オープンソースERPベンダーが600万ドルの開発資金を調達

 オープンソースの中規模企業向け業務アプリケーション・ソフトウェアを開発・販売している米ComPiereは6月20日、外部からの初の出資となる600万ドルを獲得したことを明らかにした。獲得した資金は製品強化に使用するという。

 ComPiereのオープンソースERP&CRM統合ソフトウェア「Compiere」は、社内導入またはホスティングによって利用することができる。従来の一般的なオープンソース・モデルとはやや異なり、ComPiere自身はソフトウェアの開発とサポートに注力し、製品の販売流通は70社を超える全世界のパートナー・ネットワークに任せている。

 現在、ComPiereの有料顧客は約240社、同社のオープンソース・ソフトウェアは100万件以上ダウンロードされている。

 ComPiereの創設者でCEOのヨルグ・ヤンケ氏によると、同社は米国のベンチャー投資会社であるニュー・エンタープライズ・アソシエイツ(NEA)から得た資金を、パートナーのニーズに応じるためのソフトウェア強化に使用し、特に、製造業向けの機能とCRM機能を拡張していく計画だという。従来、CompiereではERP機能の提供に重点が置かれていた。

 同社は、現在10人に満たない従業員を増やし、現在のオレゴン州ポートランドからカリフォルニア州のベイエリアに移転する計画だ。移転する主な理由は、熟練したERP開発者を獲得することにあるという。同社は現在、シリコンバレー地域の不動産の取得を検討中で、1カ月以内の移転を目指している。

 ヤンケ氏は、Compiereと競合するミッドマーケット向けソフトウェアとして、OracleがJ.D.エドワーズ買収によって獲得した技術と、Microsoftがグレート・プレインズ・ソフトウェアおよびナビジョンの買収によって獲得した技術を挙げた。

 Compiereは、Linux、Windows、Mac OS、UNIX系OS上で稼働する。同ソフトウェアは現在、Oracleのデータベースしかサポートしていないが、今年7月をめどに、Apache Software Foundation(ASF)のオープンソース・データベース「Apache Derby」のサポートを追加する予定だ。Derbyは、ASFにIBMが昨年寄贈した旧Infomixの「Cloudscape」データベースに基づいている。

 ヤンケ氏によると、IBMのDB2やMicrosoftのSQL Serverのサポートも計画しているという。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

米ComPiere:http://www.compiere.org/

提供:Computerworld.jp