レビュー:Imendio Planner

あなたはプロジェクト・マネージャー。ないと困るソフトウェアと言ったら、何が思い浮かぶだろうか。なに、そんなものはない? うまくやっていらっしゃる。紙と鉛筆でできないことで、PCでできることはない。とはいっても、ソフトウェアの力を借りたいなら、そしてMicrosoft WindowsやMicrosoft Projectのようなプロプライエタリのアプリケーションを使うほどの無尽蔵の予算がないなら、たくさんのLinuxベースのプロジェクト・プランナーから好きなものを選べる。シンプルだが基本機能が豊富、そんな製品がお望みなら、Imendio Plannerはどうだろうか。

最新のLinuxディストリビューションをお使いなら、Imendio Plannerは、既に手元にあってもおかしくない。コマンドラインで「planner」と入力するか、ウィンドウマネージャのメニューの表示を見て確認していただきたい。私はSlackwareをインストールしたが、うれしいことにKDEとGNOMEのメニューにImendio Plannerの姿があった。まだお持ちでない方は、GNOME FTP サイト(Windowsの場合はPlanner on Windows Webサイト)でダウンロードできる。バージョンはまだ0.13だが、それは見送る理由にならない。Imendio Plannerは、不安定なアプリケーションではない。もっとも、Microsoft Projectほど多機能ではないことは事実だ。

Microsoft Projectを使ったことがあれば、Plannerを起動してすぐに画面の意味はわかるだろう。全体は4つのエリアで構成されている。

  • Gantt チャート
  • Tasks
  • Resources
  • Resource usage

Gantt チャートでは、タスク(プロジェクトの基本建築ブロック)を追加して、プロジェクトを視覚的に作成できる。その後で、タスクの期間を設定し、タスク間にリンクを作成できる。リンクが示すのは、タスクの前後関係だ。ほんの数分のうちに、プロジェクトの詳細を画面に表示できる。

Tasksペインには、プロジェクトを構成するタスクが表形式で表示される。つまり、Ganttチャートの表示形式よりスプレッドシート形式の表示を好むなら、このペインの方が使いやすい。

プロジェクトを構成するタスクを作成するには、当たり前のことだが、誰が仕事を担当するのか明記する必要がある。Resourceペインには、手持ちのリソースの一覧が表示される。リソースはたいていは組織内の人員だが、他社、下請け、機器などや、場合によっては部屋さえもリソースになる。さらに氏名、メールアドレス、レートなどの詳細情報を追加できる(ただし、メールアドレスとレートはこのアプリケーションでは使われない)。新しいリソースを追加したときは、Ganttチャートペインに戻って、新しいリソースを然るべきタスクに割り振ることができる。

Plannerの既定の稼働時間は、週5日(月〜金)、午前8:00〜12:00、午後13:00〜17:00である。この既定値は、実際の組織で定められた稼働時間に簡単に変更できる。また、祝日などの公共の休日を追加する必要がある。

プロジェクトごとに標準のカレンダーがあるが、そのほかにプロジェクトチームに属するメンバーごとに個人カレンダーを設定できる。このカレンダーは標準のカレンダーを基にするが、他の情報も追加できる。たとえば、Fredは7月1日に休暇をとる。Maryは出産で8月いっぱい休む。こういったスケジュールは、プロジェクトのタイミングに影響する。また、部屋や機器などのリソースを扱う場合、この機能は便利だ。使用できる期間だけを設定したカレンダーを作ることができる。

Plannerで一番便利なのは、タスクにリソースを割り振ると、タスクに要する時間がそれに合わせて調整されることだ。たとえば、1週間のタスクをHenryに割り振ったが、その後、彼が1か月の休暇をとることになった。Plannerでは、この遅れが自動的にプロジェクトに織り込まれ、それによる玉突き的な影響が(Ganttチャート上で)目視できる。ここで、さらにリソースを追加するかどうかは自由である。追加した場合、タイムスケールへの影響もすぐに表示に反映される。

もう1つの便利な機能は、個人が1つのタスクに割くことのできる時間をパーセンテージで指定できることだ。たとえば、FredにはフルタイムでタスクAを割り振り、JohnにはこれもフルタイムでタスクBを割り振り、JaneにはAとBを半々で割り振る、といったことができる。

Ganttチャートを見ると、何をやるのか、いつまでにやるのか、誰がやるのかがわかる。一方、Resource Usageペインを見ると、各個人が何をいつまでにやるのかがわかる。特に、リソースに負荷がかかり過ぎている時期があれば一目瞭然だ。一人に2つのタスクを同時にフルタイムで割り振ったケースなどがよくわかる。この画面をチェックしていれば、恥をかかずに済むだろう。

どのペインも使い勝手は良好で、高度にプロフェッショナルなプランを準備するまでそう長い時間はかからない。

泣きどころは?

Imendio Plannerの開発者は、プロジェクトマネージャが必要とする主要な領域にもっぱら労力を傾けている。Microsoft Projectと同等の機能はないが、ある必要はない。たとえば、Pertチャートの機能もなければ、Resource Soothingもない(後者は単にリソースが効率的に使用され、極端に忙しかったり暇だったりしないようにする機能に過ぎない)。  

もっとも、設定したプロジェクトプランを実際の作業経過と比べる方法が(紙に印刷して見比べる方法以外に)あれば便利だろう。カレンダーは便利な機能だが、作成に時間がかかることがあるし、実際の稼働時間は考慮に入れてくれない(タイムカードアプリケーションではないのだ)。そうしたいなら、カレンダーを編集し直す必要がある。また、リソースに入力できる経費は積極的に利用されない。予算を組む機能を追加すれば、Imendioはさらに強力になるだろう。

Plannerの”データベース・サポート”にも不満がある。プロジェクトプランを個別のファイルではなく1つの中央データベースに保存する、というのがPlannerの発想だ。サポートされているのはPostgreSQLだけだが、個人的にはどのデータベースを使うか指図を受けるのは気分が悪い。そう思いつつも、ひとまずPostgreSQLをLinuxコンピュータにインストールし、Imendioの指示に従ってデータベースをセットアップしてみた。ところが、Plannerはそこにあるデータベースをさっぱり認識してくれない。Windowsバージョンを入手してみたが、こちらはデータベースを検出しようとしてクラッシュしてしまう。プロジェクトプランをデータベースに保存することを予定している場合は、このアプリケーションは選択肢に入らない。

このデータベースの問題は、大きな問題ではないだろう。データベースを使わなくても、ソフトウェアの動作に影響はないからだ。Plannerで保存したプロジェクトファイルは、Linux版とWindows版の間で受け渡しできる。この方が、データベースを使うより安全ではないだろうか。ユーザーのコピーを隔離し、誰かが誤ってマスターを変更してしまう危険性を排除できる。

最初に起動したときに見えるものより多くをPlannerに期待しないように。予算と実費の比較をレポートするような、一般的なプロジェクト管理の機能はない。用意されているのは、何を、いつ、誰がやるのかを決定するために不可欠なプロジェクトプラン要素を扱うメインインタフェースだけである。

他の選択肢

もちろん、プロジェクト管理に他の選択肢がないわけではない。お金が有り余ってるWindowsユーザならMicrosoft Projectにしがみつくのも結構。いい仕事をするし、他のすべてのプロジェクトプラン・ソフトウェアでは、自身の完成度を評価するためのベンチマークとして意識されている。

他の選択肢も試してみたいLinuxユーザには、以下をチェックしてみることをお勧めする。

Plannerは、駆け出しの新人だが、現在ある機能は既になかなかの水準にある。Microsoft Projectのクローンではないが、プロジェクトプランナーに必要な主な要素は揃っているし、それらの使い方も素晴らしい。データベース・サポートは十分とは言えないが、致命的な問題ではなく、このアプリケーションの利点をあきらめるほどの欠落ではない。Imendio Plannerには、プロフェッショナルなプロジェクトプランを簡単に作成する能力がある。

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