富士通、サーバ統合を主眼としたブレード・サーバ/仮想化ミドルウェアの新製品を発表――ハードウェア、ミドルウェア、サポート・サービスの三位一体をアピール

 富士通は5月14日、同社のブレード・サーバ「TRIOLE BladeServer」シリーズの新製品「PRIMERGY BX620 S4」を発表した。併せて、ブレード・サーバ用仮想化ソフトウェア「Systemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition V13.2」の発表も行い、ブレード・サーバと仮想化の両技術を核とするサーバ統合に向けた同社の最新の取り組みを示した。

 今回発表されたPRIMERGY BX620 S4と、同製品対応のシャーシ「同BX600 S3」、FCスイッチ「同BX600」では、多くのユーザー企業で課題となっているサーバ統合に向けて、性能および機能の強化が図られている。例えば、サーバ統合後の運用管理においては、ネットワークの帯域や接続ポートの確保の問題が生じるが、BX620 S4ブレード・サーバでは、LANポート数が従来製品の6ポートから10ポートに増強され、 BX600スイッチのLANポート数も、従来製品の約3倍となる42個に増強されている。また、BX600 S3シャーシでは、従来製品では120Gbpsだったネットワーク帯域幅が520Gbpsにまで拡大されている。

 BX620 S4ブレード・サーバ自体の性能強化としては、CPUにIntelの低電圧クアッドコア・プロセッサXeon L5320が採用されており、最大で2個まで搭載することが可能。同CPUは、従来の同等の性能を持つCPUに比べて、最大で60%の消費電力低減を実現しているという。内蔵ハードディスク・ドライブ(HDD)は、容量147GBのHDDを2個搭載したことで大容量化が図られている。また、対応OSとして、Red Hatの最新LinuxディストリビューションであるRed Hat Enterprise Linux 5が追加されている。

 一方、同時に発表されたSystemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition V13.2は、ブレード・サーバでの仮想化環境の構築を支援するミドルウェア。従来の機能に加え、VMwareの「VMware ESX Server」との連携機能が強化されており、物理サーバと仮想サーバの両環境の運用管理が容易に行えるようになっているという。

 また、同ミドルウェアでは、Emulexとの共同開発による新しいSAN環境用の仮想化機能も利用可能になっている(オプションとして提供される)。この機能を利用することによりシステム管理者は、ブレード・サーバを交換・変更する際にSANの設定変更を行う必要がなくなる。これは、「仮想World Wide Name」という仮想アドレスを用いることで、従来、サーバ構成変更時に新たに割り振らなければならなかったアドレスを、変更のたびに流用できるという仕組みにより実現された機能だ。

 製品の説明を行った同社パーソナルビジネス本部本部長代理の増田実夫氏は、同社のブレード・サーバ事業について、「サーバ統合や仮想化に対する、ユーザー企業からのニーズが高まっている現状を踏まえ、当社はハードウェアだけでなく、ミドルウェアや導入・運用サポートなどのサービスを併せて用意することで、より運用性・可用性の高いブレード環境を提供していくつもりだ」と語った。

 価格(税別)は、最小構成タイプで、PRIMERGY BX620 S4が57万6,000円から(CPUに、Xeon 5110を搭載するタイプは43万円から)、シャーシ「同BX600 S3」が35万円、FCスイッチ「同BX600」が30万円で、出荷はいずれも2007年6月上旬から開始される予定。一方、Systemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition V13.2は、価格が9万円から、出荷は2007年9月から開始される予定。

(高山哲司/Computerworld)

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