Red Hat、株価下落で自社株買い戻し、Oracle対抗のサポート料値下げはなし

 米Oracleと競合することになったのを受けて株価が値下がりしたLinuxディストリビューター大手Red Hatの取締役会は、自社株の一部を買い戻して株価のてこ入れを図ることを決めた。

 Red Hatは10月27日、2億5,000万ドル相当の株式と7,500万ドル相当の債券を買い戻すことを明らかにした。

 Red Hatは自社株の買い戻しと一部の負債の早期清算を行うことで、26日に24%下落した株価の回復を図ると、同社の広報担当者、リンダ・ブルトン氏は述べた。

 この株価下落はOracleが25日、自社の顧客と顧客以外のユーザーに「Red Hat Linux」のサポートをRed Hatの料金の約半額で提供すると発表したことがきっかけだ。

 Red Hatの株価は27日には前日の下落からやや回復し、終値は15ドル63セントと前日終値比で80セント(5.39%)上昇した。27日の時間外取引ではさらに2セント値上がりした。26日の株価は、Oracleの発表に先立つ25日の終値19ドル51セントから24%安の14ドル83セントだった。

 Red HatのCEO、マシュー・ズーリック氏は27日、Oracleの動きに対抗してサポート料金を引き下げる予定はないと述べた。

 サポート価格を気にかけるRed Hatの顧客は少ない、と同社のグローバル・サポート・サービス担当副社長イアイアン・グレイ氏は述べた。

 「顧客とのやり取りからすると、彼らの主な関心事は、自社のインフラに対する当社のサポート方法や、当社が複数のハードウェア・ベンダーや複数のISV(独立系ソフトウェア・ベンダー)といかに連携するかといったことだ」とグレイ氏。「サポート価格について聞かれることはない」

 グレイ氏によると、Red Hatは12カ所のRed Hatサポート・センターに2000名の顧客対応エンジニアを配置しており、全世界で24時間体制のサポートを提供している。

 Oracleには100名のLinux認定エンジニアがいるが、難しいサポート事例の対処について、同社はしばしばRed Hatのエンジニアに相談している、と同氏は語る。

 Red Hatを下回るOracleのサポート価格設定は批判を浴びた。オープンソース・データベースを提供するIngressのCTO(最高技術責任者)兼戦略担当上級副社長デイブ・ダルゴ氏は、26日に投稿したブログで、Oracleの動きはRed Hatのビジネス・モデルの基盤を崩す可能性があると記した。

 「OracleはRed Hatの仕事を横取りして安い値段をつけ、ベンダーとしてRed Hatを出し抜こうとしている。このモデルは、たとえ成功したとしても、いつまで続けられるかわからない」とダルゴ氏。同氏は、OracleがRed Hatよりも低い価格設定をすると、Red Hatは弱体化して市場撤退か身売りを強いられ、競争が少なくなると主張する。

 しかし、Oracleを擁護する声もある。IBMのSystem zメインフレーム製品ライン担当ゼネラル・マネジャーを務めるジム・スターリングス氏はその1人だ。同製品ラインはRed Hatや他のLinux OSで稼働するように設定できる。

 「Oracleの新たな措置により、顧客は選択できるようになる。顧客の選択の幅が広がることは、常に良いことだ」(スターリングス氏)

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

提供:Computerworld.jp