LinuxがWindows Vistaに拮抗する日

GNU/Linux系のオペレーティングシステムは、Windows Vistaよりもハードディスクへのインストール容量が少なく、機能的に多少劣ったコンピュータでも使用できるので、このまま何もしなくてもセールス面でVistaを“凌駕”できそうなものである。だが、その考えは甘い! Linux陣営が来るべきVistaの到来に積極的な対抗をするには、むしろより一層のハードウェア的なレベルアップを図る必要があるのだ。

コンピュータの効率的運用を念頭に置いている人間にとって、これは感覚的に正反対の意見のように感じられるかもしれないが、ハードウェアベンダの立場からすれば、オペレーティングシステムのメジャーアップグレードとは消費者による新規コンピュータへの買い換え需要と同義語であり、逃すことのできない絶好の機会なのだ。

GNU/Linuxの商用パッケージを扱っている友人によると、デスクトップやラップトップのベンダがWindowsを愛してやまないのは、ハイエンドのハードウェアに対する需要をコンスタントに生み出してくれるからであり、Linuxに対する関心が薄いのも元を正せば根っこは同じだということになる(コスト最優先で運営されているサーバルームの場合、話は別である)。だがLinuxに希望がない訳ではない。先の友人の考えるところでは、新規に登場するXgl 3-D Linuxデスクトップ はWindows Vistaに引けを取らないレベルでより強力なハードウェアへのアップグレードを要求するだろうからだ。

Xglの“うねるウィンドウ”や“回転するキューブ”を見せられて軽度のめまいを起こした、というのが私の個人的な経験ではあるが、こうしたものの好き嫌いは各個人によって異なるだろう。私が何を言いたいのかについては、画質的には少し厳しい家庭用ビデオでの撮影画面を参照して頂きたい。カメラの手ぶれが多少気になるものの、透明化やアニメーション化など様々な視覚効果を使用できることが確認できるはずだが、日がな一日コンピュータの前で過ごしているタイプの人間にとっても、これらが飛び回るデスクトップを見続けるのは目に厳しいのではないだろうか。過ぎたるは及ばざるがごとしという格言は、こうした視覚効果についても当てはまるはずだ。

私のひねくれた評価は横に置いておくとして、似たような機能がMacやWindowsのデスクトップでもてはやされているようなので、多くのユーザはこうした新機軸がLinuxデスクトップに導入されるのを歓迎するだろう。ただし先のディストリビューションパッケージ屋の友人によると、システムのパフォーマンスを妨げることなくこうした特殊効果を使うには、共有ビデオメモリがコンピュータに搭載されている必要があるらしい。つまり、最新鋭のうねりまくるウィンドウをLinuxデスクトップで鑑賞したいユーザは、ひとっ走りして新型コンピュータを買ってくるか、あるいは最低でもビデオカードを購入し直さなければならないのだ。

という訳で、一体これの何がメリットになるのか、ということになる。ただし大手のコンピュータ用ハードメーカからすれば、これはハイエンドのハードウェアを消費者に買わせるための絶好の機会であり、実際こうした企業の存在意義はその辺にあるのだ。

おそらくかなりのユーザは従来のシンプルな2-D式のGNOMEやKDE、あるいは軽量型のIceWMやXfceなどのデスクトップ環境を旧式コンピュータ上で使い続けるだろうが、GNU/Linuxのユーザの多くがエサにつられて宗旨変えをする可能性も否定できず、そうなるとコンピュータメーカや販売業者にとってのLinuxはWindows Vista並の価値ある存在に昇格することもありえるだろうし、また通常のOEM版WindowsにはバンドルされないOpenOffice.orgその他のアプリケーションが付属されたLinuxコンピュータが多数出回るようになれば、こうした動きはよりいっそう加速されるとも考えられる。

NewsForge.com 原文