Microsoftの仮想化戦略は「他ベンダーとの協調」――共同サポート体制の構築に関して柔軟な姿勢を見せる

 Oracleが新たな自社製仮想化ソフトウェアを顧客に押し付けようとしているのとは対照的に、Microsoftはこの分野において、他ベンダーとの協調を重視する姿勢を見せ始めている。

 Microsoftは先週、仮想化に対応したWindows Server 2008および仮想化機能「Hyper-V Server」と共に、「Server Virtualization Validation Program」を発表した。2008年6月に始動する同プログラムは、Windows Server部門の公式ブログによると、Windows Serverとサードパーティのサーバ仮想化ソフトウェアを併用する企業が技術的なサポートを受けられるように図るものだという。

 同プログラムは、VMwareあるいは「Xen」を提供するCitrix Systemsのようなベンダーに対して、「仮想化スタック(ハードウェアとハイパーバイザー)の検証を許可し、ユーザーが特別な設定を行わなくてもWindowsゲストOSをサポートする状態を作り出す」と、イタリア在住のコンサルタントであるアレッサンドロ・ペリーリ(Alessandro Perilli)氏は、「Virtualization.Info」ブログで述べている。

 Citrixのビジネス開発担当バイスプレジデントを務めるフランク・アーテイル(Frank Artale)氏によれば、かつてMicrosoftが、他ベンダーの仮想化機能を利用するWindows Serverをサポートしたのは、非常に高価な「Premier Support」を契約している場合に限られていたという。同氏は、Citrixが今回のプログラムに参加する意向であることを認め、「MicrosoftとCitrixは、ともに顧客をサポートし、問題を解決するために力を合わせていく」と語った。

 これまでMicrosoftが仮想化のサポートに関して提携を結んだベンダーはNovellだけだったが、その状況は変わりつつある。Virtual Iron Softwareも同プログラムに参加し、Windows Server 2000/2003/2008の共同サポートを計画している。加えて、仮想化市場のリーダーと言えるVMwareも、詳細が判明した後には同プログラムの内容を「精査したうえで参加を検討する」と、同社の新興製品および市場担当バイスプレジデント、ダン・チュウ(Dan Chu)氏はメールで答えた。

 「VMwareとMicrosoftは昨年中、互いの顧客に対する共同サポートに関する話し合いを重ねてきた。現在は、顧客が必要とするサポートを確実に提供し、VMwareの環境をMicrosoftのOSおよびアプリケーションに最適化する取り組みを進めている」(Chu氏)。なお、同プログラムは、「SQL Server」など他のMicrosoft製品には適用されていないが、Windows Serverブログでは、そうした状況も変わる可能性があると示唆している。

 Microsoftとは対照的に、Oracleは先週開催された「Oracle OpenWorld」で、他社の仮想化ソフトウェアの利用はエンタープライズ・サポート契約違反に当たると発言した。Oracleと2006年から共同サポートを行ってきたVMwareは、この「マーケティング方針転換」に際しても、OracleのCEO(最高経営責任者)であるラリー・エリソン氏の声明や、Oracle自身のサポート契約に含まれる文言を根拠に、同社がサポートを継続すると信じている。

 Citrixのアーテイル氏は、Oracleをはじめとするほかのベンダーに比べて「Microsoftのほうが寛大であるのは、めずらしいケースだ」と語った。同氏は、Oracleのサポート計画に関しては同社とまだ話をしていないものの、サポートの取りやめによってCitrixが受ける影響は、VMwareに比べてはるかに小さいと述べた。Xenを利用しているCitrixの顧客の大半は、LinuxではなくWindows Serverを仮想化し、そのうえでOracleアプリケーションを動作させているからだという。

(Eric Lai/Computerworld オンライン米国版)

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提供:Computerworld.jp