元Sleepycat CEO、Oracleの組み込みデータベース戦略を語る

 米Oracleは大規模データベース市場で大きな支配力を有しているかもしれないが、小規模なデータベースを求めるユーザーにはあまり評価されてこなかった。Oracleが2月に買収したSleepycat Softwareの元CEOで、現在、Oracleの組み込み技術担当バイスプレジデントを務めるマイケル・オルソン氏は、そうしたこれまでの状況を変革しようと試みている。

 Sleepycatの主力製品は、累計導入件数が2億件に上るオープンソースの組み込みデータベース「Berkeley DB」だった。オルソン氏を迎えたOracleは、現在、Berkeley DB、キャッシング・データベース「TimesTen」、携帯端末向けデータベース「Oracle Lite」などの組み込み系製品をそろえ、同社としては初めてデータセンター以外の分野へ本格展開しようとしている。今週、オレゴン州ポートランドで開催されたイベント「O’Reilly Open Source Convention」で、オルソン氏はComputerworld米国版の取材に応じ、Oracleの今後の組み込みデータベース戦略について語った。

──SleepycatがOracleの傘下に入ったことで、Berkeley DBの顧客にはどのような変化がもたらされるのか。

 最も大きな変化はサポート体制の拡充だ。スリーピーキャットの従業員が25人だったのに対し、Oracleには5万6,000人の従業員がいるため、世界中の拠点を通じて現地の言語と時間帯でサポート案件に対応できるようになった。

 また、ソフトウェアの利用者と開発者が容易にコミュニケーションできるというオープンソースならではの利点については、損なわれることがないよう願っているし、実際に、そうなることはないと考えている。

──Berkeley DBを採用する顧客の多くが、フル装備のSQLデータベースを扱いたくないと考えている。現在の仕事に違和感はないか。

 違和感はまったくない。われわれはこれまでSQLのような強力な機能と柔軟性を必要とする顧客には対応できなかった。一方、Oracleもこれまでリレーショナル以外のデータ要件への対応に苦労してきた。Berkeley DBはSQLやアドホック・クエリを必要としないため、軽量な組み込みエンジンを求めるユーザーにとって有効なソリューションとなる。これらの製品はまったく重複がないわけではないが、顧客対象はそれぞれ異なっている。

──Sleepycat製品のロードマップについて伺いたい。

 全体としては、引き続き既存のニッチ分野の顧客への対応に注力していく。また、TimesTenやBerkeley DBといったすべての組み込み系製品を、Oracleの他の製品と相互運用できるようにすることも目標としている。

 特定の機能についてはコメントできないが、次期Berkeley DBコア・エンジンの「Version 4.5」の仕様はすでに固まっており、近いうちにリリースする予定だ。

──Oracleは今後もオープンソース企業を買収するのか。

 Oracleには買収を担当するチームがある。彼らは過去18カ月に24件の買収を行った。ただし、PostgreSQLやMySQLの買収はないと思う。PostgreSQLの場合、ライセンス条件の問題などで買収にはきわめて大きな困難が伴う。また、MySQLのCEO、マーテン・ミコス氏も、MySQLの独立性維持を望んでいる。

(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)

米Oracle
http://www.oracle.com

O’Reilly Open Source Convention
http://conferences.oreillynet.com/os2006/

提供:Computerworld.jp