LinuxからWindowsに移行~Elan社の場合

Elan Home Systems社はかつて 同社の家庭用デジタル音楽サーバ製品に組み込みLinuxを使用していた。しかし同社の経営陣によると、デジタル著作権管理やプラットフォームの柔軟性に関する問題のために、LinuxからWindowsXP Embedded に移行することになったのだと言う。

Elan社のデジタル音楽サーバシステムでは、 タッチパッドを使ってサーバを遠隔操作し、 家庭内のさまざまな場所から音楽コレクションの管理や再生をすることができる。 このサーバは最近まで組み込みLinuxで動いていた。 Elan社製品販売マネージャのRick Gratz氏によると、 Linuxにそれほど問題があったというわけではなかったと言う。 「Linuxは非常に安定していました」。 ただし、Gratz氏が言うところによると 「製品をできる限りユーザフレンドリにすることがElan社の使命」であり、 そのためあらゆるタイプのメディアの再生/保存を顧客ができるようにする必要があったのだという。 そしてそのような必要がある場合には、LinuxはWindows Media Audioなどの DRMによって管理されているデータ形式の取り扱いに関して問題を抱えていることから、 同社の考えではWindowsの方がより優れた選択肢であったとのことだ。

またElan社製品ラインマネージャのDavid Moore氏によると、 「Linuxでは多くの異なる箇所で足かせとなるようなことが存在し、 思うようにできないことがとても多く存在した」のだと言う。 「例えば、DRMの問題以外にも、 Windowsの世界でLinuxがうまくやれないことの一つにバックアップの問題があります。 ハードディスクの平均寿命は3年です。 何ヵ月にも渡って一つのハードディスクに音楽ファイルをコピーしようとする顧客の場合、 (Linuxでは)バックアップを取る良い方法が存在せず、 ディスクイメージを丸ごとコピーする以外には方法がないのです」と言う。 そして「ディスクイメージを丸ごとコピーするというのは非常に時間がかかる上、複雑です。 そのため誰もバックアップをしていませんでした。 そして(ハードディスクが壊れたとき)すべてのファイルを失ってしまいました。 製造業という立場から言わせてもらえば、そういうことがあるので、 Linuxというのは決して扱いやすい品物ではないのです」と言う。

Gratz氏とMoore氏の両氏はまた、 LinuxからWindows XPeに移行することによってサーバが高機能になったのだと言う。 例えば、iPodとの音楽ファイルのやり取りや、 ネットワーク接続されたWindowsやMacのコンピュータからの ウェブブラウザ経由でのサーバへのアクセスなどが、 Windows XPeに移行することによってはじめてできるようになったのだという。 「Windows XPeにすることによって、エンドユーザはタッチパッドのみならずPCからも サーバをコントロールすることができるようになりました。 Linuxではできなかったことです」 とGratz氏は言う。 Moore氏も、 Windows XPeにすることによって共有フォルダを利用することができるようになったので、 iPodからサーバに(あるいはその逆も) ユーザが音楽ファイルをドラッグ&ドロップすることができるようになったと付け加えた。

Gratz氏によると、 上記のハードディスクのバックアップの問題が原因で Elan社が顧客を失ったというような事態があったわけではないのだが、 同社は事前の予防策としてWindowsへ移行したのだと言う。 「今はまだ勝負のつかない、始まったばかりの段階です。 私どもはこれまでに(同サーバを)約4年間販売してきましたが、 ハードディスクが古くなるに連れて (バックアップなしの状態でハードディスクが壊れてそのために評判が落ち) 売り上げが落ち始めるというようなことを 避けたかったのです」。

Gratz氏によるとElan社は、 旧式のサーバを所有する顧客にも今まで通りのサポートを提供する予定であると言う。 「サポートを続けるためにLinuxベースのサーバをXPeと交換する必要があるということに なるのであれば、 そうさせていただくつもりです」。

Gratz氏によれば、 Windows XPeのライセンス料金がこれまでのLinuxの場合よりも高くなるため、 同社の3種類あるサーバモデルのうちの2種類のモデルについて料金を値上げしたとのことだ。

NewsForge.com 原文