UltraSPARC T1好調で“Sun復活”に弾み?──SunのOpenSPARC担当者が反響をアピール

 米Sun Microsystemsは10月2日、オープンソース仕様の64ビット・マルチコア・プロセッサ「UltraSPARC T1」(開発コード名:Niagara)が大きな反響を呼んでいるとの声明を出した。

 Sunは同日、UltraSPARC T1のトライアル・ユニットのおよそ60%が、新規顧客からの注文であったことを明らかにした。このことは、同社がライバルのIBMやIntelから市場シェアを奪取しつつあることを意味している。

 Sunは、同社のオープンソース・プログラム「OpenSPARC」を通してUltraSPARC T1を公開している。また同社は、UltraSPARC T1プラットフォームに対するオープンソース標準への支持を確実にするために、研究者やアナリストなどで構成される独立したガバナンス・ボード(諮問委員会)も設置している。ちなみに、OpenSPARCは今年7月、UltraSPARC T1をサポートするLinuxディストリビューションの最新版「Gentoo Linux」を発表している。

 Sunは2005年12月にUltraSPARC T1を発表、今年3月にはRTL(Register Transfer Language)として知られるチップ設計コードを公開した。以降、同社では、RTLのダウンロードが3,500件、UltraSPARC T1で実行するアプリケーションを設計するためのコードのダウンロードが2,600件あったという。

 SunのOpenSPARC担当マーケティング・ディレクター、ファディ・アズハリ氏は、「UltraSPARC T1は8つのコアと32のスレッドを備えるほか、他のチップ・メーカーの製品と比べて4〜5倍ほどパフォーマンスが高い。こうした性能が大きな関心を生んでいる」と強調する。

 OpenSPARCガバナンス・ボードのメンバーで、米インサイト64でシニア・アナリストを務めるネイサン・ブルックウッド氏は、「UltraSPARC T1は少ない電力消費で高いパフォーマンスを提供する点で、Sunのこれまでのプロセッサ製品と一線を画している。とりわけ、発熱問題を抱えるデータ・センターにとって有益となるだろう」と指摘している。

 米IDCが発表した調査結果にも、Sun復活の兆候が表れている。それによると、2006年第2四半期のSunにおけるサーバ事業の総収入は、前年同期比15.5%増の16億ドルを達成したとしている。一方、同業界トップのIBMのサーバ事業収入は2.2%減、業界第2位のヒューレットパッカード(HP)も1.7%減となった。ブルックウッド氏は、「UltraSPARC T1の市場投入により、Sun復活の勢いに弾みがつくはず」と分析している。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

提供:Computerworld.jp