VMware、仮想化性能を評価するベンチマーク・ツールを無料公開――策定中のSPEC標準を補完する“公平”なテスト環境の提供をアピール

 米国VMwareは7月23日、データセンターの仮想化技術の性能を評価するための無料のベンチマーク・ツールを公開した。同社は、競合ベンダーを含むあらゆる企業にとって公平なテスト環境を提供できるとアピールしている。

 今回提供が開始された「VMmark 1.0」は、データセンターの運用に必要となる典型的な6種類の処理に関して仮想化ソフトウェアの性能を評価できる。具体的には、ファイル・サーバ、電子メール・サーバ、Webサーバ、スタンバイ・サーバ、オンライン・トランザクション処理(OLTP)データベース、Java受注システムのテスト環境が用意されている。

 同ツールは、Linux、Windowsに対応しており、 同社のサイト から無料でダウンロードすることができる。

 VMwareは2006年10月に、VMmarkのプロトタイプをSPEC(Standard Performance Evaluation Corporation)に提供している。SPECは、顧客が製品を評価するための標準ベンチマーク仕様を策定する業界団体であり、当時は仮想化ソフトウェア用のベンチマーク標準を開発する作業グループが組織されたばかりだった。SPECは現在、同標準の策定作業を進めている。

 ベンチマーク・テストは、さまざまな製品を比較するのに役立つが、ソフトウェアやツールを調整することによって性能を高く見せることができるという問題も指摘されてきた。SPECをはじめとするベンチマーク関連業界団体は、そうした疑念を払拭し、公平なベンチマーク標準を策定するために設立された。

 VMwareのエンタープライズ/テクニカル・マーケティング担当シニア・ディレクターのアンドレア・ユーバンクス氏は、ベンチマーク・テストが適正に行われないことがあるという疑念が存在することを認めたうえで、「われわれは公平性を担保するために最大限の努力を払ってきた」と強調する。

 VMwareはライバルのSWsoftやTrigenceとともに、SPECの仮想化ベンチマーク標準を策定する作業グループ(13名で構成)に代表を送り込んでいる。同グループには、HPやMicrosoft、Intelなどの大手IT企業の代表もメンバーとして参加している。

 ユーバンクス氏は、「標準化のプロセスにはかなりの時間がかかり、SPECの仮想化ベンチマーク標準もまだ策定途上にある」としたうえで、ベンチマークのオープン標準化に寄与し、それを補完するためにVMmarkを公開したと説明する。

 「当社の意図が誤解されないようにテクノロジー・プレビューをSPECに提出し、標準ベンチマークの基礎として利用してもらえるようにした。当社は技術の改良を望んでいるのであり、ベンチマークをごまかすことは望んでいない」(同氏)

 しかし、VMwareのライバルであるXenSourceのマーケティング担当バイスプレジデントを務めるジョン・バラ氏は、VMwareは同社が主張しているように常に公平だったわけではないと指摘する。

 バラ氏によると、VMwareは今年初めに、Windows OS上でVMwareのハイパーバイザ「ESX Server」とXenSourceのハイパーバイザ「Open Source Xen」を比較し、VMwareの性能が優れているという結果を示す報告書を発表したが、この比較は公平ではなかったという。

 同氏は、Open Source XenはWindowsではなくLinuxに最適化されており、公正なベンチマーク・テストを行うのであれば、Windowsに最適化された「Xen Enterprise」と比較すべきであると指摘している。

 「当社はさまざまな分野でVMwareに協力しているが、Open Source XenとESX Serverのベンチマーク結果に対しては“不当である”と強く抗議した。VMwareの名誉のために補足すれば、同社はその後テストをやり直し、 ESX ServerとXen Enterpriseがほぼ同等の性能を示す修正版のベンチマークを公表した」(バラ氏)

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国VMware
http://www.vmware.com/
「VMmark」のダウンロード・ページ
http://www.vmware.com/download/vmmark/

提供:Computerworld.jp