Google、700MHz周波数帯への競売参加を正式表明――「無線の世界でもインターネットのような開かれた世界を目指す」

 米国Googleは11月30日、米国連邦通信委員会(FCC)が2008年1月に実施する700MHz無線周波数帯の競争入札に参加する意向を正式に表明した。Googleは、700MHz周波数帯競争入札への参加申請を12月3日に提出する予定だ。なお、今回の申請はGoogle単独で行うという。

 この周波数帯は、2009年2月に予定されているテレビ放送の全面デジタル化に伴って利用可能になる。Googleは、かねてからこの周波数帯に関心を示しており、今年初めには消費者団体や公共利益団体とともに、競争入札の対象となる700MHz帯のうちの62MHz幅にオープン・アクセス・ルールの適用を求める要望書をFCCに提出している。

 FCCは今年7月に投票を行い、競売対象となる62MHz幅のうち22MHz幅について、無線端末の種類を問わずネットワークに接続できるよう落札者に義務づける条項を競売ルールに盛り込んでいる。

 また、その際にGoogleはFCCに対し、オープン・アクセスが求められる22MHzブロック(「C Block」と呼ばれている)に46億ドル以上の入札価格を提示すると約束している。その後、FCCは最低入札価格を46億ドルに設定。入札価格がこれを下回った場合、FCCはオープン・アクセス・ルールを撤廃したうえで競争入札をやり直すと見られている。

 GoogleのCEO、エリック・シュミット(Eric Schmidt)氏は、今回発表した声明の中で、「当社の理念に沿う方向へ資金を投入することが重要だ。無線サービスの分野でも、今後はいっそう競争力と技術革新が求められる。競争入札の勝者がだれであろうと、すべては米国消費者のためだ」と述べている。

 Googleのスペシャル・イニシアチブ担当責任者、クリス・サッカ(Chris Sacca)氏も、同社が開設している公共政策関連のブログに以下のような書き込みを行っている。

 「競売対象となる周波数帯の主要部分を落札した企業は、モバイル・デバイスに好きなアプリケーションをダウンロードする権利や、そのネットワーク上で好きなデバイスを使う権利を消費者に与えるよう求められることになる。これは、閉鎖性の強い無線の世界を、インターネットのような開かれた世界に変えていくというわれわれの取り組みにとって意味のある展開と言える」

 最近、無線ビジネスへの傾倒を強めているGoogleは、さまざまな方向に食指を伸ばしている。今年11月初めには、携帯電話におけるオープン開発プラットフォームの確立を目指す業界団体「Open Handset Alliance(OHA)」を立ち上げた。

 また同社は、ブロードバンド・プロバイダーが特定のWebコンテンツを拒否したり、転送速度を低下させたりする行為を禁じる「ネット中立化法案」の可決を米国議会に求める活動も支援している。

 メディア改革を目指す団体Free Pressは、入札を決めたGoogleの決定への支持を表明した。Free Pressの公共政策担当ディレクター、ベン・スコット(Ben Scott)氏は、Verizon Wirelessが自社以外のデバイスやアプリケーションにもネットワークを開放すると発表したことと相まって、Googleが入札すれば消費者の選択肢拡大に大きく寄与すると評価している。

 「既存の電話会社は、オープン・アクセス・ルールが競争を阻害すると主張しているが、実際は逆だ。Googleが700MHz周波数帯の入札に参加する意思を固めたことや、Verizonがオープン・ネットワークの支持を表明したことで、消費者が求める無線市場の競争が促進されるはずだ」(Scott氏)

(Grant Gross/IDG News Service ワシントン支局)

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提供:Computerworld.jp