LinuxWorld第2日: Red Hatは消息不明なれど、Golden Penguinは完璧

サンフランシスコ — 水曜日、LinuxWorldはLarry Lessig教授の力強い基調講演で再び勢いよく動き出した。講演後、展示会場オープン。だが、“Red Hatは何処に消えたのか?”このことが本日の最も重要な問題に思われた。

LinuxWorldはざっと10分おきに“基調講演者”を登場させる。なんて、まあホラはさておき、今週は5つの基調講演が行われる。本日の開幕を飾ったのは、Lessigの基調講演「フリーカルチャー: 我が汝に求めるもの」。Lessigは個人参加型カルチャーの話題を取り上げ、現在の環境は“読み書き”カルチャーと法的に対立すると述べた。要所で Muppet ShowVampire Hunter D のビデオマッシュアップ、George W. BushとTony Blairの映像をつなぎ合わせた滑稽極まる“Endless Love”など見せながら話を盛り上げたのである。

これらのビデオクリップは愉快なものなのに、現在の著作権法がこの種の創作性を抑圧し、創作者を“海賊”呼ばわりするのは全くもって面白くない。Lessigは、この種のコンテンツを合法的に創作できるよう法律を改める必要があり、それは自由な読み書きカルチャーを育むことにつながると述べた。

また、「公正使用は海賊行為でない。公正使用を広げる努力とは成果物を丸々コピーすることではなく、既存の成果物に基づいて新しい成果物を創作できるようにすることだ」とのメッセージを他の人々に伝えてくれと述べた。そして「Creative Commonsライセンスのもとで成果物を拵え、共有しようではないか」と聴衆を鼓舞したのである。

さらに、Lessigは「公正使用/フリーカルチャーの反対派は資金が潤沢だ」と指摘する。そこで「参加者は制限コンテンツにつぎ込むのと同じ金額を、フリーカルチャーの防衛に取り組んでいるグループの費用に当てたらどうか」と提案する。

「フリーカルチャーを肯定する論法には2つのやり方がある」と指摘する。第1は、理想を語る“左翼的”方法。だが、これで多くの人々が動くとも思えない。第2は“右翼的”方法。著作権法のもとでユーザーの権利を拡大すれば、ビジネスに資し、成長が促され、経済と社会のためになると説く。

「あらゆる人が参加することが何より大切」とLessigは言う。「弁護士や政治家に負わされている損害を逆転するには、そろそろ積極的な一歩を示さねば… 弁護士やロビイスト、またLessigのような人間に支配された議論はいずれ顧みられなくなる」

カーネルのロードマップに影響

次にJames Bottomleyの講演に参加した。James BottomleyはSteelEyeのCTO(最高技術責任者)で、LinuxカーネルのSCSIサブシステムメンテナである。講演のタイトルは「Linuxストレージのロードマップ: さて、なぜ1つじゃないのか」。Linuxストレージのことよりも、むしろLinuxの開発が現実にどう進められているかという話が中心で、他のオペレーティングシステムや製品のようなロードマップがLinuxになぜ存在しないか説明された。

Bottomleyは、従来のソフトウェア開発手法(VARや顧客がさまざまなやり方でロードマップに影響を及ぼす)と、企業がLinuxカーネルのロードマップに影響を及ぼすために試すことができる方法との違いを説明した。彼によれば、ロードマップをコントロールする旧来の方法(例えば、VARプログラムや標準化団体に参加して製品の開発に影響を及ぼそうとする)はカーネルの開発には当てはまらないというのである。

それよりも、Bottomleyによれば、カーネル開発者に影響を及ぼす必要性がある企業は、その企業の望む機能をカーネルに実装できるカーネルコーダーを雇う必要があるという。これは完璧な方法でもない。何より、カーネルに影響を及ぼしたいと考える企業は多数存在し、そのため既に日頃からカーネルに貢献している人々は既に安定雇用の状況にあり、したがって現在仕事に就いているカーネル開発者を改めて雇うというのは高くつく企画となりかねないというのである。

企業は現在擁する社員に機能を実装させ、その機能をカーネルに正式に受け入れてもらうよう努力することもできるが、それには外交的手腕と、その機能が広範囲のユーザーにとって有益なものであることを示す能力が必要である。これに取り掛かる最善の方法は、Bottomleyによれば、できる限り包括的な変更を提供し、その際の影響をできるだけ小さくすることであるという。

Bottomleyの講演は素晴らしかったけれど、敢えて言うならタイトルにやや難があった。SteelEyeでのカーネル開発の経験を例に挙げていたが、ストレージの話題にはほんの少ししか触れなかったからである。

Red Hatは何処?

今年の論議で話題となったのはRed Hatが参加しなかったことだ。同社はLinuxWorldに出品しておらず、事実上Linuxと同義と言えるほどの会社が展示会場に姿を見せていないことを人々はいぶかしく思っている。「Red Hatに期待して入場券を手に入れ展示会場にやって来た人がRed Hatの不参加を知ったら何というだろう?」と、ある参加者が呆れた様子で語っていた。

同社が参加していないことに私がまだ気づいていないとき、「Red Hatはなぜ参加していないのか?」と質問してくる人々がぼつぼつ現れ始めた。私は真相を解明しようと努力しているが、最近、同社の広報部はインタビューの要請に応じる気がなく、情報をタイムリーに提供するどころの話じゃない。

無論、Red HatはRed Hat Summitを6月に開催したばかりなので、わざわざ費用をかけてLinuxWorldにチームを派遣するまでのことはないと思っているのだろう。Red Hatの不参加を傲慢の表れと見る参加者も何人かいたが、倹約の結果に過ぎないだろう。ブースを借りてトラック一台分の社員を3日間の展示会に派遣する費用は予算的にも馬鹿にならない。

SPIがfreedesktop.orgの参加を招請

Bdale Garbee interview
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Bdale Garbeeと話す機会も得た。Bdale GarbeeはDebianプロジェクトのリーダーを務めたことがあり、Hewlett-Packardの最高技術責任者(オープンソースおよびLinux担当)であり、SPI(Software in the Public Interest)理事会の会長でもある。

大きなニュースとしては、SPIがfreedesktop.orgの参加招請を決定したことだ。Garbeeによれば、投票は火曜日の定例会議で行われた。freedesktop.orgは正式にはまだ受諾していないが、まもなく受諾するものと期待しているという。

この結果、freedesktop.org はSPIを通じてNPOとしての助成金を受け取ることができるようになり、501(c)3控除の煩わしい手続きに翻弄されることもなくなるだろう。SPIは主にDebianとの関係だけを久しく続けてきたが、ここにきてPostgreSQLやfreedesktop.orgを参加させるなど、変化の兆しが見え始めている。

Golden Penguin Bowl

Linuxショーには、ちょっとした余興が付きもので、それがなければ退屈の一語に尽きる。今年のLinuxWorldは、馬鹿騒ぎの場と化してはいないが、Golden Penguin Bowlだけは違う。LinuxWorldに参加したプロジェクトや企業の間で、どのチームが技術の雑学知識に長けているか戦うクイズショーである。

今回、“Nerds”(正統おたく)の栄冠に輝いたのはUbuntuのMalcom Yates、Jorge Castro、Corey Burgerの計三名のチーム。“Geeks”(技術おたく)はNovell/SUSEの社員Ted Hager、Erin Quill、Jeff Priceであった。Sambaで有名なJeremy AllisonがPenguin Bowlのホスト役となり、Don Marti、Chris DiBona、 Gerald Carterの三名が審判を務めた。

Allisonは、“2001”のテーマ音楽と共に宇宙服の姿で登場し、全チームと審判員を紹介した。競技は約1時間続き、問題は滅法難しいものから、単なるおふざけまであった。SF関連の問題に高い配点が付けられていた。

試合は2ラウンド構成で、最終ラウンドはレゴの技を競うものであった。“Geeks”チームはゲームのほとんどを失っていたが、最終ラウンドでほぼ挽回した。しかし、点数で勝るUbuntuチームが勝ち名乗りを受けたのである。

NewsForge.com 原文