Ecma、Office Open XML仕様の最終案を公開へ
各国政府は、既存の公的情報へのアクセスを保証し、プロプライエタリ・ソフトウェア開発企業への依存を避ける方法として、オープン・スタンダードなドキュメント形式に関心を示している。
デンマーク政府は今年6月に、2008年1月1日以降、中央政府機関にオープン規格のドキュメント形式の使用を義務づけることを決議した。目下、5つの省庁がODF(OpenDocument Format)規格をテストしている。ODFは、オープンソース・ソフトウェア・パッケージ「OpenOffice.org」をはじめ、Sun Microsystemsの「StarOffice」やIBMの「Workplace」といったプロプライエタリ・ソフトウェアにも採用されているOffice Open XMLのライバル規格である。
MicrosoftのOfficeスイートの次期バージョン「Office 2007」に使用されるOffice Open XML形式をEcmaが承認した場合、デンマークの省庁はODFの代わりにOffice Open XMLを採用する可能性がある。
フランス政府はコンピュータ・システムの相互運用性を確保する方法について公的調査を行っているが、まだ結論に達していない。しかし、首相から委任された下院議員ベルナール・カラヨン氏は報告書の中で、政府の各部門がドキュメントを作成、配布する際にODFの使用を義務づける法律の制定を提唱した。同氏はまた、フランスが欧州のパートナーに対し、欧州内でドキュメントを交換する際にODFを使用するよう求めることを提案している。
ISO(国際標準化機構)は5月にODF規格をISO標準に認定したが、Office Open XML仕様のISO標準化までにはまだかなりの道のりがある。
Ecmaは、12月7〜8日の総会でOffice Open XML規格の最終案について投票を行い、承認もしくは却下のいずれかを決定する。承認された場合、同規格はEcma標準となり、次にISOによる早期承認プロセスへと進むが、これには6〜9カ月かかる。ISOは承認投票に先立ち、同規格への修正を求める可能性がある。ECMAとISOはいずれもスイスに本部を置いている。
Ecmaの技術委員会「TC45」は、Office Open XML仕様の最終案を総会提出に先立ってEcmaのWebサイトに公開する。Ecma職員のイザベル・ワルチ氏ともう1人の情報筋によれば、Office Open XML仕様の最終案は、早ければ9日にも公開される見込みだという。
同案が公開されれば、ソフトウェア開発者は、2006年末に予定されているOffice 2007のビジネス・ユーザー向けリリースに先立ち、自社アプリケーションとOffice 2007ドキュメント形式の最終版との互換性を確保する機会を得ることになる。
TC45は昨年12月に作業を開始して以来6回の会合を開き、Office Open XML仕様について議論を重ねてきた。
今年9月26〜28日にノルウェーのトロンヘイムで開かれた最後の会合で、参加者は数値データの精度、アプリケーションの特徴を記述する仕組み、スプレッドシートの容量拡大について議論した後、最終案に合意したと、TC45委員のトム・ンゴ氏は会議報告書に記している。ンゴ氏は米ネクストページのCTO(最高技術責任者)である。
TC45はMicrosoftの代表2名が委員長を務めており、他の委員は英国図書館、米国国会図書館のほか、Apple Computer、Intel、Novell、東芝などの企業の代表で構成される。
(ピーター・セイヤー/IDG News Service パリ支局)
Ecma International
http://www.ecma-international.org/
提供:Computerworld.jp