Novell、SUSE Linux Enterprise Server 10 を発表─「Xen 3.0」をサポート

 米Novellは7月17日、サーバおよびデスクトップ向けLinuxディストリビューションの最新版「SUSE Linux Enterprise Server 10」を発表し、自社のオープンソースOSに企業顧客を引きつける新たな販売戦略を推進していく方針を明らかにした。

 SUSE Linux Enterprise Server 10の特徴は、単一サーバ上で複数のOSを同時に稼働させることのできる「Xen 3.0」ハイパーバイザをサポートすること。Novellのマーケティング・ディレクター、ジャスティン・スタインマン氏は、「Xen 3.0の仮想化技術を活用して、複数の作業負荷を1台のサーバにまとめて、企業の費用削減を支援できる」と説明している。

 同製品にはほかにも、アプリケーションのセキュリティを確保するためのツールキット「AppArmor」の新版が含まれる。同ツールキットはデスクトップおよびサーバの両エディションに付属する。

 SUSE Linux Enterprise Server 10では、システムのプロセッサの種類や数に関係なく一律の料金を課すことによって価格設定の簡素化が図られている。価格は、ベーシック・サブスクリプションが年間349ドルから、年中無休のテクニカル・サポートを含むプライオリティ・サブスクリプションが年間1,499ドルから。例外は、メインフレーム向けの価格で、年間のサブスクリプション料金は1万1,999ドル〜1万8,000ドルとなっている。Nobellでは、1台のサーバ上でSUSE Linux Enterprise Server 10の複数の仮想化インスタンスを稼働するユーザーに対しては追加料金を請求しないとしている。

 また、Novellは今回の発表に伴い、デスクトップ向けLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Desktop」もアップデートした。同製品には、オープンソースのオフィス生産性スイート「OpenOffice.org 2.0」をはじめ、「Microsoft Exchange」や「Groupwise」との互換を持つデスクトップ・クライアント「Evolution 2.6」、デスクトップ検索ツール「Beagle」、Webブラウザ「Firefox」などの製品が新たなコンポーネントとして含まれている。

 SUSE Linux Enterprise Desktopには、ほかにも、「Desktop Effects」と呼ばれる新開発のインタフェース「Xgl」が付属する。Xglは、画面の切り替えが従来よりも容易なった3Dビュー機能を備える。また、アプリケーションのスタート・ボタンを左下隅に配置されるなど、新規ユーザーでも親しみを持てるように、Windowsの一部の要素が取り入れられている。

 SUSE Linux Enterprise Desktopのサブスクリプション料金は年間デバイス1台当たり50ドル。この料金には90日間のインストール・ヘルプと契約期間中の製品アップデートが含まれる。

 スタインマン氏によると、NovellはSUSE Linux Enterprise Desktopの初のサービス・パックをリリースする年末に、仮想化機能を追加する計画だという。

 「当社ではXenをデスクトップの領域にまで広げることを目指している」と同氏は強調した。

 業界のアナリストらは、今回Novellが発表した新製品は、これまでLinux市場の売上げ拡大の大部分を占めていたRed Hatのマーケット・シェアを奪う可能性が高いと分析している。Red Hatは、今年12月に同社の「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)5」をアップグレードすると同時にXen仮想化技術も追加する見通しだ。

 一方、米IBMはこの日、SUSE Linux Enterprise 10の動作をサポートしたローエンド・サーバを発表したほか、同社の各種ミドルウェア製品でXenを初めてサポートしたことを明らかにした。

(ジェームズ・ニコライ/IDG News Service パリ支局)

米Novell
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提供:Computerworld.jp