Gmail Manager機能拡張による複数のGmailアカウントの一括管理

 今日、多くの電子メールユーザは、仕事用、家族や友人用、フォーラム投稿用など、複数のアカウントを使い分けているはずである。例えば私の場合も複数のGmailアカウントを所有しているが、POPクライアントを利用することなくこれらの全アカウントのメッセージを読みさばくには、Webブラウザ上でのGmailサイトへのログイン/ログアウト作業を延々と繰り返すしかない。その点、Firefox機能拡張として提供されているGmail Managerはオペレーティングシステムにも依存せず、こうした問題に対処する優れた処方箋と言えるだろう。この機能拡張を使うと、複数アカウントの一元管理はもとより、これらアカウントにおけるメッセージの着信通知を受けることもできるのだ。

 この機能拡張をインストールするには、Gmail ManagerのオフィシャルWebサイトあるいはMozilla add-onsサイトにアクセスして、そこに用意されているインストール用ボタンをクリックすればよく、その後は表示される手順に従って操作を進め、最後にブラウザの再起動をする。正常にインストールされた場合、ステータスバー右端に“M”アイコンが表示されるはずである。

 Gmail Managerを使用するには、まずは先のMアイコンをクリックしてアカウントを新規追加する。具体的な操作としては、Preferencesウィンドウで必要事項を設定してからAddボタンをクリックすればいい。必要な全アカウントの設定終了後、先のMアイコンを右クリックするとコンテクストウィンドウがポップアップして各アカウントの状況が個別表示されるが、その表示形式は、灰色のアイコンはGmailアカウントに未接続、赤いアイコンは全メッセージが既読、青のアイコンは未読メッセージ有りという意味であり、このうち未読メッセージについてはその数も通知される。その他にもこのアイコンメニューからは、全アカウントのログインとログアウト、新着メッセージのチェック実行、機能拡張のプレファレンス設定なども行える。またログイン状態のアカウント間は、該当するアカウントをクリックするだけで切り替えることができ、その際にログイン用の情報をいちいち入力する必要はない。

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Gmail Manager Accounts

 マウスポインタをアカウント名の1つに移動すると新たなコンテクストウィンドウがポップアップして、着信メッセージに関する統計情報、割り当てられたGmailスペースの使用率、未読メッセージのヘッダ部が表示される。

 ポップアップされるPreferencesウィンドウでは、全アカウント共通または各アカウント別の各種設定および、Gmailアカウントの新規登録が行える。ここでは例えば、Gmailページの表示先を新規タブとするか(デフォルトの動作)あるいは現在表示中のタブとするかなどを指定できる。またGeneralタブで各自のパスワードを登録しておくと、Gmailアカウントにログインするごとにパスワード入力をする手間を省くことができ、Gmail Managerのスタートアップ時にアカウントへ自動接続させることもできる。こうしたプレファレンス設定については、複数のFirefoxインストレーション間でGmail Manager設定を共有できるよう、個々のアカウント情報も含めてエクスポートおよびインポートできるようになっている。

 Composeタブには、Webページに表示されるmailto:形式のリンク処理に割り込みをかける機能が用意されている。この機能を有効化しておくとWebページ上のmailto:リンクをクリックした際に、デフォルトの電子メールクライアントあるいは設定済みGmailアカウントの1つを使用した新規メッセージ作成が行えるようになり、この種の作業を頻用するユーザにとっては非常に重宝するだろう。こうしたGmailアカウントでの新規メッセージ作成のメニュー表示については、Firefoxのブラウジングウィンドウにおけるmailto:リンク以外の場所を右クリックした際にも実行させるかを設定できる。

 Notificationsタブでは、メールチェックの周期の設定(デフォルトでは15分間隔)および、着信通知の方式として、該当アカウントへの自動切り替えや文字および音声での通知を指定できる。デフォルト設定では、こうした通知は行われないようになっている。

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Gmail Manager Preferences

 Toolbarタブでは、未読メッセージ数、ラベル、未読メッセージのヘッダなどを非表示化するよう設定できる。また未読メッセージ数については受信トレイ(inbox)中だけのものに制限させることも、ユーザ定義ラベルやスパムメールについて表示させることも可能だ。

 一方で、この機能拡張には色々と不備な点も残されている。例えば、Webブラウザ上のGoogle MailページからのGoogle ChatへのアクセスとGmail Managerとの使用を同時に行うとトラブルが発生する。これはGmail Managerが全アカウントを定期チェックする際に、Webメールのセッションが切断される場合があるためだ。もっともGoogle Chatユーザの多くは、チャット専用のクライアントを使っていることだろう。

 この機能拡張は、複数のGmailアカウントを使い分けている人間にとっての必需ツールと評していいだろう。未読メッセージが残されているかがワンクリックでチェックできる上に、各メッセージの先頭行をその場で確認できるからだ。またエクスポート/インポート機能も装備されているため、1つのPC上で設定した項目をアカウント情報も含めてそのまま他のPCに移植することができる。

 私が所有する5つのGmailアカウントについても、この機能拡張を介して毎日チェックするのが日課となっている。実際Gmail Managerは、マルチアカウント所有者の管理負担を大幅に削減してくれるツールなのだ。

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Eric Bonifaceはフランスのエンジニアリングスクールにてコンピュータサイエンスの修士号を取得しており、現在はプロジェクトリーダおよび、Unixシステム/データベースの管理者として活動している。

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