中国のLinux業界、問題を抱えつつも急成長中

昨年12月21日に北京で開催された「2006 China Linux User Convention」(中国Linuxユーザ会議2006)では、中国のLinuxユーザ、ベンダ、マスコミ、アナリストたちが一同に会し、中国におけるLinux/オープンソース業界の最近の動向についての議論が行なわれた。

北京市平谷県の行政機関でオープンソースソフトウェアの導入を担当するZhang Shiliang氏は、同氏の組織でのLinuxの利用に関する問題点について講演した。中国において現在Linuxの最大規模の顧客は中国の政府機関だという。平谷県でも2004年にオープンソースソフトウェアの利用促進が開始され、現在では4,680台のコンピュータのうちの85%にLinuxなどのオープンソースソフトウェアがインストールされているという。しかし現在のところはまだ、そのうち53%のコンピュータにMicrosoft Windowsもインストールする必要があるとのことだ。そしてその理由は、上位の政府機関でWindowsやその他のOS(中にはLinux OSも含むが互換性がない)が使用されているためだという。

Zhang氏は、各Linux企業同士が、各社のLinuxの間での非互換性をなくしたりWindowsとの互換性を高めたりするための、統一された業界標準を定めるために協力し合うことを勧めた。さらにZhang氏は、少なくとも「オープンソースソフトウェアの(政府機関での)利用促進のためには、ボトムアップではなくトップダウンな方法で売り込むべきです。ソフトウェア企業がLinuxをまず上位の政府機関へと売り込めば、下位の政府機関もそれに習う必要が出てくるでしょう」とも付け加えた。

またZhang氏は、中国国内のオープンソース/Linux企業は「今の段階ではまだ十分に多くの種類のサービスを提供しているとは言えません。そのため中国国内企業のオープンソースソフトウェアの価格は外国企業のものよりもずっと安価であるのにも関わらず、実際に運用していくとなると、購入後に自前で人手を費やす必要があり、結果的に必要となる時間もお金もマンパワーも大きくなってしまうのが問題です」と指摘した。

China OSS Promotion Union(中国OSS促進連合)の会長を務めるLu Shouqun氏は、中国国内での状況は改善しつつあると述べた。「過去には一部の企業がGPLなどのオープンソースの約束ごとに違反したこともありました。しかし現在ではそのようなことはきちんと正すようになり始めました」。Lu氏はまた、中国のオープンソース業界は「黎明期」を終え「成長期」に入ったとし、各企業は互換性の向上にもすでに着手していると述べた。

CCID Consulting社のアナリストHu Ke氏は、中国のLinux業界が、製品、ユーザ、コミュニティ、販売経路のすべてに問題を抱えていると指摘した。Hu氏によると、業界内の各種Linux間での非互換性が多すぎ、このことがLinuxの利用促進の妨げになっているとのことだ。

またHu氏はZhang氏に同意し「Linuxユーザは、ベンダからのサポートに非常に関心がある」にも関わらず、提供されているサポートが十分だとは思えないとした。さらにHu氏は「中国のオープンソースコミュニティは比較的小規模であり、影響力もそれほど大きくありません。大規模なプロジェクトが存在せず、参加者もほとんどおらず、お金もほとんど流れてきていません」と述べた。

Hu氏はまた、中国のオープンソース業界の販売経路があまり「クリア」ではなく、そのことが「サービス、アプリケーション、供給」についてのリスクを高める原因となっていると述べた。そして、これらの問題のために業界内で不適切なことが行なわれる可能性があるということを懸念した。例えば、このような販売経路の不透明さということが原因となって、政府機関がソフトウェアを最良のベンダから購入するのではなく(政府機関と)密接な関係にあるベンダから購入するというようなことが時には起こってしまうかもしれないと指摘した。

とは言えHu氏は、業界内には多くの問題点があるものの、それでも中国のLinux業界は今後5年間で急速に成長すると考えている。「今現在、Linuxを受け入れるユーザがどんどん増えています。政府機関もLinuxの利用を推奨しています。販売経路も改善されています。Windows系のベンダとLinux系のベンダとが、 お互いの間にある非互換性を改善しようと協力し合っています。さらには、Microsoft社が著作権侵害の取り締まりを強化していることや、仮想化テクノロジの発達などを考えてみて下さい。これらの多くの要素が、Linux市場の成長を後押しすることになると思います」と述べた。

そしてHu氏は、中国のLinux市場が2006年から2010年にかけて毎年平均28%の割合で成長していくだろうと予測した。

またLu Shouqun氏によると、中国における2005年のLinuxの売り上げは1億7500万元(2100万ドル)であり、これは前年比81%の増加であるとのことだ。同様にLinux以外のオープンソースソフトウェアの2005年の売り上げは1億6000万元(1900万ドル)とのことだ。そしてオペレーティングシステム市場においてLinuxのシェアは2003年から2005年の間に4.2%から9.8%へと増加したという。

とは言え、オペレーティングシステム市場におけるシェア獲得ゲームという観点では、Microsoft社もまたLinux同様に勝者であるとのことだ。Lu氏は「実は中国でLinuxユーザが増加したことによって、Windowsの利用が減ったわけではありません」と言う。Lu氏が示した数字によると、オペレーティング市場におけるWindowsのシェアは、2003年から2005年の間に55.1%から64.8%へ増加した。したがってLinuxユーザの増加は主に、市場シェアが30.9%から19.8%へと減少した、Unixユーザのシェア低下に起因するものだと考えることができるとのことだ。

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