MicrosoftとNovell、それぞれのOS上で仮想化ゲストを稼働可能に――2007年に共同で取り組む4つの重要分野を明らかに

 米MicrosoftとNovellは2月12日、WindowsとLinuxの相互運用性強化を目指す提携の一環として、それぞれのサーバOSプラットフォーム上での仮想化実装計画を明らかにした。

 まず、Microsoft Virtual Server 2005 R2 Service Pack 1では、NovellのSuse Linux Enterprise Server 10を仮想化ゲストとしてホスティングできるようになる。また、Windows Serverの次期バージョン(開発コード名:Longhorn)にも、ビルトイン仮想化技術を使ってノベルのLinuxをエンライテンド・ゲストとしてホスティングできる機能が搭載される予定だ。

 一方、仮想化技術「Xen」を使用しているSuse Linux Enterprise Server 10は、パラ仮想化ゲストとしてLonghornをホスティングできるようになる。

 エンライテンド・ゲストとパラ仮想化ゲストは、パフォーマンスを向上させるためのテクニックを示す用語であり、似てはいるが同じものではない。エンライテンド・ゲストOSが、Windows Serverの仮想化機能の上で稼働していることを認識できるよう修正されているのに対し、パラ仮想化ゲストOSは、Xenハイパーバイザ上で稼働していることを認識できるよう修正されている。

 ちなみに、Virtual Server 2005 R2上で稼働する仮想化ゲストOSの場合は、仮想マシンで稼働していることを認識するための修正が不要だ。そのため、このOSは、エンライテンドでもパラ仮想化でもない。

 Longhornは、Microsoftが開発を進めているWindows Serverの次期バージョンであり、今年下半期に投入される予定だ。

 MicrosoftとNovellは12日、両社が2007年に共同で取り組む4つの重要な分野を示し、その1つに仮想化技術が含まれていることを明らかにした。ちなみに、残りの3分野は、Webサービス・ベースのネットワーク管理、ディレクトリの相互運用性、文書フォーマットの相互運用性である。

 Web サービス・ベース管理の分野では、それぞれの製品にWS-Management(Web Services for Management)を搭載し、Webサービスを使ったOSの管理を可能にする。Novell ZENworks OrchestratorとMicrosoft System Center Operations Manager 2007は、いずれも年内にWS-Managementをサポートする予定だ。

 WS-Management は、サーバ、デバイス、アプリケーションの管理に対応するWebサービスベース・プロトコルの仕様。マイクロソフト、インテル、デルなどのベンダーが 2005年3月に公開したもので、2006年8月、ディストリビューテッド・マネジメント・タスク・フォースが暫定標準として承認している。

 一方、Novellは、WS-Managementのオープンソース・インプリメンテーションの開発に取り組んでいる。

 すでにMicrosoftとNovellは、オフィス文書に対応する国際標準のファイル・フォーマット「Open Document Format for XML(ODF)」とMicrosoft Office 2007のデフォルト・ファイル・フォーマット「Open XML」との間でデータのやり取りを容易にするための技術を発表している。

 Microsoftは2月2日、 Office 2007、Office 2003、Office XPに対応するOpen XML/ODF Translatorを出荷したと発表した。Novellも、オープンソース・プロダクティビティ・スイート「OpenOffice.org」の自社バージョンに対応するOpen XML/ODF Translatorを今月中にリリースする予定だ。

 MicrosoftとNovellは、ディレクトリおよびアイデンティティ管理の分野でも、製品間の相互運用を可能にする技術の開発に取り組んでいるが、具体的な進捗状況は明らかにしていない。しかし両社は、この分野でどのように製品間の相互運用を実現するのか説明する詳細なロードマップを年内に発表すると説明している。

 NovellとMicrosoftは、3月に締結した提携の一環として、NovellのSuse LinuxとMicrosoftのWindowsとのシームレスな相互運用を実現することで合意した。両社の提携、とりわけNovellがMicrosoftに特許使用料を支払うという契約が物議を醸した。Novellは、独自ソフトウェアの巨大ベンダーであるMicrosoftと提携することで、オープンソース・コミュニティ内での信用をかなり失ったと見られている。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

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提供:Computerworld.jp