Knoppixのインストールに関するヒント

多くのLinux愛好家と同様、私もKnoppixを一度試してみたいとずっと思っていた。KnoppixはCDから起動して実行できるLinuxディストリビューションである。ハードディスクにインストールする必要はない。これは、Linuxを試してみたり、システムのハードウェア互換性を調べたりするには最も簡便な方法だ。実際にKnoppixをCDから起動し、後にハードディスクにインストールしてみて、いくつか分かったことがある。皆さんがKnoppixを試す際の参考になりそうなので、ここで紹介しておこう。

このディストリビューションを試してみるためにには、最新のKnoppixイメージをダウンロードして、CD-ROMに焼き付ける必要がある。最新イメージをISOファイルの形で入手したりCD-ROMとして購入したりできるミラーサイトが、 Knoppix Webサイト にいくつか掲載されている。Knoppixはほぼ毎週のように新リリースが登場しているので、ダウンロードする場合は最新バージョンを入手してほしい。ファイル名の末尾にENが付いているのが英語版だ。

ISOイメージからCDを作成するLinuxコマンドは次のとおりである。

cdrecord -eject speed=16 dev=0,0,0 KNOPPIX_V3.2-2003-04-15-EN.iso
cdrecord がコマンドで、-eject を付けると焼き付けが終わったらCDが排出される。speed=16 はCDに焼き付ける際の速度、dev=0,0,0はデバイスID、KNOPPIX_V3.2-2003-04-15-EN.iso はこのISOイメージの名前だ。CDのデバイスIDが分からない場合は、cdrecord -scanbus コマンドを実行すれば使用可能なデバイスが一覧表示される。Ahead Software社の Nero Burning ROM 、Alcohol Software社の Alcohol 120% 、Roxio社の Easy CD Creator など、WindowsのCD作成アプリケーションでもISOイメージからCDを作成できる。

CDから初めて起動したとき、Knoppixは私のシステムのハードウェアをすべて検出してくれた。Red Hat 9.0などのディストリビューションでもハードウェアが完全には検出されなかったいう話を聞いていたので、これには感動した。

Knoppixの最大のメリットは、CDからの起動で使ってみて、気に入ったときだけインストールすればよいという点だ。この方法であれば、ハードディスクをこれまで同様にデータの格納に使用することができる。つまり、ディスクドライブのパーティション分割に悩む必要がない。また、新しいCDに変えるだけで新バージョンにアップグレードすることができる。ただし、ハードディスクにインストールしたオペレーティングシステムより動作が遅いという欠点もある。CDドライブよりハードディスクの方が速いからだ。

Knoppixを使い込んで気に入ったなら、ハードディスクにインストールしたくなるだろう。その場合は、ドライブの中身を事前にバックアップし、ハードディスクのパーティション分割に関する基礎知識を身に付けておいてほしい。

インストールに関するヒント

Knoppix CDを起動すると、このソフトウェアのFAQへのリンクが張られたブラウザウィンドウが現れる。このFAQには、Knoppixをハードディスクにインストールする方法も含まれている。ただし、そこに書いてあるとおりにしてはいけない。英語版のCDから起動した場合でも、ドイツ語版のソフトウェアがインストールされるからだ。FAQの指示に従ってしまった場合でもシステムを英語版に変換することはできるが、そのためにはドイツ語のインターフェイスを使ってあちこちにあるロケール設定を変更しなければならない。

FAQに示されたインストール方法に従う代わりに、メニューの[Knoppix]からRoot Shellを起動して、次のように入力する。

knx-hdinstall

このコマンドによって、ディスクのパーティション分割が可能な分かりやすいメニューが呼び出されて、Knoppixをインストールしたいハードディスクを選択するように指示される。最初のIDEハードディスクはhda、2台目はhdbだ。ただし、SCSIハードディスクの場合はsdaとsdbになる。パーティション分割ツールのcfdiskは使いやすいが、パーティションテーブルをハードディスクに書き込む際にはくれぐれも注意してほしい。システムに矛盾が生じて、既存データが消失しかねない。また、マシンに搭載されたメモリーの2倍(ただし、最低256MB)のサイズのスワップパーティションも作成しよう。

次のインストール手順として、スワップパーティションを選択し、フォーマットしたら、このオペレーティングシステムのインストール先になるルートパーティションと、ファイルシステムの種類を選択する。

ヒント:私がしたようにパーティションの種類をXFSにすると、Knoppixはインストールされない。ファイルのコピー中にインストールが止まってしまう。問題が生じたときの参照先である Knoppixフォーラム を見てみると、この種のバグが公開されていて、解決されたことになっていた。ところが、現に私の場合は解決していない。Knoppix開発者の皆さん、これを読んでいますか。

もう1つの問題点:パーティションの種類をEXT3にした場合、インストール後、KnoppixはEXT3パーティションをEXT2としてマウントする。KnoppixのカーネルがEXT3でコンパイルされていないからだ。パーティションの種類をEXT2にしたら、最終的にインストールできた。インストールには約2GBのディスク容量を消費した。KnoppixはDebianシステムとして完璧に起動し、CD-ROMから起動した場合よりはるかに高速に動作した。.

不足アプリケーションの追加

このリリースに不備がないわけではない。Evolutionメールクライアントが見あたらない。Gaimクライアントは、Yahoo Messengerで動作しない旧バージョンだ。また、インストールされたOpenOfficeはドイツ語版だった。

KnoppixはDebianベースなので、Advanced Package Toolでこれらの問題を解決することにした。APTに関する話はいろいろと聞いていたが、試してみたのはこれが初めてである。APTは優れたシステムだが、慣れるまでに少し時間がかかる。最新版を手に入れるためには、インターネットに接続できる環境にあるか、最新のDebian CDを入手する必要がある。

EvolutionとGaimをインストールするために次のように入力した。

apt-get install evolution/unstable
apt-get install gaim/unstable
また、次のコマンドを入力して自動スペルチェック機能を追加した。
apt-get install aspell ispell gnome-spell aspell-en iamerican

/unstable を指定しなくてもコマンドは正常に機能するが、かなり古いバージョンになってしまう。不安定バージョンの方が新しい上、言葉ほど不安定でもない場合が多い。

OpenOfficeを英語版にするため、ドイツ語版を削除して英語版をインストールした。

apt-get remove openoffice-de-en openoffice.org-bin openoffice.org-debian-files openoffice.org-l10n-en
apt-get install openoffice.org

もう1つのヒント:install_flashplugin.shスクリプトを使用するとMacromedia Flashブラウザプラグインをインストールできるが、システム全体で使えるような形ではインストールされない。システムを複数のユーザーが使う予定なら、rootとしてログインし、libflashplayer.soとflashplayer.xptの2つのファイルを自分のmozilla/pluginディレクトリから/usr/lib/mozilla/plugins/にコピーしよう。

比較的小さな欠点があり、インストールのサポート体制も限られてはいるが、Knoppixは優れたシステムだと思う。私にとってはお気に入りのLinuxディストリビューションの1つになった。改善や改良のヒントを知っている人がいたら、ぜひコメントを書いて、私やNewsForge読者に教えてほしい。( 原文)

Prakash Advaniは Netcore Solutions Pvt. Ltd. の副社長で、1996年からLinuxに携わっている。 FreeOS.com の創設者であり、 IndLinux Project の共同創設者でもある。