マルチコア対応アプリの開発支援ツールが登場──仮想化によりマルチOSをサポート──Intel Developer Forumリポート

 米VirtualLogixは9月26日、シングルコア・プロセッサ対応のアプリケーションをデュアルコア・プロセッサ対応へ移植する作業を支援する3種類の仮想化ソフトウェアを発表した。

 同社はこの日、サンフランシスコで開催されたIntel主催の開発者向けコンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」(9月26日〜28日)で、社名を「Jaluna」から「VirtualLogix」に変更したことを明らかにした。合わせて、同社の主力製品を市場セグメントに合わせて調整し、製品の名称をそれぞれ「VLX for Network Infrastructure」「VLX for Digital Multimedia」「VLX for Mobile Handsets」に変更したと発表した。

 VLX for Network Infrastructureは、複数のOSを1個のマルチコア・プロセッサ上で稼働させることができるネットワーク・インフラ向けの仮想化ソフトウェア・プラットフォーム。LinuxとリアルタイムOS(RTOS)の両方をホスティングすることが可能で、個別のハードウェア・プラットフォームを使用する場合よりもコストを抑えられるという。同社では、同ソフトウェアを活用することで、従来のシングルコア・チップ対応アプリケーションをIntelの「Core 2 Duo E6400」または「同T7400」チップに移植する作業が容易になるとしている。

 VLX for Digital Multimediaは、音声や画像などの処理に特化した米Texas InstrumentsのDSP(Digital Signal Processor)をベースとする組み込み型デバイス向けの仮想化ソフトウェア・プラットフォーム。セットトップボックスやテレビ電話などに搭載された1個のチップ上で複数のOSを稼働させることができる。

 VLX for Mobile Handsets(現行バージョンは3.0)は、スマートフォンや無線オペレーターが使用するハンドセット用の仮想化ソフトウェア・プラットフォームで、端末のコアOSを、ウイルスなど悪意のあるソフトウェアから隔離したハードウェア・ゾーンでホスティングすることで、セキュリティを高めることができる。これにより、仮にビデオ・ゲームの中のウイルスにLinux OSが感染しても、コアの電話システムは通話を処理し続けることができるという。

 VirtualLogixのマーケティング担当バイスプレジデント、マーク・ミリガン氏によると、いずれの製品もIntelのハードウェア仮想化技術「Virtualization Technology(VT)」を利用し、OSとハードウェアの間に同社独自のミドルウェア・ベースの仮想化レイヤを挿入することで機能するという。同社はこれらの製品により、VMwareやXenSourceといった競合ベンダーとは異る隙間市場の開拓を目指している。

 VLX for Digital MultimediaとVLX for Mobile Handsetsはすでに販売が開始されている。VLX for Network Infrastructureは、2006年第4四半期にリリースされる予定となっている。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米VirtualLogix
http://www.virtuallogix.com/

提供:Computerworld.jp