Thunderbirdにファセット・ブラウジング機能を追加するエクステンション Seek

 Thunderbirdの受信トレイで悩んでいる人にお勧めしたいエクステンションがある。ファセット・ブラウジング機能を付加する SIMILE Seek だ。これを利用すると、電子メールの検索や操作のあり方が一新される。

 ファセット・ブラウジングの仕組みを理解するために、由緒あるOpen Directory Projectなどのサイトを見てみよう。こうしたサイトでは、基準(ファセット)を順次指定していくことでデータを絞り込むことができる。たとえば、「コンピューター」という広いカテゴリーから始め、さらに「オープンソース」、「ソフトウェア」などと絞り込んでいく。カテゴリーを指定するということは検索に新しいファセットを追加するということであり、これによって検索を順次精密化していくわけだ。

 Seekは、同じような方法で電子メールを絞り込む機能を追加する。インストールするとThunderbirdのインタフェースに、デフォルトのファセットがいくつか並ぶパネルが追加される。各ファセットには、それが表す基準に応じて絞り込んだメールが表示される。たとえば、Tagファセットには、タグ付きの電子メールがタグごとに表示される。あるいは、Recencyファセットには、今日受信したもの、昨日受信したもの、今週受信したものなどが表示される。

 ファセットでは対応する基準を満たすメールを一覧できるだけでなく、さらに絞り込むこともできる。たとえば、Tagファセットで「Important」タグをクリックすると「Important」タグの付いたメールが表示される。また、一部のファセットには「Type to filter」フィールドがあり、これを使って絞り込むこともできる。このフィールドに検索基準を入力していくと、入力につれてメールが絞り込まれていく。もちろん、複数のファセットを組み合わせることも可能。たとえば、特定の人物から(Fromファセット)昨日(Recencyファセット)自分宛(To CC/meファセット)に送られた電子メールを即座に表示することができる。指定したファセットの条件を満たす電子メールの数はResultsペインに表示される(このペインにはほかにも有用な機能がある)。また、検索フィールドを使って、ファセット・ブラウジングと従来のテキスト検索を組み合わせることもできる。さらに、スレッド表示も可能。Include whole threadsチェックボックスをオンにすると、電子メールがスレッド表示され、メールのやりとりが見やすくなる。

 Seekパネルのファセットの並び順はドラッグ&ドロップで簡単に変えることができる。デフォルトのファセットを削除することも、表示可能なファセットのリストの中から別のファセットをパネルに追加することもできる。たとえば、タグを使っていないなら、TagファセットをPriorityファセットなどに差し替えるとよいだろう。

 Seekが誇る特徴の一つに見やすい可視化機能がある。SIMILEのTimelineというプロジェクトで作られた気の利いたツールを基にしたものだ。Resultsペインのドロップダウン・リストにあるVisualizeを選ぶと、メールがタイムライン上に見やすく表示される――はずだが、何度試みてもスクリプトが応答しないというエラー・メッセージが表示されるだけだった。

 問題点はもう一つある。フォルダーを選び直すたびに索引を作り直すのだ。フォルダーにあるメールが数百通なら大した問題ではないが、数千通のメールがあると大きな問題になる。たとえば、私のマシンでは10,338通の電子メールがあるフォルダーの索引付けに1分12秒かかった。これはかなりの高速処理ではあるが、フォルダーを変えるたびとなればイライラが募る。この問題は、Seekを使う際はDisengage linkで有効にし検索が終わったら無効にすることで回避できる。

 こうした欠点はあるが、Seekは格段に印象的かつ革新的なThunderbirdエクステンションだ。電子メール・クライアントに強力な検索機能がほしいなら、Seekを試してみる価値はある。

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Dmitri Popov フリーライター。ロシア、英国、米国、ドイツ、デンマークのコンピューター雑誌で活躍している。

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