Sun、Java SE 6を正式リリース──オープンソース版Java SEは来年3月に

 米Sun Microsystemsは12月11日、かねてから登場が待たれていたJavaアプリケーション開発プラットフォーム「Java Platform Standard Edition(Java SE) 6」を正式にリリースした。

 Java SE 6の特徴の1つは、複数のスクリプト言語をサポートしている点にある。Java SEとしては初めて、PHPやPython、Ruby、JavaScriptなどのスクリプト言語とJavaを組み合わせて開発が行えるようになっている。

 SunのJava SE担当チーフ・エンジニアであるマーク・ラインホルト氏によると、マルチ言語対応はJava SE 6の大きなテーマだったという。

 「以前は、すべてJavaを中心に据えて開発を進めていた。だが、Javaと他の言語を組み合わせてハイブリッド・アプリケーションを作成したいというニーズが高まっている。そこでわれわれは、スクリプト言語とJavaとをシームレスに連携するAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を用意するとともに、Mozillaが開発したオープンソースのJavaScriptエンジン『Rhino』をJava SE 6に同梱した」(ラインホルト氏)

 Java SE 6ではそのほか、コンパイラをコードから呼び出すAPIの追加や、クラス・ファイル(Javaの実行ファイル)の仕様変更、既存APIの拡充などが行われている。

 SunのJavaプラットフォーム・プロダクト・マーケティング担当シニア・ディレクター、ジーン・エリオット氏は、Java SE 6の開発にはコミュニティが重要な役割を担ったことを明らかにした。同氏によると、Java SE 5がリリースされた2004年9月以降、何百人もの外部開発者がJava SE 6の開発に参加したという。

 ラインホルト氏は、開発者から寄せられた要望について、「最も多かったのは『SunのJava対応統合開発環境である「NetBeans」用のアドオンを Java SE 6に搭載してほしい』ということだった」と振り返る。この要望にこたえるかたちで、Java SE 6では、「NetBeans GUI Builder(開発コード名:Matisse)」に基づいたレイアウト・マネージャ機能を用意している。

 またSunは、160社以上のソフトウェア・ベンダーに対し、JavaアプリケーションをJava SE 6のプレリリース・ビルド上でテストできる環境も提供した。エリオット氏は「こうした活動がJava SE 6の普及に一役買う」と期待する。

 ただし、企業へのJava SE 6の本格導入が始まるのは1年以上先だと分析するアナリストもいる。レッドモンクのソフトウェア・アナリストであるマイケル・コート氏は、「Java SE 6の導入を自社の次の開発サイクルまで待つ企業もあれば、じっくり試用したうえで導入を検討する企業もある。また、利用しているアプリケーション・サーバがJava SE 6をサポートするまで待たなければならないというケースも出てくるだろう」と予測する。

 もう1つ注目したいのは、Tangoプロジェクトの成果の一部がJava SE 6に取り込まれている点だ。Tangoは、MicrosoftとSunの各製品をシームレスに連携させることを目標としたプロジェクトで、今回のJava SE 6では「Java API for XML Web Services(JAX-WS)2.0」のようなAPIに同プロジェクトの成果が含まれているとラインホルト氏は説明する。

 「われわれの顧客からは非常に明確なメッセージが寄せられている。それは、『SunはMicrosoftと連携しなければならない』というものだ」(ラインホルト氏)

 なお、エリオット氏によると、来年3月にリリースする予定のオープンソース(GPL)版Java SE「OpenJDK」には、Java SE 6の新機能がすべて搭載される見通しだという。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

Sun Microsystems
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提供:Computerworld.jp