彼はUbuntuの熱烈なファンであり、「以前はFedoraを使っていて、今でもサーバにはFedoraを利用しているが、デスクトップ機ではすべてUbuntuが動いている」と語っている。Ubuntuをより良いものにするために、Schroeder氏は自らがFaster Dapperと呼んでいる評判のよいコードなど、いくつかのユーティリティスクリプトを書いている。「私は何であれ少しでも速くするのが好きだ。そのスクリプトは自分の手で書いた」と語っている。Faster Dapperを使えば、ファイル使用パターンを分析して最もよく使われているアプリケーションを事前に読み込むデーモン、preloadのようなUbuntuの特定の機能を有効にしたり、デフォルトで有効になっている多くのサービスを無効にすることができる。「私のノートPCではBluetooth機能は使っていないが、このデーモンのロードに2秒かかる。必要のないサービスの読み込みをたとえば14件も行っていると、もっと時間がかかるはずだ」
Schroeder氏が作成したスクリプトとしては、好きなテーマやデスクトップアイコンを自動的に設定してくれるPretty Dapperや、「基本的なシステム強化」をもたらすSecure Dapperもある。Faster DapperはFedoraやopenSUSEへの移植も行われる予定だという。Schroeder氏による作品のサンプルは、彼のWebサイトdigitalprognosis.comで入手できる。
NewsForge.com 原文
