Red Hat Summit 2007、順調な開幕を迎える

 第3回Red Hat Summitが現在サンディエゴにて開催中である。先に行われた2つの大会に比べて、今回のサミットはかなり異なる雰囲気の下で進められている。その1つは参加者の多さである。入場チケットは完全な売り切れ状態で、Red Hat側も早々に新規の登録を打ち切らなければならなかったほどだ。実際、イベント参加者はSheratonホテルの空き部屋に収まりきらず、他の2つのホテルにも分散して宿泊する状態になってしまったため、これらのホテル間を結ぶ送迎バスがRed Hatにより手配されていた。これは非公式な値であるが、今回の参加者数は1,200から1,400人とされており、昨年の場合は1,000人に達していなかった。

 昨日のうちに到着したコンファレンス参加者に対しては、Sheratonホテル近くのマリーナに設けられた大型テントを会場として、Dell主催によるイブニングレセプションへの招待が行われた。同レセプションのテント会場では、本サミットのスポンサーとなった26団体によるブースも展示されていた程である。ここまで大がかりなサポートが催されると、LinuxWorld ConferenceやExpoのミニ大会という雰囲気がしないでもない。

 昨晩のレセプションにて、受け付け待ちの行列に並んでいる際に私の耳に入ってきたのは、米下院のスタッフがRed HatのカスタマやHewlett-Packardのコンサルタントとの間で交わしていた雑談であった。その後、第1回目のニューオーリンズサミットで知り合った友人達と昨年のナッシュビル大会以来の再会を祝していると、同じテーブルに若いイギリス人が腰掛けてきた。イギリス風アクセントが印象的であったが、その他にもこの夜は様々なアクセントによる会話を耳にしたものである。これは世界各国から参加者が集まっていたことを示す、よい証拠と見なせるだろう。

 その翌日である本日朝、会場に詰めかけた立ち見姿の聴衆に対してRed HatのCEOを務めるMatthew Szulik氏が行った基調講演により、2007年度サミットの正式な開幕が告げられた。なお同氏の講演の前には、第1回サミットで公開された「You are here」ビデオの続編が上映されていた。新バージョンのビデオは、結末を「We are here」で締めくくるといった変更が施されていた程度で、最初のビデオほどの斬新性に欠けていた感じがしないでもない。

 次に演壇に登ったのは、Red Hatの技術責任者を務めるBrian Stevens氏である。同氏は、Red Hatには現在200万台のシステムが登録されていると豪語していた。また同氏は、昨晩のうちにレポータのPeter Galli氏から出されていた質問として、Red Hatがデスクトップ分野での攻勢に出るのはどの時期かという問いに対する婉曲的な説明をしていた。このときStevens氏は、ブラジルの子供達がOLPCマシン用ユーザインタフェースのSugarを操作する様子を収めたビデオを上映し、ドキュメント主体ではなく具体的な操作を中心に設計された点がSugarの特徴であるとし、従来型デスクトップとの違いについて語っていたのである。つまり、よくあるWindowsデスクトップのクローンという手法を避けて構築されたSugarこそが将来的なRed Hat独自のデスクトップの雛型になるであろう、ということである。

 これまでの大会と同様に今回のサミットも活気溢れる内容であり、2日半の日程において「What’s New」、「ROI, TCO, SOA, and Other Important Acronyms」、「Beyond the Operating System」、「Peer to Peer Perspectives」、「What’s Next」、「In the News; and Decoding the Code」という7つのトラックが組まれている。その他にも本日および明日にかけてはLinux Labsによる実演セッションが終日開催される予定である。

NewsForge.com 原文