ビジネスのペーパーレス化、セキュリティがネックに――社外向け文書では紙媒体に回帰する現象も

 ガートナー ジャパンは7月4日、「ビジネス・ワーカーの文書・書類利用時におけるペーパーレス化の進展状況調査」を発表した。

 同調査はビジネス・ワーカーを対象に、「顧客へのプレゼン、売り込み、訴求のための資料」「社内会議用の資料」「精算、出張申請などの申請書」「稟議書、企画書、提案書、報告書」の各文書・書類について、紙媒体と電子媒体のどちらを利用することが多いかを聞いたもの。

 それによると、文書の種類によって多少の違いはあるものの、企業内の文書・書類を利用する際に、「電子データを利用することのほうが多い」と回答した人は、全体の40%に上っている。

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文書・書類の利用におけるペーパーレス化の進展度
注)上段:2006年(n=545~585) 下段:2007年(n=501~528)。出典:ガートナー/調査:2007年5月

 また、昨年同時期に行った同様の調査と比較すると、ほとんどの文書・書類の利用で、紙媒体から電子媒体へ移行している実態も浮き彫りになった。

 ただし「顧客へのプレゼン、売り込み、訴求のための資料」は、電子媒体から紙媒体に逆戻りしている傾向が見られた。これについてガートナーは、「個人情報保護法の全面施行後に、企業がセキュリティ対策の一環として、ノートPCの社外持ち出しを制限していることが背景にある」と分析している。

 今回の調査結果についてガートナーは、「一部の項目でペーパーレス化に逆行したことを、必ずしも否定的に取る必要はない。企業のセキュリティ意識や対応が、モバイル・ワークに及ぼす影響の一端を示しているにすぎない」としたうえで、「企業は、モバイル・ワークや電子データ化を推進しているが、情報セキュリティ対策が、この動きにブレーキをかけている面もある。今後は、これらを両立するソリューションが求められる」と指摘している。 

(Computerworld.jp)

ガートナー ジャパン
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提供:Computerworld.jp