IBM、無料オフィス・スイート「Lotus Symphony」の提供を開始――Lotus Notesのホスティング・サービス提供計画も明らかに

 米国IBMは9月18日、同社のコラボレーション・クライアントの最新版「Lotus Notes 8」に含まれるプロダクティビティ・ソフトウェアを無料オフィス・スイート「Lotus Symphony」として新たに提供を開始した。マイクロソフトの「Office」スイートに対抗するのがねらいと見られる。

 Symphonyという名称は、IBMが1980年代にリリースするも失敗に終わった同社初の統合オフィス・スイートにも用いられたもの。IBMソフトウェア・グループのLotusソフトウェア担当ジェネラル・マネジャー、マイク・ロディン氏によると、同社はプロダクティビティ・ソフトウェアの新時代を先導する決意でこの名称を復活させたという。

symphony.jpg 新設された Symphonyコミュニティ・サイト

 Symphonyは、「Lotus Symphony Documents」「Lotus Symphony Spreadsheets」「Lotus Symphony Presentations」で構成されている。無料スイートは新たに開設されたSymphonyコミュニティ・サイトからダウンロードできる。また、顧客の要望に応じて、有料の電話サポート・サービスも提供されるという。

 Symphonyは現時点ではベータ版として提供されている。ロディン氏は、コミュニティにソフトウェアの改善点を提案してもらうことで、同社単独で取り組むよりも迅速に製品の改良を進めたいとしている。

 Lotus Notes 8のプロダクティビティ・ソフトウェアと同様、SymphonyはオープンソースのEclipseプラットフォームをベースにしており、ネイティブ・ファイル・フォーマットとしてOpen Document Format for XML(ODF)を使用する。

 ODFは国際標準化機構(ISO)により認定された文書標準だが、Microsoft Officeのネイティブ・フォーマットであるOpen XML(OOXML)と競合するファイル形式でもある。マイクロソフトはOOXMLの国際標準化を目指しているが、今月4日までにISOで行われた初回の投票ではOOXMLの標準化は承認されなかった(関連記事)。

 IBMはかねてからODFを支持しているが、Symphonyでは文書ファイル形式のサポートを強化している。Symphonyは、Microsoft Officeだけでなく、検索大手グーグルの「Google Docs & Spreadsheets」とも競合する。

 IBMは今回、Lotus Notesをホスティング型サービスとして提供する計画も発表した。ロディン氏によると、同サービスはユーザー数が1万人規模までの中小企業向けで、利用料金は1ユーザー当たり1カ月に付き5~10ドル程度になる見通しだ。

 新たに提供予定のホスティング・サービスでは、Lotus Notesのほか、オプションで「Lotus Sametime」および「Lotus Quickr」バージョンも利用できるという。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国IBM
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提供:Computerworld.jp