Linux関連組織が大同団結──「Linux Foundation」が誕生──OSDLとFSGが合併し新団体を設立

 Linux OSの普及を推進する「Open Source Development Labs(OSDL)」と「Free Standards Group(FSG)」は1月22日、両組織を統合し、新団体「Linux Foundation」を設立することを明らかにした。

 新団体の責任者に就任するジム・ゼムリン氏によると、Linuxは組み込み/デスクトップ/サーバ・システム用のOSとしての地位がすでに確立し、OSDLとFSGが2000年開設当初に掲げた普及促進という使命は達成されたという。

 ゼムリン氏は、新団体設立のねらいについて、「Linux OSの最大のライバルであるMicrosoftと効果的に競争するための活動を強化することにある」と述べた。同氏は、FSGのエグゼクティブ・ディレクターを務めていた。

 フォレスター・リサーチのシニア・アナリスト、マイケル・グールド氏は、両Linux団体の合併は「必然的」だったとし、Linuxが直面している課題は、かつてUNIXが直面して解決できなかった課題と同様、いかにして単一の標準になるかだと強調した。

 また同氏は、「Linuxが本当に企業向けの長期的な製品を目指すのであれば、オープンソースOSとして、アプリケーション開発者が一度開発したソフトウェアがどのディストリビューションでも稼働するようにする必要がある」と言い添えた。

 現在、Linux開発者はしばしば、アプリケーションを6〜7種類の異なるディストリビューションで稼働させるために微調整を強いられている。

 ゼムリン氏によると、Linux Foundationが取り組むべき重要課題は、Linuxアプリケーションの相互運用性、Linuxの新リリースと旧リリース間の下位互換性の確保とともに、開発者の法的保護を強化することだという。「Linux OSの生みの親であるリーナス・トーバルズ氏を含むLinuxカーネル開発者に(法的な)“セーフヘブン”(避難場所)を提供し続けたい」(同氏)

 現在、オープンソース・コミュニティでは、特定の技術分野への取り組みで中心的役割を担う組織の設立がトレンドになっている。

 Linux 団体が合併した背景にも、Eclipse Foundationがツール開発の中心となり、Apache Software FoundationがWebサーバとそのミドルウェアの開発の中心となり、Mozilla FoundationがWebブラウザとそのインタフェースの開発の中心となっているのと同様に、Linuxとそのアプリケーションの開発の中心となる場が必要とされたことにあるようだ。

 ゼムリン氏によると、OSDLとFSGは緊密な協力関係を築いており、これまでに何度も合併について話し合ってきたという。しかし、今回の合併の決定は、最近のOSDLの規模縮小とは無関係だとしている。

 OSDLは昨年12月初めに、職員の3分の1弱のレイオフとCEOのスチュアート・コーエン氏の辞任、活動目標の縮小計画を発表している。ゼムリン氏もOSDLとFSGのメンバーにかなりの重複があったことは認めている。

 Linux Foundationは、常勤職員と契約社員45人を本部に配置し、ヒューレット・パッカード(HP)、IBM、Novell、Oracle、Red Hatなどのソフトウェア・ベンダーをはじめ、大学やエンドユーザーなどのメンバー約70人でスタートする。

 ゼムリン氏は、特にエンドユーザーや政府機関、個人開発者が新メンバーに加わってくれることを願っている。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

Linux Foundation http://www.Linux-foundation.org/

提供:Computerworld.jp