GNU Emacs 22が正式リリース――6年ぶりの新規バージョン

 Emacsファンが指折り数えて待ち望んでいたGNU Emacsの新バージョンがようやく公開された。Free Software Foundation(FSF)からGNU Emacs 22のリリースがアナウンスされたのは(正確に言うとバージョン22.1だが……)、前バージョンのリリースから実に6年近くの歳月を経ての出来事になる。今回のリリースでは、GTK+のサポート、Xでのドラッグアンドドロップの対応、各種の新規モードの追加、GNU Debugger(GDB)のグラフィカルインタフェース化などが行われている。

 FSFに対しては、安定バージョンのリリースにこれだけの期間を要した点について若干の批判が寄せられている。実際、前回のEmacs 21のリリースは2001年10月まで遡らなければならない。

 例えばJon Corbet氏が5月に投稿した記事には、せっかく開発したパッチや機能が安定リリースに反映されないまま何年間も放置されていることに対する開発者たちの不満の声が紹介されている。通常のフリー/オープンソース系プロジェクトが長くても6カ月程度のサイクルで新規リリースを行っている点を考えると、GNU Emacsの開発サイクルは確かに緩慢すぎると言えるだろう。

 いずれにせよ、新バージョンが公開されたのは喜ばしい話である。実際に使用するには、GNUのFTPサイトあるいはミラーサイトからtarボールをダウンロードすればいい。

 今回のリリースでは、AMD64、S/390、Tensilica XtensaマシンにおけるLinux環境を始め、FreeBSD/Alpha、Cygwin、Mac OS X、Mac OS 9(Carbonサポート)環境でのビルドもサポートされている。また新たなGNU EmacsではLeimパッケージが統合されているため、中国語、チベット語、ベトナム語、タイ語、韓国語などの入力を行いたい場合も、個々のユーザがこれらの言語パッケージを個別にダウンロードする必要が無くなった。Emacs用のチュートリアルについても、ブラジル語(ポルトガル語)、ブルガリア語、中国語(簡体字/繁体字)、イタリア語、フランス語、ロシア語版が新たに用意されている。

 繰り返しになるが、今回のリリースは6年間に及ぶ開発努力の集大成である。その分、変更箇所も多岐にわたっているが、詳細についてはEmacs 22に添付されたNEWSファイルあるいはリリースアナウンスメントを参照して頂きたい。

NewsForge.com 原文