Mandriva Flash 2008登場 メモリーの容量を拡大、新機能も

 USBにパッケージされUSBから起動できるように作られたLinuxを提供しているのは、現在、Mandrivaだけだ。もちろん、ほかのLinuxディストリビューションも、そのほとんどは外部USBデバイスにインストールすることはできる。しかし、Mandriva Flash 2008はプレインストール版Mandriva Linuxの入ったUSBスティックと、便利なツール数本を収めたCDから成る完全なソリューションだ。改善の余地がないわけではないが、価値あるパッケージである。

 Mandriva FlashはMandriva Linux 2007を基にした2GBのUSBスティックとしてデビューしたが、この12月にリリースされたものではスティックの容量を倍増、システムは最新のMandriva Linux 2008になった。使用されているUSBスティックは欧州の大手フラッシュメモリー・メーカーDane-Elec製で、5年間の保証付き。つまり、高品質のスティックをプレミアム付きで買うようなものだが、数週間使って失望するようなことはないだろう。

 Mandriva Flashを起動するのは、USBデバイスから起動可能なコンピューターであれば簡単だ。USBが最初の起動デバイスになるようにBIOSを設定し、Mandriva Flashドライブを挿入して再起動するだけ。BIOSの設定方法がわからない人には、Mandrivaのサイトに詳細な手引きが用意されている。

 コンピューターが古くUSBから起動できない場合、起動する方法は2つある。一つは、Mandriva Flashスティックのdocフォルダーにあるboot.isoイメージを使って起動用CDを作成する方法。USBポートを備えたコンピューターであれば、このCDを使ってほぼ間違いなくMandriva Flashを起動することができる。しかし、この方法は素晴らしくエレガントとは言い難い。Mandrivaも同感のようで、第2の方法としてezBootという新しいツールが用意されている。Windowsの下でMandriva Flashスティックを挿入すると簡易なランチャーが起動され、いくつかの機能を表示する。その中の一つ、「Mandriva Flashの起動」を選ぶと、ごく小さなブートローダーとおぼしきものがロードされ、コンピューターの起動時にWindowsとMandriva Flashのいずれを起動するか選択できるようになる。これはうまいやり方だが、大きな問題が1つある。ハードディスクにブートローダーが残ってしまうのだ。いつもMandriva Flashを使いたいのであれば大した問題ではないだろうが、不特定の人が使うコンピューターでこの方法は使えない。コンピューターを使おうとしたらWindowsが立ち上がらずに真っ黒な画面に訳のわからない選択肢が2つ表示されたとしたら、図書館の職員は面食らうだろう。ブートローダーを削除する簡単なツールがほしいところだ。

 Windowsと言えば、Mandriva FlashにはMozillaのFirefoxとThunderbirdのWindows用ポータブル版が付属しているので、必要な設定をしておけば、Linuxでなくても、これを使って電子メールを読んだりWebを見たりすることができる。しかも、これらアプリケーションのプロファイルはMandriva Flashと共通だから、その後スティックからLinuxを起動した場合も電子メールや履歴やブックマークが失われることがなく、継続して使える。

 Mandriva Flashディストリビューション自体は、Mandriva Linux 2008とほぼ同じものだ。Mandriva Flashを起動すると、初回のみ、構成が始まる。Mandriva Linuxのデスクトップ版をインストールするときとほぼ同じ手順で、地域、タイムゾーン、rootパスワード、ユーザーの作成、3Dデスクトップの使用の有無などを設定する。MetisseとCompizという2種類の3Dデスクトップが付属している点も同じだ。異なるのは、スティックの容量のうちLinuxシステムで使う大きさを設定するところ。デフォルトは400MBだが、変更することもできる。たとえば、別途アプリケーションをインストールするつもりなら大きくする。もちろん、その分ファイルや文書のスペースが小さくなる。システムの構成ができたら、後は、いつものMandriva Linuxデスクトップと同じだ。

 Rescue CDも用意されている。これを使えば、rootやユーザーのパスワードを取り消したり、Mandriva Flashのバックアップを作ったり、過去10回分のバックアップのいずれかを復元したり、USBスティックにエラーがないか調べたり、出荷時の設定に戻したりすることができる。こうした機能を活用すれば、データの消失やスティックの問題に対処できる。もっとも、筆者が試用したときには、挿入したスティックが認識されず役には立たなかったが。

まとめ

 外部USBドライブから起動するために作られたディストリビューションはほかにもあるが、Mandriva Flashには価格に見合うだけの価値がある。何よりも、手間暇かけてUSBスティック上のLinuxディストリビューションをインストールし構成する必要がない。また、3Dデスクトップ効果などの飾りも含めたフル機能を備えている点でも類を見ない。しかし、改善の余地はある。ezBootは、実用上、アンインストール機能が必要だし、Rescue CDにはスティックが認識されない問題がある。

Dmitri Popov フリーランスのライター。ロシア・英国・米国・ドイツ・デンマークのコンピューター雑誌に寄稿している。

Linux.com 原文