Xandrosがレイオフか ― 実は単なる人事上の「調整」

デスクトップおよびサーバ向けLinuxオペレーティングシステムのディストリビュータであるXandrosは先週、少なくとも5名の社員を不意に呼び寄せ、予告もなく突然解雇を言い渡した。同社CEO(最高経営責任者)のAndreas Typaldos氏はこの動きを単なる「成長途上の調整」だと述べているが、解雇された社員の少なくとも1人はこの発言に疑問を呈している。

伝えられるところによると、Xandrosの広報担当Xenia von Wedel Rosen氏が、組織変更の一環として最近同社マーケティング部門の社員5名の解雇を発表したとのことだ。しかし、Typaldos氏はNewsForgeに対し、解雇された社員の内訳はWebサイトの開発者が2名と、イベントコーディネータ、販路開拓部門のメンバー、少し前に雇用された販売サポートスタッフが1名ずつ、と語っている。

Typaldos氏はすぐさま問題の核心に触れ、最近の解雇は実行中の成長戦略の維持にあたって同社が行った組織再編に過ぎないと述べている。「我々は過去1年間で50%の成長を遂げ、1100万ドルの増資についても第2期分550万ドルの調達を完了したばかりだ。これほど急速に成長し、多くの分野で多数の人材を雇用する以上、ときには立ち止まり、一息ついて、途中調整を行うのはごく自然なことでしょう。3年連続で成長を続けているXandrosのような会社であればなおさらだ」。

Typaldos氏によると、このところXandrosは8名の人物を新たに迎え入れたという。常勤のCFO(最高財務責任者)で統括担当の副社長、OEMチャネルの担当副社長、営業担当副社長が各1名と、営業部門の内部でさまざまな役割を担う5名の社員である。「最近、計5名を解雇したとはいえ、新たに8名、それも大半は役職の高い人物が加わった。だから我々はレイオフを実施したとは思っていない。こうした人事異動の結果、社員の数は減少ではなく増加しているのだからね。我々は、主として販売および製品サポートの領域でさらなる成長を見込んでいる」。

Typaldos氏が採用に言及した役職のうち少なくとも2つは、最低でも数週間前から役員が就任していた。同社のプレスリリースによると、営業担当の上級副社長Jeff Kuligowski氏の採用は9月半ばになっている。また、Spencer Hayman氏が新CFOとして采配を振るい出したのは今月だと言われている。だが、Xandrosに詳しい情報筋によれば、両役員は遅くとも今年の8月には同社での勤務を開始していたという。

突然の解雇

Charles Hargrove氏が、ニューヨーク市にあるXandrosのオフィスでセールスエンジニアとして働くために入社したのは今年の初めだった。面接の中で彼は、同社が前途有望であり、サーバ市場の開拓に多くの時間と労力を投資しようと計画していると聞かされた。「私に与えられた到達イメージは、その年の終わりまでにほかのセールスエンジニアを指導監督する立場になることと、彼らに部門の業績を拡大させることでした」。

先週、解雇の対象に自分が入っていることを聞いてHargrove氏は唖然としたという。「会議室に私たちを呼び入れると、彼らはドアを閉めてこう言い放ちました。‘我々はあなた方の解雇を決定しました。当社は新たな方向を目指すので、あなた方の仕事は不要になったのです。すぐに所持品を整理してください。給与は今月末までの分をお支払いします’」。

「私は11時30分にその場を去りました」。

Hargrove氏は、裏で何かが起こっているのではないかと少し前から気になり始めていたという。自分が8月に発注したコンピュータ機器の状況を監督責任者に何度か尋ねて「処理中だ」という回答をもらっていたのに、実はその発注処理さえ行われていなかったことが最近わかって彼は驚いた。また、30日の雇用期間の後に支払われることになっていた健康保険の給付金を手にすることもできなかったのだ。

「3週間ほど前から見知らぬ人を会議室で見かけるようになったのですが、あとになって投資家たちだと聞きました。その後の週末に、滅多に使われていない部屋を誰かが掃除していたかと思うと、その部屋はある投資家のオフィスになっていたのです。そして1週間後、私たちは首になりました」。

Xandrosに勤務している間、Hargrove氏は業績について一度も不満を言われたことがなかった。事実、今回の解雇はセールスエンジニアとしての彼の才能を考慮した結果ではないことをはっきりと彼は告げられている。「会議室にいる私たち全員に対し、彼らは‘この解雇はあなた方の業績とは一切関係ありません。新しい仕事探しに協力するために推薦状を差し上げるつもりです’と言っていました」。

そして会社側の代表者たちは、解雇対象者に署名させてXandrosを訴えないことを約束させるためのお決まりの文書を各自に配布したという。

Hargrove氏は、Xandrosに職を得てこれほど早く別の仕事を探すことになるとは予想していなかったが、新しい仕事はすぐに見つかるだろう、と自信を示している。彼はWindowsおよびLinuxベースのコンピュータ業務を20年以上経験し、経営管理の実績があり、2001年の同時多発テロ以降のニューヨーク市におけるアマチュア無線の運営全体の監督も行なっている。彼はXandrosに対して反感を抱いておらず、オタワを拠点とする同社の開発チームと技術サポートチームを「熱意にあふれた連中」と呼んでいる。

またXandrosの製品に関しても、非常に気に入っており、少し前に親戚のマシンにインストールしたばかりだとHargrove氏は話しながらも、解決すべき問題がまだいくつか残っていることも認めている。「私はXandrosのソフトウェアが好きだし、コンセプトも気に入っています。ですが、実は失業する1週間前に自分に言い聞かせていたんですよ。まだ人気の絶頂を迎える準備が整ったとは言えないかもな、とね」。

NewsForge.com 原文