Scribus――テキストレイアウトエンジンを全面刷新したバージョン1.3.4のリリース

 Scribusチームによりほぼ1年がかりで開発が進められてきたScribus 1.3.4が公開された。今回のリリースではテキストレイアウトエンジンが全面的に刷新された上に、TIFFおよびPSDファイルサポートの強化、プレビューモードの改善などが施されている。

 Scribusは、プロの使用に耐えうるオープンソース系デスクトップパブリッシング(DTP)プログラムとして高い評価を得ており、PageMakerやQuarkXPressに匹敵する高度なページレイアウト機能を備えているのがその特長だ。

 今回のリリースではテキストレイアウトエンジンの全面的な再構築が行われた他にも各種の新機能が追加されており、例えばカラーマネジメント機能の強化およびプレビューモードの改良が施されたことで、「色覚障害を抱える読者」が見た場合の紙面の様子をシミュレートできるようになり、そうした人々が判読しにくい配色を事前に避けることが可能となった。

 Scribus 1.3.4でその他に追加された機能としては、TIFF/PSDサポートの拡張、Photoshopからエクスポートされる特殊なEPSファイルのインポート機能、スタイルおよびテキスト管理機能の強化、新規のスタイル管理用パレットの追加が挙げられる。また印刷前工程で役立つものとしては、レジストレーションおよびトリミング用のマーキング、キャリブレーションバー、ドキュメントメタ情報などがある。

 一般にオープンソース系DTPアプリケーションではTeXおよびLaTex形式をベースとしているものが多いが、Scribusでは業界標準のPDFおよびPostScriptファイルでの出力に対応しており、また比較的ユーザフレンドリなインタフェースを装備している点も評価すべきだろう。実際、同プロジェクトのWebサイトには、「プロの出版関係者だけでなく初心者に対しても丁寧なサポートをするScribusコミュニティ」に言及する開発陣からのコメントが掲載されている。

 Scribusユーザの利用可能な情報源としては、メーリングリスト、Scribus IRC、wiki(初心者用ガイドの「Get Started with Scribus」もここに収録)、バグトラッカが用意されている。

 このように多機能なScribusであるが、具体的な使い方や実際の操作性はどのようなものなのだろうか? Linux.comでは昨年、Dmitri Popov氏の執筆した「Desktop publishing with Writer and Scribus」(WriterとScribusを活用したDTP)という記事を掲載しており、Scribusの操作手順およびOpenOffice Writerとの併用法の詳細を紹介している。またそれ以前の記事になるが、Nathan Willis氏による「Small-business forms using Scribus and PDF」(Scribusを用いた事務書類のPDF化)というレポートも参考になるだろう。

 Scribusは、Linux/Unix、MacOS X、OS/2、Windowsの各プラットフォームでの利用が可能である。入手法についてはSourceForge経由でRPMあるいはソースコードをダウンロードできる。最新リリースに関する詳細は、プロジェクトから公開されているリリースノートが参考になるだろう。

Shirl Kennedyは1992年よりテクニカルライターとして活動しており、現在はDocuTickerおよびResourceShelfウェブログのシニアエディタを務め、Information Todayの「Internet Waves」コラムにも寄稿している。

NewsForge.com 原文