オラクルの「Unbreakable Linux」サポートが国内で始動――パートナー各社との協力体制を敷き、Linuxビジネスに本腰

 日本オラクルは8月30日、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を対象にサポート・サービスを提供するプログラム「Oracle Unbreakable Linux」を9月1日より国内で開始すると発表した。

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日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏、米国オラクル Linuxエンジニアリング担当バイスプレジデント ウィム・コーカーツ氏

 Unbreakable Linuxは、RHELを対象に修正パッチの提供や24時間365日の技術問い合わせ対応などのサービスをオラクルおよび同社のパートナー企業が実施するサポート・プログラム。同サービスは、2006年10月に開催されたOracle OpenWorld 2006において米国OracleのCEO、ラリー・エリソン氏が発表したもので、米国ではすでに開始している。

 発表に際し、日本オラクルの代表取締役社長、新宅正明氏は、「Linux領域に製品を投入してから5年以上が経過したが、Linux用のデータベースとしてOracle Databaseは顧客から高い評価を得ている。こうした評価をベースにLinuxビジネスに取り組めば、データベース・ビジネスでもますますシェアを高めていけると考えている」と新サービスに自信を見せた。

 一方、来日した米国OracleのLinuxエンジニアリング担当バイスプレジデント、ウィム・コーカーツ氏は、「Red HatやNovellは、企業利用に適したサポート・サービスを提供していない。コストが高く、知的資産に関するリスクがあることから、大規模企業が安心してLinuxを利用できる状態ではない」と、Linuxディストリビューターによる従来のサポートの問題点を指摘、Unbreakable Linuxがこうした問題を解決するとあらためてアピールした。

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Unbreakable Linuxのサービス提供形態

 サービスの提供は、基本的に販売パートナー経由で行われ、顧客に対する1次サポートをパートナーが提供する「1st Line Support Model」と、パートナー自身によるLinuxサポートの付加サービスとして提供される「Value Add Model」の2形態となる。

 前者のモデルはSMBからエンタープライズの顧客、後者のモデルは主にエンタープライズの顧客を対象としている。同社によれば、Linuxとその上で稼働するOracle製品を一気通貫でサポートできる点に同サービスのメリットがあることから、Oracle製品の販売パートナー経由という提供形態を基本としたという。

 現時点では、1st Line Support Modelのパートナーとして伊藤忠テクノサイエンス、デル、ミラクル・リナックス、新日鉄ソリューションズ、NTTデータ先端技術、サイオステクノロジー、Value Add Modelのパートナーとして日立製作所、NECが決定している。なお、新規にLinuxを導入するユーザーには、RHELとの互換性を確保した Linuxを「Enterprise Linux x86/x86-64」として提供する。

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Unbreakable Linuxのサービス・メニューと価格

 同プログラムのメニューは、サービス内容に応じて3種類が用意される。最も価格が低い「Enterprise Linux Network Support」では、パッチの入手などを行うUnbreakable Linux Networkを利用でき、年額保守料金は1万2,400円となっている。

 また、発表会では、日本オラクルのLinuxビジネスにおける新たな戦略も披露された。新戦略では、パートナー提供モデルの下でのUnbreakable Linuxの展開に加え、Linuxカーネルの品質向上を目指すサポート・センター「Joint Support Center」の設立、Linuxに関する認定資格の開設、Linuxシステムの構築/運用に関するベストプラクティスの提供などが予定されている。

(大川 泰/Computerworld)

日本オラクル
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提供:Computerworld.jp