Intel、新世代のCentrinoをリリース――PCベンダー各社も搭載製品を相次いで発表

 米国Intelは5月9日、“Santa Rosa”の開発コード名で呼ばれていた新世代の「Centrino」プラットフォームをリリースした。これに合わせ、DellやLenovo Groupなどが新Centrino搭載のノートPCを相次いで発表した。

 旧Centrinoシリーズの売上げが好調だったことから、Intelは新Centrinoにも大きな期待を寄せている。同社の発表によると、すでに多くのPCベンダーが新Centrino搭載ノートPCの発売を予定しており、その数は今年だけで230機種に上るという。

 新Centrinoは、より長時間のバッテリ駆動時間を実現するとともに、プロセッサ/チップセット/ワイヤレス・カードといったコンポーネントすべてにおいて速度向上を図っている。

 一般消費者向けモデルでは、新Centrinoは引き続き「Centrino Duo」のブランド名を使用するが、旧Centrinoよりも高速のCore 2 Duoプロセッサを採用し、新しい高速Wi-Fi規格「IEEE 802.11n」(プレ標準版)もサポートする。また、通常のハードディスクにNAND型フラッシュ・ドライブを組み合わせ、起動時間やアプリケーションへのアクセスを高速化する「Turbo Memory」機能(オプション)も追加している。

 Intelのチーフ・モバイル・テクノロジー・エバンジェリスト、マイク・トレイナー氏は、「一般ユーザーが最も違いを感じるのは、おそらく映像を制御するグラフィックス・コントローラだろう」と語る。同氏は、新Centrinoに搭載されたカラー・コントロール機能はテレビ同様の鮮明な画像を表示できるため、ビデオ・ゲームやDVDの愛好家からも高く評価されると見ている。

 Intelは、企業ユーザー向けのビジネス版「Centrino Pro」も同時にリリースした。Centrino Proには、同社のデスクトップPC向けプラットフォーム「vPro」に使用されているセキュリティ自動化機能やITマネジメント機能などが備わっている。これにより、企業のシステム管理者は従業員のノートPCをリモートで管理・保護することが可能になり、例えばPCの修復やソフトウェア・パッチの追加といった作業をワイヤレスで行うことができる。

 各PCベンダーは、需要が高かったリモート管理機能がノートPCのシステム管理技術に加わった点を評価している。

 Dellのビジネス向けノートPCシリーズ「Latitude」を担当するシニア・マーケティング・マネジャーのブレット・マカナリー氏は、IT環境の複雑化が進むにつれ、基軸となるビジネス業務にユーザーが集中できなくなっている点を指摘。「IT環境全体を単純化する必要性があるという声が高まっている」と述べた。

 Dellは9日にLatitudeの新モデルを発表、旧「D620」に代わる新しい薄型軽量ノートPCの「D630」や、「D820」の後継となるハイパフォーマンス・モデル「D830」にCentrino Duoを採用した。同社の発表によると、新機種ではバッテリ駆動時間が旧Centrino搭載モデルと比較して15%伸び、最大で9.4時間を実現しているという。

 14.1インチ・モニタを搭載したD630の重さは4.48ポンド(約2kg)。一方、15.4インチ・モニタ搭載のD830は5.97ポンド(約2.7kg)で、最小構成価格はD630が1,189ドル(国内での価格は18万75円)、 D830が1,249ドル(同19万2,675円)。さらにDellは、低価格帯のモデルとして、AMDのTurion 64またはSempronチップを採用した「D531」(839ドル/12万225円)も発表している。

 またDellは数週間以内に、Centrino搭載の「Latitude D430」ウルトラモバイル・ノートPCおよび「Precision M4300」ワークステーションを発表する予定だ。さらに、ビジネス向けの「Latitude D630c」をリリースする第4四半期までには、Centrino Pro搭載シリーズを製品ラインアップに加えるとしている。

 Lenovo Groupも9日、Centrino Pro搭載の「ThinkPad T61」およびCentrino Duo搭載の「同 R61」を発表した(10日時点で国内未発表)。今月中旬に出荷開始予定の両機種は、ともに14.1インチのワイドスクリーン・モニタを採用し、最小構成価格はT61が1,399ドル、R61が1,249ドルとなっている。同社はさらに、Centrino Duoを採用したビジネス・ユーザー向けの低価格モデル「Lenovo 3000 N200」を1,099ドルで今月下旬に発売する予定だ。

 LenovoのThinkPad担当プロダクト・マーケティング・ディレクター、トム・リブル氏は、新Centrinoの利点として省電力性を挙げ、発熱の少ない静かなPCを求めるユーザーの要望にこたえるものだと語った。

 一方、HPもCentrinoベースのノートPCを発売する。ビジネス・ユーザー向けノートPC「HP Compac 2710p」「同2510p」「同6910p」はいずれもCentrino Proを採用。価格は6910pが1,349ドル、第4四半期までに出荷予定の2710pは1,699ドル、2510pは1,599ドルとなっている。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

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提供:Computerworld.jp