BEA、アプリケーション・サーバの新版をリリース――Java EE 5のサポートにより、EJB 3.0環境を提供

 米国BEA Systemsは4月2日、Javaプログラム開発支援やシステム可用性の向上に重点を置いたアプリケーション・サーバの新版「BEA WebLogic Server 10」をリリースした。

 WebLogic Serverは、Javaアプリケーションの実行・配備サーバとしてよく知られたミドルウェアだ。今回の新版では、Java EE(Java Platform Enterprise Edition)5をサポートしているほか、オープンソースのJava開発フレームワーク「Spring」にも対応している。

 BEAのWebLogicプロダクト・マーケティング担当ディレクター、ブレーク・コネル氏は、「この製品の大きな特徴はJava EE 5のサポートだ。大手商用ベンダーの中で、Java EE 5対応のアプリケーション・サーバを提供するのは当社が初めてだ」と述べている。

 Java EE 5はEJB(Enterprise JavaBeans)3.0をサポートしているため、WebLogic Server 10で動作するアプリケーションの開発時にはアノテーション機能を利用できる。アノテーションは、Javaソースコード中にメタデータを埋め込むための記法で、いわばコードの抽象度を高めるものだ。アノテーションを駆使すれば、複雑なコードを記述する必要はほとんどなくなる。

 また、WebLogic Server 10では、Javaアプリケーションから情報を取得してデータベースに保存する作業が容易になった。これは、新しいJavaオブジェクト永続化APIの採用が理由である。同APIは、OpenJPA(Java Persistence API)ベースの「Kodo」を利用している。Kodoは昨年、BEAがApache Software Foundationに寄贈したオブジェクト永続化技術だ。

 WebLogic Server 10では、Webサービス開発機能もアップデートされた。これにより、煩雑なコードの量を減らすことができると、コネル氏は説明する。WebLogic Server 10には、Eclipseベースの開発環境「BEA Workshop for WebLogic Platform 10」も含まれている。

 一方、Springの生みの親で、インタフェース21のCEOを務めるロッド・ジョンソン氏は、WebLogic Server 10は内部的にはSpringをベースにしていると語る。

 「BEAが採用したアーキテクチャはSpringをベースにしている。したがって、SpringコンポーネントをWebLogic環境でネイティブに動作させることが可能だ」(ジョンソン氏)

 ジョンソン氏によると、Springのサポートにより、WebLogic環境下では、Java EE 5とSpringの両コンポーネント・モデルをシームレスに組み合わせることが容易だという。「現在、多くの開発者がSpringコンポーネント・モデルに沿ってアプリケーションを標準化している。そのため、彼らにとっては、Springコンポーネント・モデルをWebLogic環境に展開することはさほど難しくないはずだ」(同氏)

 さらに、可用性の向上もWebLogic Server 10での強化点の1つだ。クラスタリングやサービス移行機能に加え、パフォーマンスとアップタイムの向上により、アプリケーションの可用性が高まり、ダウンタイムをほとんどなくすことができると、コネル氏は強調する。

 「サーバがダウンしたとしても、その上で稼働していたサービスは、自動的にほかのサーバに引き継がれる。この機能は、通信や金融サービスといった業種では特に重要だ」(コネル氏)

 WebLogic Server 10は、「SOA 360゜」と呼ばれるBEAのSOA(サービス指向アーキテクチャ)戦略を支える基盤製品の1つと位置づけられている。BEAは、ライバルのJBossとは異なり、アプリケーション・サーバのライセンスを無料化してはいない。しかしBEAでは、フェールオーバーやサーバ移行、管理、診断などの機能を重視する企業ユーザーからWebLogicは支持を得ており、ライバルたちに負けることはないとしている。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

米国BEA Systems
http://www.beasys.com/

提供:Computerworld.jp