Linuxベースのオークションサイト「whaBAM!」

名前に感嘆符(!)が入っているWebエンティティなんてYahoo!ひとつでたくさんだ、と思っている人もいるかもしれない。だがwhaBAM!の設立者であるEren Niaziは、この新しい注目のオークションサイトにあえてこの名前を付けた。WhaBAM!はLinux、Apache、MySQL、PHPから成るシステムであり、オープンソースソフトウェアを中心としたNiaziの第二のベンチャー企業である。

Niaziは1995年に高校を卒業し、大学に入る前に家電量販店「Circuit City」のコーポレートセールス部門で働き始めた。彼はすぐに成績を伸ばし、22歳の誕生日を迎える前にカリフォルニアのトップセールスマンになった。そこで、大学はしばらく後回しにすることにした。1998年には、シリコンバレーを拠点とする台湾企業向けにコンピュータ部品の販売を始めた。Niaziはトレードショーに何度か参加するうちに、いくつかのブースでLinuxが展示されているのを見て、その可能性に目をつけた。Niaziは当時のことをこう語っている。「私はシステムやクラスタを求めているLinux企業を探した。誰もがWindowsをターゲットにしているときに、Linuxをターゲットにしたわけだ」。その後、NiaziはAlta Technologyの請負仕事を開始し、Alta Technologyは2000年の初めにLinux Networxとなった。

Niaziはすぐに、オープンソースソフトウェアの威力を強く確信するようになった。「私はオープンソース企業の成長ぶりを目の当たりにし、彼らが実際にLinuxの恩恵を受けていることを知った。たとえば、処理能力、パフォーマンス、計算能力、コストの安さなどだ。私はLinuxの価値を実感し、これはストレージにも応用できると考えた」。

この確信に後押しされ、Niaziは2002年に23歳の若さでOpen Source Storageを設立した。Open Source Storageは現在35人のスタッフを抱え、米陸軍、America Online、Sony、Hitachi、Lockheed Martinなどを顧客としている。

Niaziは約2年前からwhaBAM!の構築に着手していた。「私はあるとき、オークション会社の手数料が高すぎることに気がついた。そこで、Linuxベースのオークションサイトを作ってみたらどうだろうと思いついた」。Linuxと各種のオープンソースソフトウェアを使ってオークションサイトを構築・運営すれば、コストを節減できるし、手数料も低く抑えられるだろうと考えたのだ。

whaBAM!のサイトは、厳格なテストと見直しを経て完成したものである。Niaziによれば、150回以上も解体と再構築を繰り返したそうだ。実際に運用できるレベルのサイトができあがると、Niaziはベータテスターを招いてwhaBAM!のサイトを仮公開した。「テスターの皆さんに、オークションサイトに何を求めるかを尋ねたところ、使いやすさ、費用の安さ、公正さ、という答えが返ってきた」。

Niaziは、自身が経営するどちらの会社でも、プログラミングに一切関与していない。結局のところ、彼はセールスマンであり、コンピュータマニアではないのだ。ただし、彼は良いものを見極める目を持ったセールスマンである。「弊社ではあらゆるものがPHPで実現されていて、データベースはすべてMySQLであり、経理部を除いては、これらはすべてFedora Core上で動作している」とNiaziは語っている。Open Source StorageおよびwhaBAM!の本社にある45台のワークステーションですら、FedoraとOpenOffice.orgを使用しているのだ。

Niaziは、業界におけるオープンソースの未来は明るいとしている。「オープンソースは日に日に成長しているし、経済界もオープンソースに注目しており、資本が流れ込んでいる。オープンソースは我々にとってプラスであるだけでなく、顧客にとっても日々のメリットを提供するものである」。

NiaziはwhaBAM!の今後を楽観視しているが、この新しいサイトが軌道に乗るまでには時間がかかるだろうということも認識している。「現在、積極的に広告を展開し、出版広告も数多く出しているところだ。whaBAM!が利益を出すまでには数年かかるだろうと考えている」。