Sun、仮想化環境を見据えた大型x86サーバを発表へ

 Sun Microsystemsは、デュアルコア・チップを8個まで搭載可能なモデルを含むx86ベースのサーバ製品を今週発表する予定だ。同社は、新サーバの投入により、統合化/仮想化に取り組んでいる企業の大型システムへの移行が進むと期待している。

 現在、ビジネス・ユーザーのほとんどが2ソケット・システムを使用している。アナリストによると、x86サーバ市場で出荷されている8ソケット・モデルはごく少数であり、システム・ベンダーによる製品提供もまだ本格化してないという。IBMはすでに8ソケットのx86システムを販売しているが、ヒューレット・パッカード(HP)は2003年に発表した8ソケット・システムの販売を昨年打ち切っている。

 今回発表されるSunの新型サーバ「Sun Fire x4600」は、AMDのOpteronチップを2〜8ソケットまでサポートする。Sunの主任設計者兼ネットワーク・システム担当上級副社長アンディ・ベクトルシャイム氏は、「能力の限界まで利用されることのない数十台の2ソケット・システムを単一のシステムに統合できる真の仮想化プラットフォームだ」と強調する。

 パートナーズ・ヘルスケア・システムの技術サービス/業務担当コーポレート・ディレクター、ボブ・パパジャノポロス氏は、現在稼働しているx86ベースのアプリケーションの中で、4ソケットを上回るシステムへの移行を必要とするものはないという。ただし、同社は現在、仮想化技術のテストを行っており、複数のアプリケーションをサポートするより大型のサーバを使う可能性もあるとしている。

 「4ウェイ・システムで多くのアプリケーションを稼働させることに成功すれば、システムの拡張も検討することになるだろう。ただし、今後1〜2年の間は拡張は考えていない」(パパジャノポロス氏)

 一方、クロスマーク・ホールディングスのインフラストラクチャ・サービス担当副社長チャールズ・オーンドルフ氏は、HPが生産を打ち切った8ソケット・システムのユーザーの1社で、方針を転換して4ソケット・デュアルコア・システムの購入に踏み切った。

 同氏は、4ソケット・システムのパフォーマンスに満足しているものの、いずれ8ソケット・システムが必要になる可能性もあるとしている。ただし同氏は、4コア・チップの開発動向にも注目していると付け加えた。

 Sunは、新しいシステムをいち早く導入する可能性の高いユーザーとして、東京工業大学などのようなハイパフォーマンス・コンピュータを使用するサイトを挙げている。東工大は、x4600サーバを655台購入し、世界第7位の処理速度を持つスーパーコンピュータを構築している。

 Sunは、2ソケットのOpteronチップを使用し、最大で24TBのストレージ(500GBのハードディスク48台で構成)をサポートするデータ・サーバ「Sun Fire x4500」もリリースするもようだ。

 「Thumper」(開発コード名)と呼ばれている同サーバは、従来のストレージ・システムに取って代わるものではなく、ビデオ検索やビジネス・インテリジェンスといったストレージ集約型アプリケーションの高速化を実現する製品とされている。

 IDCのアナリスト、ジーン・ボズマン氏は、Sunの新製品について、ストレージとコンピューティングにかかわるさまざまな要素を組み合わせることで、ネットワークの遅延をなくし、スループットとパフォーマンスの向上を実現すると評価している。

 「大型サーバは、メモリをプロセッサの近くに配置しているところに特徴がある。Sunの製品も、同様の考え方を採り入れている」(同氏)

(パトリック・ティボドー/Computerworld 米国版)

米Sun Microsystems
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