VMware、「VMware Converter 3」を正式リリースへ——仮想環境への移行が簡単に

 ストレージ・ベンダーである米EMCの子会社で、仮想化ソフトウェア最大手のVMwareは、サーバ仮想化を支援する移行ツールの最新版「VMware Converter 3」を近くリリースする。すでに昨年10月からベータ版の提供を開始していたが、ようやく正式版が完成したもようだ。

 VMware Converter 3は、物理マシンから仮想マシン環境を生成するためのP2V(Physical-to-Virtual)変換プロセスや、仮想マシンから仮想マシン環境を生成するためのV2V(Virtual-to-Virtual)変換プロセスを自動化するもの。VMware製品以外の仮想化ハイパーバイザで管理されている仮想マシンにも対応しているのが特徴だ。ちなみにハイパーバイザとは、1台のコンピュータで同時に複数のOSを動作させるための技術である。

 VMwareの製品管理担当ディレクター、ベン・マシソン氏は、仮想化の利点を「サーバの有効活用、コストの削減、業務の効率化」としたうえで、「仮想システムの管理はまだ難しい。その問題を解決する手段として、物理環境から仮想環境への移行を容易にするツールが必要とされており、それにこたえるのが VMware Converter 3だ」と同製品の有用性を強調した。

 マシソン氏によると、VMware Converter 3の“目玉”は「ホット・クローニング」だという。同機能を使えば、1台の物理サーバを複数の仮想サーバに変換し、物理サーバを再起動することなく仮想サーバを動作させることができる。

 今回リリースされるVMware Converter 3には、「VMware Converter Starter」と「同Enterprise」の2つのエディションが用意されている。両エディションとも無料だが、前者は一度に1台の物理サーバしか仮想サーバに変換できないなど、一部の機能に制限がある。

 これに対し、後者は同時に複数の物理サーバを仮想サーバに変換できる。ただし、Enterpriseエディションを利用できるのは、VMwareの主力製品「VMware ESX Server」を導入しているユーザーに限られる。

 IT 調査会社である米パンドITのチャールズ・キング社長は、2つのエディションがそれぞれ想定しているユーザーについて、「VMware Converter Starterは、初めて仮想化プロジェクトに取り組む小規模企業向け。一方、VMware Converter Enterpriseのほうは、仮想化に精通したITスタッフを抱えている大規模企業向けだ」と指摘。「ユーザーはどちらのエディションを利用しても、仮想化の実行と管理が今まで以上に簡単に行える」(キング氏)と、VMware Converter 3を評価する。

 現在、x86サーバを対象とした仮想化市場は混戦状態にある。VMwareがトップ・シェアの座を死守しているものの、他の仮想化ソフト・ベンダーも積極的に低価格製品を同市場に投入し、追撃を図っている。

 実際、昨年12月には米バーチャルアイアンとXenSourceが、オープンソース・ソフトウェアをベースとする仮想化ハイパーバイザを提供した。バーチャルアイアンが発売した企業向け仮想化プラットフォーム「Virtual Iron Version 3.1」はライセンス料がソケット当たり499ドル、XenSourceが発表した仮想化ソフトウェアの新製品とアップグレード版の価格は1,000ドル以下である。

 以前は仮想ソフトウェア製品を有料で販売していたMicrosoftも、昨年4月から「Virtual Server 2005 R2」を無料提供に切り替えている。さらに同社は、新バージョンの仮想化製品を今年中にリリースする予定だ。

米VMware
http://www.vmware.com/

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

提供:Computerworld.jp