Mad PenguinをiTech Mediaが買収

iTech Mediaは本日、Linuxおよびオープンソース系コンテンツで人気のオンラインマガジンMad Penguinの買収をアナウンスした。取得に要した費用は公開されていない。

Mad Penguinの創設者で主任テクノロジエディタを務めるAdam Doxtater氏によると、2001年1月の設立以来、同氏にMad Penguinの売却が持ちかけられたのは何度もあった出来事であり、今回は価格面だけでなく時期的にも適当であったため合意に至ったということである。「そうですね、高額の買収価格を提示されたことは確かですが、何よりも今回はタイミング的によかったですね。私が休養を取ることを真剣に検討していたところにiTech側からの申し出があったので、話がスムースに進行したんですよ」。

Doxtater氏は現在、「OSSとエンターテインメントを総合した」新規サイトの立ち上げを検討しているところだが、今回のMad Penguinの売却によって、同氏は新たなサイトの構想と開発により多くの時間を割くことができるようになった、とのことである。その新規サイトの内容であるが、「よそにアイデアをパクられると困るので」としてDoxtater氏はなかなか詳細を語ろうとしなかったが、「今のオープンソース系のメディアが見過ごしている要素を取り込もう、と思っているんです」という構想を説明してくれた。

「これは以前にも語ったことがあると思いますが、今のオープンソース系メディアにおしなべて欠落しているのは娯楽的な要素ですよね。私自身はエンターテインメント大好き人間で……いや本当にそうなんです。だからエンターテインメントは重要だと思っているんですが、この業界では誰も手を出していないですよね。世の中を動かしているのは、そうした要素だと思うんですが。確かに、知識を与える情報をマテリアルとして提供するのも1つの仕事です。それが重要であるのは間違いないことですが、そこにエンターテインメント的な要素を取り込むことがポイントなんですよ」。

Mad Penguinは今後どうなるのか?

iTech MediaのCEOを務めるGundeep Hora氏は、買収後の先行きについて多くの読者が不安を感じることは理解できると前置きし、「編集面では大きな変更をするつもりはありません」と説明している。同氏によると、Doxtater氏には今後もMad Penguinでの執筆を続けることを提案したものの、Doxtater氏からは多忙を理由として、その点に関する確約は取れなかったとのことである。またHora氏は、現行の執筆陣の一部は今後も同サイトに執筆し続けることになるだろう、と語った。

コンテンツ的には大きな変更はないとするHora氏だが、Mad Penguinのデザイン的な変更をすることは検討中で、更新頻度も高めたいとしている。現状の同サイトでは、月に平均4ないし5回のペースで新規記事が掲載されている。Hora氏は、これを毎週2から3回程度の頻度に高めて、将来的には毎日2つの新規記事を掲載するようにしたいと語っている。

Hora氏はまた、Mad Penguinのコンテンツを CoolTechZoneやOSWeekly.comなど他のiTech系サイトとの間でクロスポスティングをする機会が生じる点についても言及している。

Doxtater氏にとっても、これまで彼を支えてくれた読者と同様、自分の創ったサイトが人手に渡る点に無関心ではいられないという。「これはもう決まった事柄です。自分の子供を、里子に出す気分ですね。これからも無事に運営してもらえるか、あるべき姿を保ってくれるか、不安で一杯です。実際あのサイトは1つのブランドを確立していましたし、その点についても心配で……、今後もブランドとして立ちゆくことができるのか、とね」。と言う同氏であるが、現在の心情としては「(iTechの人間は)私たちの生み出したブランドのことや、これまでの運営手段を理解しているでしょう……。彼らは、うまく運営してくれるでしょうし、幸運に恵まれるものと信じています」と語った。

これはMad Penguinの読者への伝達事項だが、Hora氏によると同サイトの運営サーバを移設するにあたって、一時的に同サイトのレスポンスが若干低下する可能性があるとのことだ。また同氏は最終的なデザイン変更の一環として、Mad Penguinの運営作業をMamboコンテンツ管理システムに移行することも計画しているという。

ベールに包まれたDoxtater氏の新サイト

Doxtater氏が秘匿し続ける新企画だが、その正体が明かされるのはそう遠い話ではないはずだ。その明確な時期についてはDoxtater氏自身も確実なところは分からないとしているが、「クリスマス頃までには、何か形が見えるようになるでしょう」としている。

そこまで時間をかけて準備をする必要性は、Doxtater氏によると「確実を期したいため」とのことである。

「Mad Penguinの運営そのものは成功でしたが、その間にいくつかの間違いも犯してきたのも事実であって、それらは不可避のものだったとは思っていますが、そのような失敗から得られた教訓が残されています。そうしたことは誰でも経験することであり、そうした機会に得られた教訓は今後に生かすべきでしょう。 今回は、すべきでない事を行わないまでです」。

その他にDoxtater氏が語るのは、新規サイトは「可能な限りオープンなものにし、サイトの運営も徹頭徹尾オープンソースソフトウェアで賄いたいですね」ということだ。ただし、「出来合いのパッケージの中には、単独で私たちの構想をカバーできるものがないので、すべてのアイデアを実現するには新規の採用を検討する必要があります」というのが問題だという。

最後にDoxtater氏が確約したのは、新規サイトは待つだけの価値があるものになるだろうということだ。「それが実現しなかった場合は、マンハッタンのど真ん中をラッシュ時に素っ裸でストリーキングでもしましょうか。その時は保釈金が必要ですかね。どうぞご期待ください」。

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