OpenOffice.orgによるテンプレートおよびクリップアートのデザインコンテスト

Open Office.orgの提供するオープンソース系ビジネススイートのユーザにとっての朗報だが、このたびOpenOffice.orgおよびWorldLabel.comをスポンサーに冠したテンプレート/クリップアートのデザインコンテストが開催され、入賞者には相応の賞品が提供されるとのことだ。応募作の受け付けは10月13日までで、最も優れたテンプレートないしクリップアートデザインを提出した者にはそれぞれ優勝賞金750ドルが与えられる他、各カテゴリにおける2位から5位までの入選者にも相応する賞金が授与される。

OpenOffice.orgからは、ワードプロセッサのWriter、スプレッドシートのCalc、プレゼンテーション用ソフトのImpress、グラフィック作成ソフトのDrawが公開されているが、今回募集されているのも、これらアプリケーションスイートで使用する4種類のテンプレートである。コンテストの審査結果は、最終受付日より3週間ほど後に発表される予定とのことだ。

OpenOffice.orgにおけるドキュメンテーション部門の共同責任者の1人であるG. Roderick Singleton氏は、テンプレートの作成手順は「非常に簡単です」と説明している。「まずはドキュメントを開いて、自分の満足いくテンプレートをデザインしてください。完成したら、Fileメニューにアクセスして、テンプレートとして保存するだけです」。ただしSingleton氏が補足するところによると、テンプレート中に用いるグラフィックについては、インポートやエクスポートの際に想定外の変化が生じることもあり得るので、外部ファイルとしてリンクさせるのではなく、ドキュメント上に直に貼り付けた方がよいだろうとのことだ。

Singleton氏の説明によると、テンプレートのデザインはどの言語で行ってもよいが(現行の同スイートは30以上の言語をサポートしている)、最終的には全世界のユーザに対して公開されることになるとのことである。また各自が応募できるデザイン数に制限はないが、受領されるのは、電子メール1通につき1つのデザインだけになるという。「もしアイデアが20通りひらめいたら、20件応募してもらって構いません。当初は、もしも応募が殺到したらどうしようという不安もあったのですが、応募作を整理して審査するためのサポートツールを用意できたので、今は心配していません」。

Singleton氏の語るところでは、今回のコンテストを開催した背景には、テンプレートやクリップアートの増強に関する要望がカスタマから寄せられ続けている、という事情があるとのことだ。OpenOffice.orgは5年前のリリース以来5,000万件以上のダウンロードが行われているが、それに比例して今後はテンプレートやクリップアートの需要が増加するものとSingleton氏は予想している。「新規ユーザの多くがテンプレートを必要としていますが、どうも簡単には見つからないようです。OpenClipart.orgといった外部ソースをあたればクリップアートを入手することもできますが、それよりも私たちが自前のものを提供した方がいいでしょう」。Singleton氏によると、 OpenOffice.org自身も独自のテンプレートリポジトリをWebサイト上で公開しているが、その収録数は限られたものでしかないため、今回のコンテスト終了までにテンプレートについては10,000点、クリップアートについては5,000点以上のデザインを集めたいとのことである。「成功するか否かは、創作力のある人間を惹きつけられるかと、そうした人々が迅速に作業に取りかかれるかで決まるでしょう。期待しているのはオリジナル作品ですが、そうしたものの作成には時間がかかるでしょうしね」。

コンテストの主催者側が求めているのは、多数のユーザにとって使いでのあるアイデアやデザインということになるだろう。実際、すべてのカテゴリにおいて多様な応募作が寄せられることを歓迎する、とのことだ。「何か優れたアイデアがあれば、まずは既存のテンプレート群にどのようなものが収録されているかをオンラインで確認してから、創造的なドキュメントをデザインしてください」とSingleton氏は語る。「例えば、弁護士用の訴訟書類といったものは、現在テンプレートとして提供されていないので、あったら便利でしょうね。あるいは大学の卒業書類のテンプレートで、そのまま実在の学校に提出できるようなものを作ると、採用される確率が高いかもしれません。スプレッドシート用の場合は、家計簿程度の単純なものから、もう少し複雑なものがあっても良いでしょう。特にDrawやプレゼンテーション用のテンプレートとなると、かなり突飛で奇抜なデザインが受け入れられるかもしれません。まあ、そこら辺は無制限ということで」。

こうした方針については、本コンテストの共同スポンサーであるWorldLabel.comにて取締役を務めるRussell Ossendryver氏も同じ見解を述べている。「(応募)内容に特に制限はありませんが、私どもとしては家庭や職場で広範に使えるものを期待しているので、例えば、履歴書、名刺、プレゼンテーション、カレンダ、請求書、ビジネスプラン、結婚式のプログラム、貸借対照表、ビジネスレター、個人資産管理、招待状などのテンプレートが歓迎されるでしょう。あるいは逆に、法律関係やヘルスケアといった特定の業界固有のテンプレートも、大きな価値を持っているはずです」。

Ossendryver氏の語るところでは、WorldLabel.comが本コンテストのスポンサーとなった理由は、OpenOffice.orgの人気上昇にあるという。「私の母国は南アフリカですが、そこでは目を見張るペースでOpenOffice.orgの普及が進んでいます。またシンガポール支局からも、フィリピンを含む東南アジア全域におけるOpenOffice.orgユーザの大幅な増加が報告されています。そしてOpenOffice.orgの場合、競争面での後れを取っているのがテンプレートの充実度です。よって私どもは、こうしたテンプレートを増強し、各種の言語におけるユーザのニーズに応えることがOpenOffice.orgおよびOpenDocumentフォーマットに不可欠だと考えた訳です。またこうした措置は、現行のMicrosoft OfficeユーザがOpenOffice.orgに転向する際のギャップを埋めることにもつながるでしょう」。

Ossendryver氏によると、WorldLabelは本コンテストの成功を期待して、入選者への賞金も負担しているとのことだ。「私どもとしては、最終的にOpenoffice.org Documentation Projectとして公開されるすべての採用作品に対して、何らかの賞品を出すべく努めるつもりです。もっともそれらはOpenOffice.org関係のTシャツとか帽子とかになるかもしれませんが」。仮にこうした賞品の総額が割り当てられた5,000ドルを超過した場合のことだが、Ossendryver氏によると、「WorldLabelは、必要な追加資金のすべてを負担することを申し出ております」とのことだ。

「私どもは、本コミュニティの皆様が、多数参加して頂けるものと期待しております」と同氏は語る。「今回は、ユーザの皆様がそれぞれの作品を公開する機会でもありますし、コミュニティ活動を盛り上げる面でも1つの好機でしょう」。

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