Ubuntu Liveは商業性に重点を移す必要あり

 Ubuntuはまさに話題沸騰中である。UbuntuはLinuxの次の波だ。Ubuntuを率いるMark Shuttleworth氏は、世界的に知られたカリスマ的な人物で、自家用ジェット機で世界中を飛び回り、GNU/Linuxの福音を大衆にもたらしている。さて、そのUbuntuが初めてのUbuntu Liveカンファレンスを開催した。初回としてはまっとうなものだったが、Red Hatが毎年人々を集めているものとは雲泥の差がある。

 3回目を数える2007 Red Hat Summitは、約1,400人を集めた。Ubuntu Live v1の登録参加者は700人弱である。

Ubuntuでは、開発者に限定したサミットも毎年2回開催している。Ubuntu Liveは「よろずUbuntu」会議を目指しているため、やや散漫な印象を受けた。Ubuntuを財政的に支える企業Canonicalの複数の重役をつかまえて、「このイベントは誰のために開いているんですか?」と私は尋ねてみた。

 今の時点でRed HatとUbuntuが大きく違うのは、Red Hatには確固たる関係が築かれたパートナーやシステムベンダー、コンサルタントがいて、そういった人々が収入の少なくとも一部をRed Hatに依拠しているのに対し、UbuntuはGNU/Linuxビジネスの市場において新参者であることだ。

 Linuxサービスから収益を得られる企業を作るのは難しい。不可能ではないが、相当な艱難辛苦は避けられない。しかも、収益を生むビジネスの関係を築こうとする努力は、始めてからしばらくの間はほとんど徒労にしか思えないだろう。

 CanonicalのISV/パートナープログラム・マネージャのMalcolm Yates氏がUbuntu Liveで担当した複数のセッションは、このカンファレンスの“マネーショット”と呼んでいいだろう。Yates氏のセッションは、潜在的なビジネスパートナーに直接語りかけるものであり、とりわけその対象とされたのは、Ubuntuを基に収益性のあるサービスを提供し、その結果として、上流から(Ubuntuから)のサポート、ブランディング、マーケティングの支援に対する見返りとして収益の一部をCanonicalと分け合うと見込まれるパートナーであったからだ。

 Yates氏の2番目のセッションが開かれた部屋に集まったのは30人だった。その30人(カンファレンス全体の参加者が600人を超えたことを忘れてはいけないが)の中で、Yates氏が実際にCanonicalの収益に貢献しそうだと感じた人物はわずか3人に過ぎない。

 Red Hat Summitが成功を収めている理由の1つに、たくさんの人々がRed Hatで金を稼いでいるという事実があることは疑いようがない。稼いでいるからこそ、その利益を増やす手助けになるRed Hatのカンファレンスにかなりの金額をはたいても参加しようと思うのである。

 よく考えてみよう。たくさんの人々がRed Hatで金を稼いでいる、そして上流に位置するRed Hatからのサポート、ブランディング、マーケティングの支援に対する見返りとして収益の一部をRed Hatと分け合っている、この事実こそがRed Hatが収益性のある企業となっている理由だ。CanonicalのビジネスのアプローチはRed Hatと一部異なるが、ここで論じている文脈においては、基盤となるビジネスモデルにRed Hatとの違いはない。

 恐らく来年のUbuntu Liveでは、Ubuntuに基づく収益性のあるビジネス関係を築くことに、より大きな比重が置かれるだろう。現時点では、CanonicalはShuttleworth氏のポケットマネーでまかなわれている。だが、Canonicalが生き残るには、収益の確立にもっと集中して取り組むべきである。既に確固たる開発者の基盤(そして開発者向けの年2回のカンファレンス)があるのだから、来年のUbuntu Liveでは、今年よりもう少しUbuntuの商業性に比重を置く必要があるだろう。

 ここで、最初の質問「このイベントは誰のために開いているんですか?」に立ち戻ってみよう。Canonicalの関係者は、明確な答えを持っていなかった。さらに、来年のカンファレンスでどういった姿勢を打ち出すのかについても、必ずしも考えがはっきりしていなかった。今のところ、全員が知っているのは来年もカンファレンスが開催されることだ。ただし、開催地と正確な日程はまだ決まっていない。

 Canonicalのマーケティング・マネージャであるGerry Carr氏が、第一回のUbuntu Liveカンファレンスで学んだことについて、次の短いビデオで語っている。


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Linux.com 原文