Indywiki: ウィキペディア用ビジュアルブラウザ

 ウィキペディアでは、検索機能を使ってあるトピックについての記事をすばやく見つけだすことができるが、このオンライン百科事典を探索する場合に、従来の検索ボックス方式とは異なった画期的な方法がある。 Indywiki には現在閲覧している記事と関連記事のイメージを展開する機能があり、これを使うことで、探している記事が見つかった時に、関連するトピックを視覚的な形で閲覧することができる。イメージをクリックすれば、Indywikiはその画像のリンク先にある記事を表示する。

 IndywikiはPythonで記述されており、python-qt4パッケージを使用する。このパッケージは、ほとんどのLinuxディストリビューションのリポジトリに含まれている。Linuxディストリビューションのパッケージマネージャを使用してpython-qt4パッケージをインストールし、最新バージョンのIndywikiアーカイブをダウンロードして解凍すれば準備完了だ。Indywikiを起動するには、Indywikiのディレクトリへ移動し、「python indywiki.py」コマンドを実行すればよい。

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Indywiki

 Indywikiには、おもに4つの要素を持つシンプルなGUIが備わっている。一番上には、ウィキペディアの記事から展開したイメージを表示する見やすいペインがある。他のウィキペディアブラウザとは違い、Indywikiは記事を表示するだけでなく、内容を解析してContentsウインドウに記事のセクションを表示するようになっている(これは記事の目次として機能する)。Linksウインドウには、記事の中のリンクがすべて表示される。この機能によって記事が読みやすくなるが、記事の内容からリンクが移動されるため、記事の元々の構成が崩れてしまう欠点がある。この問題は、ウィキペディアにあるオリジナルの記事を開くボタンやメニューを追加すれば簡単に解決できそうだが、現在のバージョンにはそのような機能が備わっていない。

 Indywikiを使うには、まず検索に使う言葉をSearchボックスに入力してGoボタンを押せばよい。Indywikiはマッチした記事を見つけ出し、内容を処理してから、マッチした記事や関連記事のイメージを取得する。Contentsウインドウのリンクをクリックすれば、記事内の該当箇所にジャンプできる。Linksウインドウでは、リンクをクリックすることで新たに検索を行うことが可能だ。ここで唯一不便なのは、以前見た記事に戻る機能が備わっていないことだ。今のところ、以前見た記事に戻るにはもう一度検索を実行するしかない。

 Indywikiで最も興味をひかれる部分はイメージブラウザだ。これを使うことで、興味や関心がある画像のサムネイルをクリックして関連記事を探すことができる。イメージギャラリーはNextやBackボタンを使ってブラウズする。イメージが現在表示されている記事に関係している場合、画像をクリックして別ウインドウにオリジナルのイメージを開くことができる。イメージブラウザは、使いやすいグラフィカルナビゲーションツールであるだけでなく、現在表示されているトピックに直接関連していないイメージが表示されることがよくあるため、まったく違う検索の側面に気付くことができる。たとえば、霊長類メガネザルについての記事では、ContentsウインドウやLinksウインドウにはリストされていない、別の霊長類であるアイアイの画像が表示される。

 Indywikiの設定オプションには言語選択のみ提供されている。デフォルトでは英語版ウィキペディアを使用するようになっているが、ViewメニューからChoose Wikipedia siteを選択することで、別の言語に切り替えることができる。

 Indywikiは、わずかな問題はあるものの、ウィキペディアを探索するアプローチとしては興味深い。Indywikiで生産性を向上することはできないかもしれないが、思ってもみない面白いトピックを発見することができるだろう。

フリーランスのライターであるDmitri Popovは、ロシア、イギリス、アメリカ、ドイツ、オランダのコンピュータ雑誌に寄稿している。

Linux.com 原文