重度のタブ依存症患者に贈る有用な各種Firefox機能拡張

 Firefox上で常に複数のページを開いて作業をするユーザにとって、タブ表示はコンピューティングライフに不可欠な必須機能の1つと言えるだろう。現状でFirefox Add-onページには、110を超えるタブ関連の機能拡張が登録されている。これらの機能拡張で追加される機能は様々であり、ごく単純な基本機能を補完するだけのアドオンもあれば、複数タブのアドレスやセッションを保存するものや、各タブ中のコンテンツをサムネール表示するものもあり、また複数の機能を寄せ集めたコレクションセットがあるかと思えば、既製のどのような分類にも収まりきらないアイデアを実装したものもいくつか存在している。

 ブラウザ上では最低でも5個や6個のタブを常に開き続けているというタイプのユーザであれば、Firefoxにデフォルトで用意されているタブ機能の貧弱さに嘆いていることだろう。そんなユーザに最初にお勧めするのは、指定タブの右ないし左側にあるすべてのタブを一括で閉じる removetabs 機能拡張である。このremovetabs機能拡張にはすべてのタブを閉じる機能も装備されているが、デフォルトでは有効化されておらず、また同様の機能は Close All Tabs 機能拡張をインストールすることでも装備できる。

 任意指定した複数のタブを一括で操作したければ、 Multiple Tab Handler という機能拡張が存在している。またブラウザ上でタブを管理する際に操作ミスは付きものだが、そうした操作の取り消し機能を追加してくれるのが Undo Closed Tabs Button という機能拡張である。ただしこの機能拡張は、タブの右クリックによるコンテクストメニューではなくFirefoxのツールバーに追加されるアイコンを介して操作する。

 その他の基本的な機能拡張としては、新規タブの追加位置を既存タブ群の右端ではなくカレントタブの隣にする Tabs Open Relative が存在している。これは一見すると些細な動作変更だが、表示しきれない数のタブを開いた状態で新規タブを追加した場合、そこまで移動するスクロール操作は結構面倒なものである。

 その他の基本的な機能拡張としては、複数のタブをアドレスベースでグループ化するというタイプも存在する。そのうち Separe は単純にセパレータ代わりにオレンジ色をした実質的な空白タブを表示させるだけだが、 Separate tabs では、より細身の隙間がタブグループ間に表示されるようになる。また ChromaTabs の場合は、類似アドレスのページごとにタブの表示色を統一するという方式でグループ化され、その際のタブグループの表示色はランダムに選択させるか、あるいはサイトのアイコンをベースとしたものとなる。

複数タブの管理

 タブのヘビーユーザであれば Tab X に魅力を感じるかもしれない。Firefoxでは、表示するタブの数や有効化する機能拡張の組み合わせによってタブ上のクローズ用ボタンが消えてしまう場合があるが、この機能拡張を使用すると、クローズ用ボタンを各タブ上に常に表示させておくことができる。その他に多量のタブを扱う場合に重宝する機能拡張が FishEyeTabs で、これをインストールしておくと、マウスポインタを重ねたタブ名の表示幅が左右方向に拡大表示されるようになる。またブラウザウィンドウの横幅に収まりきらない数のタブ間を頻繁に移動する場合には、 Tab Overflow Scrollbar という機能拡張が役に立つはずだ。

 通常のタブは横一列に表示されるのに対して、 Vertigo 機能拡張は、ブラウザウィンドウの左端に縦方向に並べて表示することで複数タブの効率的な管理をするというソリューションを提供している。この表示法のメリットは、タブの横幅が常に一定化されると同時に、すべてのタブ幅をまとめて変更できる点である。

 大量のタブを取り扱うソリューションとしては、これらをサムネール化するという選択肢も存在している。このうち Ctrl Tab Preview がカレントタブを中心とした一部のサムネール表示だけをするのに対して、 Galleropa および Tab Catalog は表示中の全タブをサムネール化したものをダイアログウィンドウに一覧してくれる。同じく Thumbstrips は映写スライド形式、 Tab Slideshow はプレゼンテーション形式でサムネール表示をする機能拡張である。

タブアドレスの保存と取得

 標準状態のFirefox 1.xで開いたタブのアドレスを保存するには、個々のタブごとにブックマーク登録するしかないが、この簡単な作業も対象となるタブ数が増えると結構な手間になってしまう。バージョン2.xにアップグレードできれば表示中の全タブを一括でブックマーク登録する機能が使えるようになるが、何らかの事情でアップグレードできないユーザもいるだろう。そんな場合は Bookmark All 機能拡張をインストールしてみればいい。またどちらのバージョンでもタブとして開かれているURL群の一覧を取得する機能は装備されていないが、そうした情報を友人に送信したいという場合は、 Tab URL Copier が役立つだろう。

 状況によってはブックマーク登録という形態ではなく、表示状態を1つのセッションとして保管したい場合も出てくる。そんな時は LinkWad という機能拡張を使用すると、タブグループの保存およびキーボード操作での呼び出しという操作が行えるようになる。また同様の Session Manager 機能拡張では、ツールバー上のアイコンおよびToolsのサブメニューからこうした操作を実行できるようになっている。

その他の機能

 キーボード主体で操作しているので可能な限りマウスに手は伸ばしたくないというユーザであれば、 SwiftTabs をインストールすることで、タブのオープンやクローズといった基本操作にキーボードショートカットを割り当てることができる。また、特定のタブに繰り返しアクセスするという操作スタイルのユーザに対しては、 Permatabs という機能拡張の提供する、ブラウザを起動するごとに指定アドレスのタブを自動で開くというソリューションが役立つかもしれない。

  RenameTabs とは、その開発者の説明を借りるなら、ブラウジング時のプライバシを保護するための機能拡張である。この含みのある説明からは、勤務時間中にポルノサイトを覗き見る不届き者を連想するかもしれないが、タブの表示名をユーザが変更できるという機能は、調べものをしている際に大量のタブを分類し、作業の進捗に従ってタブ名を整理するといった実用的な用途に供すこともできる。

 その他のタブ関連の機能拡張としては、Webページ上にある複数のリンクをマウスドラッグで選択して、それらを一括して新規タブに表示させる Snap Links も存在する。またタブ用の機能拡張ではないが、ブラウザウィンドウを複数の独立した表示領域に分割する Split Browser などは、現行のタブ機能に対する1つの進化形態と見なせないこともないだろう。これら2つの機能拡張は、タブ型ブラウジングの愛好者でなくとも一度は試してみてもいいのではなかろうか。

複数の機能拡張を組み合わせた場合のコンフリクト問題

 過去に各種のFirefox機能拡張を使ってきた熟練ユーザであれば、タブ関連の機能拡張をこれだけ多数紹介されても、組み合わせによってはコンフリクトするのではないかが気になるところだろう。またFirefoxのバージョン1.x用に開発された機能拡張は、現行のバージョン2.xでは使用できないものが多い。

 今回私が試した範囲内でも、Vertigoを実行したらChromaTabsが使えなくなった。またSeparate tabsを有効化しておくと、removetabsで閉じられるタブが左端または右端にある一番最初のタブだけになってしまう。その他の組み合わせにおいても、何か奇妙な現象や不具合に遭遇する可能性が残されていることに間違いはないはずだ。

 この問題に対するソリューションの1つは、最初から複数機能を1つにまとめたコレクション型の機能拡張を使用することである。そうした中での金字塔的存在と言えば Tabbrowser Extensions であるが、実は最新版のFirefoxでこのTabbrowser Extensionsが使用できなかったことが、本稿を執筆するきっかけとなっている。なおTabbrowser ExtensionsはオフィシャルなFirefox機能拡張として認められていないが、それは各種機能のデフォルトの挙動が大幅に変更される上に、野心的なプログラムであるが故のクラッシュの頻発が解決されていないためである。

 そのため実際に使用するのであれば superT Tab Mix Plus などのコレクション型機能拡張を使用するのが無難だろう。これらの機能拡張でも、タブの複製やクローズ操作の取り消しなど各種の機能が追加される。こうしたコレクション型の機能拡張を使用するメリットは、その中にパッケージされている機能間についてはコンフリクトの心配をする必要がないことだが、それですべてが満たされる訳でもないので、結局は不足分を補完してくれる機能拡張との相性に悩まされることになるだろう。また、こうしたコレクション型の機能拡張どうしでもコンフリクトするかもしれない。

 各ユーザが自分の満足行くソリューションに到達するには、各自に必要な機能を一式そろえられる機能拡張の組み合わせを自力で探し出すしかないだろう。また将来的に再インストールをする必要に迫られる可能性もあるので、見つけ出した組み合わせについては何らかの形で保存しておくべきである。どのような機能であれ、必要なものを提供してくれる機能拡張はたいていは存在しているはずだが、不具合なく動作する組み合わせを見つけ出すまでには、ある程度の試行錯誤を繰り返す必要があるはずだ。私もタブの依存症患者の1人だが、そうしたヘビーユーザがこうした難関をひとたびクリアできれば、それまでの試行錯誤に要する時間に見合うだけの成果を得られたことに充分満足できるものと思う。

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Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.com、IT Manager’s Journalに定期的に寄稿している。

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