Mark Shuttleworth、Ubuntu Long Term Supportについて語る
このリリースではデスクトップ・バージョンとサーバー・バージョンを分離し、通常18か月のサポート期間をデスクトップは2009年まで、サーバーは2011年まで延長した。
使いやすいデスクトップLinuxを提供しようと始まったUbuntuだが、Shuttleworthによると、ユーザーの多くがサーバー・プラットフォームとして使っていることからサーバー・バージョンを提供することにしたのだという。
しかし、当分の間、データ・センターにあるRed HatやNovellやMicrosoftを駆逐することはあるまい。Linuxが成熟するに従い、Ubuntu以外のベンダーはすでにLinuxサーバー用管理ツールの提供に動いていたが、Ubuntuにはそうした駒がないからだ。管理ツールに関する「完全な回答」は持ち合わせていないとShuttleworthも認めている。現在、ウェブ・ベースの管理フレームワークに取り組んでおり、「従来型管理ツールを提供している企業と話し合いをしている」ところだという。
データ・センターはさておき、Shuttleworthは、Linuxが企業環境に入り始めたときのように企業ネットワークの「前線」でUbuntuが利用されることを期待していると言う。
同プロジェクトには専従開発者が約20名、コミュニティ・ボランティアが約150名いるが、今回長期サポートを提供したことにより、時間が経てばDapperリポジトリにあるパッケージのバックポートやバグ改修が発生するため専従開発者の増員が必要になるだろうとShuttleworthは見込んでいる。また、Debianプロジェクトと同様、数年後にはインストールCDをアップデートする必要もあるだろうという。一旦インストールしてから大量のアップデートを適用する事態を避けるためだ。
Ubuntuの有償サポートを行っているShuttleworthの会社Canonicalはサポート部門をモントリオールに集約し、現在、7~8人体制で英語とフランス語による24時間サポートを立ち上げつつあるという。しかし、他の商用ディストリビューションに比べるとかなり規模が小さい。Shuttleworthに言わせると、増員は可能だが必要人数の「予測が困難」だからだという。
スタックのサポート
今回のサーバー・リリースはLAMP「スタック」をサポートしており、Apache/MySQL/PHPを個別にインストール・構成しなくても、コマンド一つでLAMPサーバーを立ち上げることができる。事実上、出来合いのソフトウェア装置として使えるわけだ。
Shuttleworthによると、これを手始めに、メール・サーバー・スタックやAsteriskスタックなども検討しているという。
UltraSPARCのサポート
また、サーバー・リリースはSunのSPARCプラットフォームもサポートした。リリースするのはSPARCハードウェア向けサーバー・インストールCDだけだが、リポジトリにあるパッケージを追加すればUltraSPARC上のワークステーションにも使えるという。
当初、4月に予定されていたDapperのリリースが延期されたのは、Sunハードウェアへの移植の是非を巡る問題のためではないとShuttleworthは言う。Sunハードウェアへの移植は当初から計画されており、Dapperの公式リリース後にリリースする予定だったという。しかし、Dapperの完成度を長期サポート可能なレベルに引き上げるのと、デスクトップ向けライブCD用GUIインストーラーの完成に手間取ったため、UltraSPARCへの移植がDapperの公式リリースに間に合ったのだという。Shuttleworthは、自身のブログに、SPARCへの移植は「予想を大きく超えて順調だった」と記している。
Dapperリリースでは、UbuntuのXfceベースのバージョンであるXubuntuが主になっている。これによって、Ubuntuの公式フレーバーは、当初からあるGNOMEベースのUbuntuディストリビューション、KDEベースのKubuntu、学校向けにカスタマイズされたEdubuntu、そしてXubuntuの4種になった。
Dapperはダウンロードで入手可能だが、低速通信回線を使っているユーザー、あるいは、Ubuntu CDを配布したい人のためにShipItプログラムが用意されており、Ubuntu、Kubuntu、EdubuntuのCDが提供されている。
次期リリースEdgy Eftのリリースは今年10月を予定している。Shuttleworthによれば、このリリースは通常の18か月サポート・サイクルで、長期安定よりも新テクノロジーの搭載を主眼とするものになるという。
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